MONTHLY RECOMMEND [2002, July] Home

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□Artist(s) … TRIBECA
□Title … KATE-97
□Number …
1.the sun always shines on tv / 2.teenage / 3.kate-97 / 4.combat / 5.jumpstart / 6.the virus
7.happy new year / 8.forever young / 9.3:45 / 10.off / 11.a night like this / 12.stakeout
13.love song / 14.take all your sorrow
※13,14曲目は、日本盤のみのボーナストラック。

□Comment …
スウェーデンのポップシンガー、ラッセ・リンを中心に結成されたトライベッカの1stアルバム。2002年リリース。メンバーはラッセ・リンにキーボーディストのクラエス・ビョ―クルンド、それからエリック・ルンドステッド(B)、ジョン・ランディン(Dr)の4人。ラッセは今作と同時にソロアルバムも発表しているようで、クラエスはその作品でプロデュースを手がけたそう。

音の方はインディーギターポップorロックに80年代風「ピコピコ」シンセ音が合体し、 そこにタヒチ80などのフランスポップ勢を思わせるラッセの甘くて切ない舌足らずヴォーカルが乗るという展開。これを僕の言葉で強引に言わせてもらうなら「シューゲイザーサウンドに手を出したダフトパンク」もしくは「ギターサウンドに目覚めたバグルス」みたいな(メチャクチャだな:笑)。まあでもなんかそんな感じがするんですよ!笑って堪忍してください(笑)。

と言ったように曲の方は甘くて奇妙にノスタルジックなのですが、歌詞の方もこれまたティーンエイジャー的な甘酸っぱいノリ。ラッセ・リンさんが何歳なのかは分りませんが、なんか思春期特有の悶々とした感情が喚起されるような「客観的には軽いんだけど当人には凄い重いぞ」的な歌詞がテンコモリで炸裂してます。M-5の歌詞なんかは「客観的には軽い」とか言ってる場合じゃなく強烈で、家族の期待を背負わされて苦しんでいる女の子と知り合いになった男の子がですね、彼女のことを助けようとするんですが、最終的には彼女のボーイフレンドに殺されてしまう(!)という凄まじい内容で、ボーイフレンドがナイフ持って森の中を追っかけてくる情景が歌われたりしてるんです。怖いよ。なんかブラック。まあ歌詞なんぞ気にしなくてもサウンドだけで楽しめると思うんですが、個人的にはこのピコピコインディギターポップに乗ってくるのはやっぱりこういうチクチクした歌詞でないと!とそう思います。こんな音で政治批判されてもなんかリアリティないし。

僕はフランスのポップ勢は無駄に甘ったるくてあまり好きじゃないんですが、 ラッセさんのヴォーカルはなんか無理してない感じがして好きですね。断固支持。

にしても、巷でもよく言われていることですが、スウェーデンてよいアーティストがホント沢山いますね。



□Artist(s) … SUZZY ROCHE
□Title … SONGS FROM AN UNMARRIED HOUSEWIFE AND MOTHER, GREENWICH VILLAGE, USA
□Number …
1.yankee doodle / 2.looking for god / 3.g chord song / 4.out of the blue / 5.no such thing as love
6.cold hard wind / 7.to alaska with love / 8.love comes to town / 9.goodbye cruel world
10.suit and tie / 11.born yesterday / 12.sweetie pie

□Comment …
アーティスト名の正確な読み方がよく分らないのですが、どうやら日本ではサジー・ローチ(でいいのかな?)と読むようです。紹介も長くなりますが、まずニューヨークの姉妹フォーク・トリオとして知る人ぞ知る「ローチズ」というバンドが存在します(申し訳ありませんが僕は存じません)。なんでもその1stアルバムはロバート・フリップが手がけたそうで、音楽ファンからは名作の呼び声も高いようです。で、そのトリオの末妹、サジーはソロでも活動してまして、本作品がその活動における2枚目のアルバム。2000年リリース。

