MONTHLY RECOMMEND [2006, October] Home

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Artist(s) … VARIOUS ARTISTS
Title … THE SILVER #02 DESTRUCTOR
Number
01.the silver case[Film Window Mix]by Sugiyama303 / 02.kusabi[Love or Die Remix]by Die Trax
03.moon[Ws Lecture Pt.1]by Sugiyama303 / 04.moon[Ws Lecture Pt.2]by Sugiyama303
05.moon[K & HCB RMX]by Kohei & His Computer Band / 06.Uehara Kamui[NYNY Mix]by Maru
07.moon[Humanity and Justice Mix]by Ryuji Nishida
08.the silver case[Tuesday Bloody Tuesday mix]by Kayou Ihara
09.investigation[K & HCB RMX]by Kohei & His Computer Band
10.moon[Ws Lecture Pt.3]by Sugiyama303 / 11.kusabi[His Big Will Mix]by Ryuji Nishida
12.kouichi[From Kansai To Kanto Mix]by Shinya Tanaka
13.the silver case[Absolute Zero Mix]by Taku Yoshida

Comment
これはGHM(grasshopper manufacture)から出されている『シルバー事件』というアドベンチャーゲーム(という言葉は使いたくないのだが、他に適当な言葉を思いつかないので、仕方がない)のサウンドトラック、のリミックス盤である。2006年リリース。「#01」は『STRUCTURE』というタイトルで、これがオリジナルサウンドトラックとなっている。こちら(#01)は、再発ものであり、既発作には収録されていなかった曲が数曲入っているのだが、いかんせん、そこにゲーム中の効果音がそのまま入っているのはなぜ? 音源なかったのかしらん? といったように、「?」な箇所があり、個人的には満足できなかった。

で、そのリミックス盤であるが、これが、アレだ、聴き応えがありますな。特にM1〜2への流れが素晴らしい。1曲目は、解説にもあるように、原曲を使うというよりは、ゲーム中の効果音を随所に散りばめて、それをリズムトラックの上で自由自在に遊ばせている感じなのだ。実験的、といってもいいだろう。その無機質さの次にやってくる2曲目は、クサビのテーマ曲のあの印象的な旋律をダンスビートにのせた、なんともクラブ仕様なリミックス。ゲーム中で使用されてもおかしくないほど、世界観にも溶け込んでおり、ひどく興奮する。1曲目を手がけた、Sugiyama 303なるアーティストは、他にも言語哲学者の講義録(の朗読)を使用した、M-3、4、10を仕掛けてきており、実に楽しませてくれる。

一瞬、エイフェックス・ツインの曲で感じるような、奇妙な望郷感がよぎるM-5、トランスチックなM-6、エレクトロニカな出だしから一転し、エレキギターが炸裂し、リズムが走り出すM-11など、選択されている曲は同一のものが多いながら、飽きさせない構成に仕上がっている。中でも印象的なのはM-13。解説にもあるように、もろシューゲイザーのアレンジに仕上がっている。シルバー事件のテーマ曲のメロディを使ってはいるものの、ほとんどオリジナルな曲。轟音ギター(やや控え目)の向こうを彷徨うウィスパーヴォイス。唯一のヴォーカルトラック。嵐やKAT-TUN、推定少女等を手がける「吉岡たく」氏の仕事であるが、色眼鏡をかけてはいけない。最後をキッチリ締め括ってくれる。

というわけで、期待に違わぬ出来・・・と思ったら、シークレットトラックがある。再発のオリジナルサウンドトラックからは省かれていた、シルバー事件のテーマ曲のリミックスが、最後の最後に入っている。しかも冒頭には、ゲーム中、国際環境ビルの屋上で「カムイ」が射殺されるシーンのSEが、そのまま入っている。町の喧騒を眼下にしながら、月明かりの中に佇むカムイ。それを両隣のビルから狙う狙撃隊、食いしばられる歯、引かれる引き金、発射される銃弾、それらがカムイを貫く音と、溢れ出す血の粘液質の音。カムイがコンクリにどうと倒れこむ音。そして始まるリミックス。うむ・・・いい演出だ(余談だけど、昔ミックステープを作った時に、『ムーンライトシンドローム』の「浮遊」の冒頭にある、あの飛び降りシーンのSE[悲鳴と何かが潰れる音]を使ったことがある)。ちなみにこのリミックスを手がけたのは、Hidenobu Itohとなっているが、この名前は、良質エレクトロニカをリリースする涼音堂茶舗から作品を出しているOto-graphの1stアルバムにもある。そちらの最終曲のリミキサーが、Hidenobu Itouとなっているが、果たして同一人物だろうか。

というわけで、かなり繰り返して聴いても、この盤は飽きないのではないか。そう思う。そして『#01』のライナーを見ると、どうやら『シルバー事件』の続編である『シルバー事件25区』のサントラも控えているようなので、これは楽しみだ!!




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