MONTHLY RECOMMEND [2002, August] Home

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□Artist(s) … THE VELVET TEEN
□Title … THE GREAT BEAST FEBURARY E.P. & COMASYNTHESIS E.P.
□Number …
1.naked girl / 2.counting backwards / 3.mother of love / 4.your cell / 5.super me
6. never happy / 7.milo 7 / 8.penning the penultimate / 9.reverie to chanticleer
□Comment …
アメリカ北海岸(?)出身のバンドさんです。 この作品自体は2002年リリースですが、内容は過去に発表されたEP2枚の収録曲を併せたもののよう。 ホントは僕、アルバムが欲しかったんですけどね…。ロッキンオンのディスクレヴュー見て気になってたんですが、 残念ながら、入手できたのはこの作品だけでした。どうやら水面下でチョットした注目は浴びてるみたいです。

どうやら現時点でのメンバーは3人。judah nagler(G/Vo)、logan whitehurst(Dr/Vo)、 josh staples(B/Vo)。 あまりに情報が少ないんで、 所属レーベルのslowdanceのHP(http://www.slowdance.com)を見てみると、どうやら初めはjudahのソロプロジェクトだったよう。 2000年、彼が19歳のときに生ドラムにおいてloganの手を借りて作成したのが、本作の後半部 (M4‐9)にあたる「comasynthesis e.p.」だったようです。 その前年、つまり99年からjudahはloganとTHE SECRET BAND(?)という名前で音楽を作っていたようなんですが、 judahのソロであった「THE VELVET TEEN」と並行して 「THE SECRET BAND」のアルバムを2人で作って発表したりしているうちに、正式に2人で「THE VELVET TEEN」として活動していくことになり、 そこに他バンドでも活動中のjosh staplesをベースとして迎え、そして録音されたのが 本作の前半部(M1‐3)である「the great beast feburary e.p.」であり、そこから現在のバンド形態になったようです。
と、以上が大体の成り立ちですかね。読み間違いから来る誤りも多々あるかと思いますが、堪忍してください。

で、音ですが、このCDに限って言うと、打ち込みサウンドとバンドサウンドが半々な感じですが、もちろんそれは、 judahのソロ時代の音源も入っているからだと思います。ですから、バンド形態になってから録音されたM-1〜3の方が、現在の彼らの音に近いのかもしれません。 そのM1〜3ですが、ハッキリ言って「良い」です。ちょっとひっかかりのある疾走系ギターサウンドに乗っかって、judahの高音ヴォーカルが炸裂します。 M-1なんかしょっぱながあまりに高音だから、女性ヴォーカルかと思いましたが、見事に男でした。 そしてグッとくるのがホロ苦系の美しいメロディ。特に不意に繰り出される「決め」っぽいドラムに乗せるようにエモーショナルに歌われると、 高揚感満点でメロメロです。このリズムの独特さ加減は、いわゆるポストロックとか、 変拍子が売りなエモコア勢にも通じるものがあるかもしれんなあなんて、思ってしまいました(でも男臭くはないですよ)。 そういった疾走系ポップサウンドが主なのかも知れませんが、M-3はアコースティック。でもメロはやっぱいい。いい! 3人のハーモニーというかコーラスもナイスです。

僕個人としては後半部で光るのはM‐7だけでした。カーテンのごとくたゆたうシンセサイザーサウンドの中で煌めく ノスタルジックなメロディ。何か星空な感じです。スターダスト。涙。グッドです。
つーわけで、この作品だけ聴いてると、「ポップなロック」ではなくて「ちょっとロックなポップ」って感じです。

バンドになってからはどうやら音は3人で作り、歌詞はjudahが書いてるみたいです。ジャケットのアートワークなんかも 3人でやってるみたいで、この作品のジャケットはちょっと「ええ?」って感じに、メンバー自身なのか3人の人間が アニメチックに描かれてます(しかもなんかヘタウマ:笑)。

ちなみに先のHPで、彼らと似た音を出すアーティストとして挙げられているのは、レディオヘッド、ジェフ・バックリィ、キュアー、カーシヴ、 デス・キャブ・フォー・キューティ、ビョーク、モデスト・マウス、ロウ、ディスメンバメント・プラン、ビルト・トゥ・スピル、プリンス、 そしてスマッシング・パンプキンズ。何か豪華メンバー過ぎて鵜呑みにするのもどうかと思うんですが、こりゃあアルバムが聴きたい! ってことでみなさんも買うなら是非アルバムを。2002年に出てます。