―以上の紹介文はストレンジ・デイズの2000年9月号を参考にして書きましたが、そこでのレビューだけを頼りにこの作品を買いましたので、正直期待はしてませんでした。しっくりこなくてもまあ仕様がないなと、そう思ってました。ところがドッコイ、これが素晴らしい作品ですよ。手っ取り早く言えば女性シンガーソングライターの作品なわけですが、作詞作曲を手がける本人が自ら弾くアコースティックギターを主体にした曲構成で、そこにアコーディオンやペダルスティール、マンドリン、ときにはブラス、などなどが加わり、とても柔らかな味付け。

ジャケット写真を見るとサジーさん決して若くはないようですが、逆に言えばそれはベテランとも取れるわけで、そこかしこにその「ベテラン」的な余裕と言いますか、フンワリした大らかな空気が漂っています。歌声にしても、渋さと甘さの間を自由に行き来する余裕の歌いっぷり。この空気感はポッと出の新人さんにはおいそれとはだせないと思います。

僕はM-4が大好きで、ブラスを交えたジャジーなサウンドにのせて切なく甘い声で歌ってくれるんですねぇ。癒し効果抜群であります。かと思ったらM-6ではアメリカならではといいますか、渋い声で活きの良いカントリー的な展開をしてみせたりと、なんかカッコイイっす。「歌」の力を強烈に感じます。涙を流させる「癒し」ではなくて、涙を乾かす「癒し」。良いです。全12曲入りで約40分。日本盤は未発売。



□Artist(s) … MATTHEW
□Title … EVERYBODY DOWN
□Number …
1.everybody down / 2.open wide / 3.in you car / 4.this time / 5.never / 6.in the wonder
7.streams / 8.the darkest night / 9.where did you go / 10.breathing / 11.you thought
12.overboard
□Comment …
99年にシカゴで結成されたMATTHEW(マシュ―)。彼らの1stアルバム。2002年リリース。日本盤未発売。メンバーはブライアン・マックスウィーニー(G/Vo)、ジェイソン・サイプ(G)、ジェームス・スコット(B)、マット・サンプター(Dr)の4人。作詞作曲はブライアンが中心のようですが、決して1人で行われるわけではなく、一応メンバー全員が関わっているようです。曲によってはブライアンはピアノを弾き、ジェイソンはキーボードも担当しています。ちなみにジェームスはヒゲ生やしてます(笑)。

曲の方は、レディオヘッドの名前がちらほらしたり、とある場所ではセミソニックみたいとか言われたり、またとある場所では暗いジェリーフィッシュとか言われたりしています。暗いジェリーフィッシュってちょっと想像できかねますが(笑)。レディオヘッドの名前が出るのは、ブライアンのヴォーカルに依るところが大きいでしょうね。憂いを帯びた歌声に伸びやかなファルセット。でも憂いを帯びていながらもそんなに湿っぽくないのは曲のせいでしょうかね。一聴するとUKバンドかと思うほどにメランコリーなんですが、どっか乾いてるんですね。不思議な感じです。

曲調は全体的にミドルテンポ。とにかくノリで押しまくるみたいな曲はありませんが、 M-1のように「ためて爆発」的な展開による高揚感をもたらしてくれる曲が多々あります。ギター全開+ファルセットによるカタルシス。その他にもギターサウンドにピアノやストリングスを交えた流麗かつ黄昏ムード満点のM-3(僕は大好きです)があったり、ファルセット多用しまくりのドラマチックなM-10があったり、意外に表情豊かな曲が並んでて、聴くほどに味が出てくるアルバムのような気がします。
セミソニックは僕は馴染みがないんでなんとも言えませんが、ジェリーフィッシュな感じはしませんでした。

ちなみにプロデューサーはポール・コルデリー。僕は知らなかったんですが、レディオヘッドの1st等を手がけた方だそうです。最近もてはやされまくりの「ロックンロールの原点回帰型的ガレージライクなバンド」には飽き飽きしてる方々に聴いて欲しい感じです。ってそれは僕か(笑)。でもこのアルバムでもなーんかそんなノリっぽい曲(M-7とか)があったりしてチョットびっくり。


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