MONTHLY RECOMMEND [2006, May] Home

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Artist(s) … KAITO
Title … HUNDRED MILLION LIGHT YEARS
Number
01.color of feels(album mix) / 02.natural source / 03.hundred million light years(album mix)
04.nobody could be alone / 05.we were born here / 06.holding a baby
07.your brilliant flowers / 08.life goes on / 09.the universe

Comment
一応説明しておくと、このkaitoというのは、さまざまな名前で活動してらっしゃるヒロシ・ワタナベさんの別名義にあたる。そしてkaitoにとってはこれが2枚目のオリジナルアルバム。 2006年リリース。レーベルはKOMPAKT(コンパクト)。テクノ系だね。っても僕はワタナベさんの手になる作品を聴くのは初めて。ジャケット(ワタナベさんのお子さん。ちなみに“カイト”というのも、お子さんの名前である)に惹かれたのと、あとちょっとこういった音を自分が欲していたのもある。

音を言うと、アンビエントというか、エレクトロニカというか、まあそんな感じでイメージ湧きますよね(笑)。あ、でもアンビエントって言っても、抽象的に過ぎない作りです。リズムレスではないし、ビート(って言っていい?)がしっかり入ってるし、シンセサイザーによる柔らかいメロディラインも耳に残るものです。だから、厳密には「アンビエント」とは言えないのかも知れないけれど。これからインタビューを読むとこだから、あんまハッキリ言えないけれど、この作品にはどこか「命」や「宇宙」といった大きなテーマを感じる。アルバムタイトルもコレだしね、曲のタイトルにもそんなニュアンスが多分に感じられる。だから、だろうか、音から受けるイメージは、どこか冷めていながらも、温もりを、優しさを感じさせる(たとえば、心臓の鼓動を思わせるような、そのリズムに)。そしてミニマルなシンセフレーズからは、寄せては返す波を、また別の方向から入り込むウネリを持ったフレーズからは、はるか彼方から差し込む光を、それぞれ感じる。遠いけれど、確かな光。ちなみに僕が一番好きなのはM-4。タイトルも印象的だけれど、ノスタルジアを感じさせるメロディとそれを加速させるリズムの相乗効果で、僕はどこかへ連れて行かれる――気がつけば、途中からメロディの音色が変わっていることにも気づかぬまま、である。お見事。ちなみに、前アルバムでは、そこからリズムを取り払った、ノンビートなアルバムも作ったようで、今作でもその予定があるとのこと。聴きたいね。

さて、この作品を聴いて僕は気づいた。改めて感じた。僕は透明になりたいのだと。あらゆるシガラミから解き放たれたいのだと。別に難しい話ではない。ただ、そのまんまである。誰にもつかまりたくない。追いつかれたくない。絡まれたくない。でもだからといって、光のスピードで突っ走りたいわけではない。ただ、そこにいたいのである。それは透明ではないが、草木や石のように、そこにいて、時の流れに身を任せられたら。・・・というようなことを感じさせられた、この作品には。僕が存在しながら、存在しなくなる。From here to anywhere. そして僕は覚醒しながら、眠りにつく。一億光年の彼方で。




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