追記:えーと、これを書いてアップするまでの間に、運良くアルバム「OUT OF THE FIERCE PARADE」を入手できましたので、 下で触れておきます。


□Artist(s) … THE VELVET TEEN
□Title … OUT OF THE FIERCE PARADE
□Number …
1.a special gift to you / 2.radiapathy / 3.the prize fighter / 4.red, like roses / 5.caspian can wait
6.four story tantrum / 7.into the open / 8.penning the penultimate / 9.your last words / 10.death
□Comment …
THE VELVET TEENの1stアルバムになります。2002年リリース。
僕は上のEPを聴いて、気に入って、で、このアルバムを購入したわけですが、この流れで来た人には ここで鳴らされているサウンドは少々意外かと思います。なんでって上記EPのM-1、2で披露されていたような 疾走感がほとんどないからです。そして音の鳴りや楽曲自体が非常に乾いた作りになっていまして、 そこに漂うムードは驚くほど叙情的になっています。どうやら彼らには、アグレッシヴなギターをぶちかまして カタルシスをもたらそうという意図はないよう。となると、メロディに耳が向かうわけですが、 これが僕にとってはいまいち弱い気が…。1回聴いただけではあまり強烈な「掴み」はありませんでした。

しかし、そんな変化の中にあっても変わらないのがリズム面。何か確信的に個性的なリズムがあったりします。 そんなリズムの上に、ざらついたギターと波のように上下するメロディラインが乗っかって、 それをjudahの特徴的な高音ボーカルが歌います。とにかく最初はひっかかりがありすぎて すんなり耳に入ってこないんですが、何回も聴くとあら不思議、やみつきになるんですねぇ。 judahの声にしてもEPでは単に「高い」だけだった気がするんですが、今回は楽曲と相まって見事に寂寥感を感じさせる歌声です。
個人的に大好きなのはM-3。アルバム全体通して鍵盤楽器が多用されているんですが、ここでの使い方が僕はすごい好きです。 雪がヒラヒラ舞い落ちる情景を想像させるイントロ。いいですねえ。身が引き締まります。メロも好きです。 ちなみにM-8は上のEPに収録されている同タイトル曲の再録のようです。個人的には違う曲を再録して欲しかったんだけど(笑)。

というわけで(どういうわけだ)、このアルバムは何かに対して自分を駆り立てるときに聴くのは相応しくありません(笑)。 そんな聴き方をすると、間違いなく、ぎこちない尺取虫の歩みのように苛立たしく感じられてしまうはずです。 上記EPの音にはジャケットからして「カラフル」なイメージがあるんですが、今作の色はもうガッチリ「灰色」ですね。ジャケットも白黒だし。
まーいまいち焦点のはっきりしないサウンドですが、 叙情系サウンドが好みの人は、恐る恐る手を出してみてください(笑)。


□Artist(s) … THE MUSIC
□Title … THE MUSIC
□Number …
1.the dance / 2.take the long road and walk it / 3.human / 4.the truth is no words
5.float / 6.turn out the light / 7.the people / 8.getaway / 9.disco / 10.too high / 11.alone
*11曲目は、日本盤のみのボーナストラック。
□Comment …
巷で話題をさらっているUKの4人組の1stアルバムです。 いやー何か騒いでるけど実はそんなに大したことないんじゃないの?みたいに思ってたんですが、 見事に持ってかれました(笑)。
いったいお前ら何食ってるんだと言いたくなるほどのぶっとい音で迫ってくるグルーヴ。しかも人力。そりゃもちろん 多少のエレクトロニクスはまぶされているだろうけど、基本にあるのはバンドサウンド。 そのバンドサウンドの中で「お前ら止まるんじゃねえよ!」と言うかのごとく放射されまくるサイケデリックでダンスなテイスト。 お利口さんが作るような計算し尽くされたグルーヴではないし、 いわゆるダンスミュージックとしてのテクノが持っているそれでもない。 何て言いますか、もっとカオティックな、極めてプリミティヴなグルーヴです。体内から湧き出る原始の鼓動(笑)。

カッツーンと音量を上げて聴くと、抜群に気持ちよいです。 怒った蜂の群れみたいに始終攻撃的に迫ってくるエレクトロニックなギターの嵐が気持ちいいし、 アナコンダがトグロまいてるみたいなぶっとくてグルグルしたベースの音が気持ちいいし、 ヴォーカル、ロバートの高揚感をもたらしてくれるハイトーンな歌声が気持ちいいし、 そんな中でも曲の途中で急にスコーンと抜けてくるスネアの音や、 ドッシリしたバスドラムが伝えてくれる確かな鼓動も気持ちいいしと、気持ちいいことづくめです。 そしてそれらが一緒くたになって襲いかかってくるときに発生するカオスに潜んでいるグルーヴといったら! 寝転がってても踊りたくなります(笑)。多分。

つまりこの作品は「躍らせる」という、音楽の持つ1つの大きな役割を見事すぎるくらいに果してくれています。 そんな音を鳴らす彼らの名前が「THE MUSIC」だなんて、カッコよすぎる気が…。 まあ「UKバンド」であり「フィジカルなグルーヴを生み出すバンド」って言うと、どうしてもストーン・ローゼズとの 比較は避けられないようですが、僕はぜんぜん詳しくないので、触れずにおきます。
次作にも期待。


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