MONTHLY RECOMMEND [2006, July] Home

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Artist(s) … SLEEPAWAY
Title … SLEEPAWAY
Number
01.nice shoes, hollywood! / 02.time, traffic, and weather / 03.best unspoken
04.from my bed to yours / 05.who needs the radio when you've got me?
06.what are you gonna say when I call you?/ 07.understand / 08.if I try
09.something of a saturday / 10.sorry I never bought you a car or took you to vegas
11.wait for me / 12.breathing winter
※11、12曲目は日本盤のみ収録。

Comment
メンバーは、Alex Tiberia(G/Vo)、Mike OMara(G/Vo)、BrettMikoll(Key/Vo)、Ryan Hoener(B)、 Shawn Stoyle(Dr)の5人である。ニューヨーク州はバッファローで2005年に結成されたという新人バンドである。 そしてわずか結成2ヶ月の初ライヴでレコード契約を獲得したという強運(そして運も実力のうち)。 まあこれ以上細かい説明も「なんだかな」、なので省きますが、解説にもあるように、これぞ稀に見る「サクセス・ストーリー」。

どこから始まったのか分からないが、エモというブームがあった(厳密には今もあるだろう)。僕の中ではそれは ゲットアップ・キッズやジミー・イート・ワールド(ジミーズ)で始まっているのだが、このスリープアウェイも、 そのエモの流れに位置付けられている。しかし昨今はエモも枝分かれが激しくて、今では形式化した観のあるスクリーモから、 叙情系エモなんて、奇妙な括りまである。あえて括りに入れるなら、このスリープアウェイも、叙情系(あるいは叙情派)エモ、だろうか。 でも言ってしまえば、たとえばジミーズの『クラリティ』だって叙情系と言えると思うし、本作の手触りは、あの『クラリティ』 に近い感じがする。もっと整理された感じではあるけれど。

冒頭のアンビエントなシンセ音に乗るアレックスの歌声は、繊細で、はかなげで、けれど透明感があるような気はしない。どこか モソッとしているんだけど、なんだろう、ときおり元ヘイ・メルセデスのボブ・ナンナを思わせるときもある(ということは、 どことなく初期のデイヴ・グロールなテイストもあるのかもしれない、よく分からないが)。そしてそんな声で歌われるメロディがまた、 これまた全編に渡って、切な系である。日本人はきっと好きな人多いだろうと思う(Oceanlaneが好きな人なら、きっと気に入るだろう)。マッチョなテイストは皆無。 歌詞の内容は、恋愛のことばっかりなんだけど(でもこの時点で平均年齢19歳だからね!)、でもメロがいいから許す。 それほどに珠玉のメロディがつまっている。

かき鳴らされるギターの中で、クルクルと舞うアレックスの声や、いくつかの楽曲にある蒼い疾走感は、確かにエモ的であるんだけれど、じっと 聴いていると、もはやここに「エモ」という言葉は無意味であることに気づく。なぜだろう、エモ的な要素を出しながらも、もっとメインストリームに寄った感じがするから、だろうか。ロックバンドと言っても、まったく差し支えないと思う。 そう思ったときに、日本盤の帯に書かれた文を見て、ハッとする。「エモがエモである為に、エモがエモでなくなる為に」。ウマイ。

惜しいのはアルバム全体で曲調が均一であること、もう少しメリハリがあれば、もっと良い作品になったはずだ。 そして、各曲のタイトルだが・・・・・・なげーよ!! もう少し簡潔にできないものか(笑)。ちなみに僕が好きなのは冒頭2曲である。 M-1の、リズムチェンジして、視界が一気に広がる感じ、そしてM-2の抑えたメロ/ヴォーカルスタイルで「溜め」てから、伸びやかに歌われるサビで「爆発」 といった、この対比がたまらんね。ライヴも観てみたい。この繊細さを生で出せたら大したもんだ。




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