MONTHLY RECOMMEND [2006, August] Home

■Monthly Recommend Topへ


Artist(s) … OGRE YOU ASSHOLE
Title … OGRE YOU ASSHOLE
Number
01.また明日 / 02.ユーレイ / 03.タニシ / 04.カイセントウ
05.カポ / 06.どっちかの角 / 07.ロボトミー / 08.J.N

Comment
OGRE YOU ASSHOLE(オーガ・ユー・アスホール)の1stアルバム。2005年リリース。 オリジナルメンバーは出戸学さん(でと・まなぶ:G/Vo)、馬渕啓さん(まぶち・けい:G)、 平出規人さん(ひらいで・のりひと:B)、西新太さん(にし・あらた)の4名のようでありますが、 西さんが病気療養中のため、現在は勝浦隆嗣さん(かつうら・たかし:Dr)が加入しているようです。 ということで4人組。

名前だけはチラホラ聞いていたものの、ダイレクトに音が耳に入ってくることがなかったので、 なかなか手が伸びなかったのですが、ナンダカンダでこのたび購入に至りました。聴いてみると、 こういうのを一癖(くせ)も二癖もある、と言うのだろうなという、不思議な音である。 音は極めてスマートで、各楽器の音がまるでパーツのように組み合わされて、構築美というか、 テクニカルな印象が割と強い。特にイントロにはその傾向あり。アウトロに関しても、傾向があって、 長いインストでもってグイグイ引っぱって終わらせる感がある。そういうところから見るに演奏力に 自信アリ、なのであろうか(決して音源で断定はできないけれど)。

しかし特筆すべきは、隙間の多い音に乗る摩訶不思議な歌詞である。意味があるんだかナイんだか、 たとえばこんな具合――『骨ゆがんだの 優先に彼また使ったら あっめりこんだ めりこんだって  言っているのだろう 意味のないあいさつはもうやめにしよう 狂った改札を通るのもよそう』(M-5)、 『目の隔離っていったいなんだい 目の博士は知っているよ・・・(中略)・・・ねころがっててもダンスダンスするよ  よく見てみると死体だったりするよ』(M-6)。なんじゃコリャー。歌詞カードの手書きの文字(ヘタクソでございます)は、 どこかナンバーガールを思い出させたりもする(間違いないように言っておきますと、音は違うんですけど)。

スカスカ気味の音と、脱力したボーカル(ときにフィッシュマンズ)、奇天烈な歌詞、決して焦燥的ではなく、機能的な演奏、どこかひなびたメロディ、 そこから立ち上る独特のサイケデリア。なんとなく、ゆらゆら帝国にも通じやしないだろうか(すいません全く音源は持ってないんですが・・・)。 使われている歌詞やジャケット(カッコイイ。描画は西さん担当)からすると、さらに言えば、バンドメンバーの人となりをまだ僕が知っていないこともあるのだろうが、 イメージは少しばかりグロテスクである。がしかし(と言うほどでもないが)、気にしておいて損はないバンドさんだと思う。 音源とはまた一味違うというライヴは、一部ではもう以前から話題を呼んでおる。すでに海外バンドとも共演を果すなどもしている。 そして次の10月には、1stミニアルバム『平均は左右逆の期待』(すごいタイトルだ)がリリースされる予定。



Artist(s) … SCSI-9
Title … THE LINE OF NINE
Number
01.teplyi dym / 02.elegia / 03.eclair de lune / 04.the line of nine
05.endlich / 06.little leaves fall / 07.senorita tristeza / 08.sweets and love
09.on the edge / 10.albali / 11.morskaya / 12.ne contsom a coltsom

Comment
ロシアの2人組み、Anton KubikovとMaxim Milyutenkoのユニット。これ以前にもリリースはあるようですが・・・すいません詳しくは知りません。こちらは以前取り上げたkaitoのリリースもあるKOMPAKT(コンパクト)からのリリース。2006年。

冷めたビートに憂いを帯びたシンセが絡むという、テキストにすると何とも簡単で、イメージも浮かびやすいと思うんですが、しかし、こいつは秀逸です。1曲目こそ、ボソッとしたヴォーカルが印象的な(といってもほんの少ししか出てこないけど)、モヤモヤナンバーなのですが、2曲目からは、だんだんと太いビート・リズムが前面に出てくるようになり、そこに乗るミニマルで瞑想的で、美しく、そして耳に心地よい(POPなのだ)メロディにいつしかさらわれている。漂白された、無菌的な、この感じ。僕は大好きだ。だからイメージは白。

惜しいのは全部リズムがついてしまっているとこ。何言ってんだって思われるかもしれないけど、僕は3曲目はリズムレスでもいけたと思うな。ドビュッシーの「月の光」を思わせるイントロが、ホワイトノイズ(?)の中で鳴ったときには、思わずブルッとしたもんさ。そのまま静謐な空気に身を浸したかったのだが、リズムがスタートする。もちろんそれも◎なのだけど。ここだけリズム抜いても、メリハリあって、面白かったかもしれない。

ホントこういったエレクトロな盤だと、曲ごとの弁別が難しい(似たり寄ったりで)ってことがよくあると思うんだけど、この盤はそんなことがない。信じられないことに、どの曲も印象的なメロディを持っていて、粒よりなのである。素敵な盤だと思います。ジャケットも美しい(白い壁をバックにした植物)。




■Monthly Recommend Topへ



welcome to my world.