MONTHLY RECOMMEND [2003, July] Home

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□Artist(s) … ART-SCHOOL
□Title … SWAN SONG(DISC1〉
□Number …
1.lily / 2.dry / 3.out of the blue / 4.lovers / 5.skirt / 6.swan song

[DVD VIDEO CLIPS]
1.diva / 2.sad machine / 3.evil / 4.ロリータ キルズ ミー(live)
□Comment …
2002年にシングル「DIVA」でメジャーデビューを飾ったアート・スクールの2003年第2弾シングル。
本作はDISC1とDISC2が同時リリースされており、DISC1はDVDとの2枚組、 DISC2はDVDなしで3曲しか収録されていないものの、うち1曲はDISC1未収録。 ファンなら是非とも2枚そろえたいところ。

全体を通して聴いた感じは何となくインディーズ時代の「MISS WORLD」に似て、落ち着いている。 過ぎ去っていく刹那に対して「怒」ったり「焦」ったりするよりも、 「無常」を感じ「あきら」めそうになる(“この雨が止む事はないさ/永遠に少しずつ死んでいく”。“名前がないこの惑星で名前がない恋人と/白日にさらされてハッピーエンドを夢見てた/何一つかなわずに/何一つかなわずに”)。 けれどやはり恋焦がれずにはいられない(“彼女の匂いや指が/激しさ/スカートの色が/どうして取れやしない/どうして忘れられない”。 “君のほくろの場所や匂い/すがって、ただすがって/それが何で取れやしない/そうもがいて/ただもがいて”)。 そのやるせなさ。1つ前のシングル「EVIL」が個人的にピンとこず、「これからこういう方向に変わっていくのかなあ」なんて思っていた僕には このシングルは歓迎。やはり木下さんの創作欲を刺激しているものは以前と変わっていないようだ。 でもやはり次のアルバムでは、今作のような以前からの作風と、「EVIL」で見せたような新しい面が交錯するのだろうと思う。

さて今作、疾走するような楽曲はないけれど、それには全然まったく問題なし。蒼いメロディと、手の届かない瞬間を求める歌詞。 調子外れのヒリヒリした声と、ときにセンチメンタルな鋭いギター。もはやそれだけでリピート。 僕が1番好きなのはM-4の“lovers”、「MISS WORLD」収録の“1965”を彷彿させる淡々としたリズムにセンチなメロ。 気だるそうに頭を左右に振りながらギターを弾く木下さんの姿が浮かんできます。
僕はアート・スクールの楽曲を聴いているといつも頭にあるイメージが浮かびそうになるんだけど、それはつかめそうでつかめず、 いつも消えてしまう。それは遠くに行ってしまった、懐かしい記憶かもしれない。 「あの頃は良かった」なんて、ノスタルジアかもしれない。だけどつかめない。だから僕は仕方なくCDをリピートさせる。 僕は音楽の技術的な面(たとえばコードとか曲の構成とかね)に詳しくないから、そういう方向からの説明ができないんだけど、 タイトルにもなっているM-6のイントロは僕の中で「アート・スクール」印だ。なぜなら、例のイメージ、 アート・スクールの楽曲が僕に喚起させておきながらも決してつかまえさせないイメージに、最も近づける気がするから。

まあそれはともかく、M-5の出だしがいつにもまして一際調子っぱずれなのはなぜなんだろう(笑)。


□Artist(s) … μ-ZIQ
□Title … LUNATIC HARNESS
□Number …
1.brace yourself jason / 2.hasty boom alert / 3.mushroom compost / 4.blainville
5.lunatic harness / 6.approaching menace / 7.my little beautiful / 8.secret stair pt.2
10.wannabe / 11.catkin and teasel / 12.london / 13.midwinter log

□Comment …
μ-Ziq(ミュージック)ことmike paradinas(マイク・パラディナス)の1997年のアルバム。
ミュージックはAphex Twin(エイフェックス・ツイン)ことrichard.d.james(リチャード・D・ジェイムス) の1番弟子とも言われるUKテクノ界の奇才の1人。そのリチャードとは98年に『Mike & Rich』(邦題は『ゲームの達人』) というタイトルでアルバムを出してもいます。

師弟関係とは言われつつも、マイク自身は以前インタビューで「リチャードの作品はあまり聴いていない」というような ことを言ってましたが、果たしてどうなんでしょう。それでも本作を聴くとエイフェックス・ツインの『リチャード・D・ジェイムス・アルバム』 と触感が似ている(特にM-7などはエイフェックス・ツインのアルバムに入っていてもおかしくないくらい)ことから、 やはり互いに影響を与え合う関係なのは間違いないようです。
ミュージックはもともとは今とは違った方向性を持っていたようですが、次第にサンプラーを使った音楽をメインとするようになったそうです。 そして本作、なわけですが、エイフェックス・ツイン以降の変態ブレイク・ビーツと時に凶暴で時に静謐で神秘的なシンセ音が合体しています。 たとえばM-1や2、3などは、リズムはとんでもなく乱雑でバキバキしてるんだけど、上に乗っかるシンセ音があまりに美しくて、 まるで深海に荘厳な神殿が全自動かつ高速で建築されているような、どうしようもなく神秘的なイメージ。このセンスはスゴイとしか言いようがない。 かと思うとM-5では骨太のタフなビートと野太い呼気みたいな声が聴こえてきたりして、どうにも狂人的(lunatic)な二面性。
それでも全体的には師匠格のリチャードの作り出す音よりは変態度は低め。代わりに神秘性高めに思います。僕としては冒頭の3曲だけでも買い。

もちろんと言うかやはりと言うか、踊りを意識してはいないサウンドで、ベッドルームミュージックと言うんですか、部屋でヘッドフォンつけて聴くような音楽です。


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