MONTHLY RECOMMEND [2006, November] Home

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Artist(s) … SLEEPY.AB
Title … PALETTE
Number
01.四季ウタカタ / 02.メロディ / 03.mass gymnastic display / 04.palette
05.white / 06.遊泳スローモーション / 07.parallel world / 08.ホログラム

Comment
1998年結成のsleepy.ab(スリーピー:“ab”は表記の際に用いるだけ)。北海道は札幌を中心に活動している4ピース。メンバーは成山剛(Vo/G)、山内憲介(G/Cho)、田中秀幸(B/Cho)、津波秀樹(Dr/Cho)。これは3rdアルバムで、2006年冒頭にリリース。全8曲で、その他に“メロディ”“mass gymnastic display”のビデオクリップをPCファイルとして収録(案の定、僕のポンコツPCでは見れないが・・・)。

僕はこの作品しか知らないわけなんだけど、音楽性は多岐に渡っている。M-1や2は、メロディ(決して明るくない)がハッキリしており、バックトラックは浮遊感、アンビエントな音像を持ったPOPな曲。特に2曲目は個人的にズバ抜けていて、コレを聴いていると、目に入る全ての景色がこの曲のためのオブジェクトと化す。「悲しいとか 悔しい気持ちを 繰り返していくのは 楽しいとか 嬉しい気持ちを 眩しくするためなのかな」という歌詞も、黄昏たメロディとマッチしており、これは名曲だ。緻密な構成の中で、中盤突き上げるギターもいいアクセント。すべてがシックリ来る。

そんな路線で行くのかと思いきや、M-3からはいきなりギョッとするくらいアブストラクト、つまり抽象的な音が飛び出してくるから、一筋縄ではない。密閉された空間を思わせる、息詰まるようなベースと地下世界で猛るドラム。チェロやバイオリンが切迫感を倍化させ、その中で呟きにも似た歌が空間を彷徨う。と思ったら、M-4では牧歌的な優しいメロディが飛び出して、視界が開けて、光が射す。これは極めてハッキリした音像で、チャカポコした音も聞こえてきたりして、実に暖かみがある。と、ここまで聴くと、頭が混乱気味になるのであるが、残る曲たちがやはり抽象的な音であるので、バンド名の“ab”=「abstract」にあるように、それが彼らの持ち味・スタイルなのだろう。

そんな、さまざまなタイプの音に1本筋を通しているのが、ボーカル成山氏の声だ。早く言えばフィッシュマンズ系。そう言ってしまうと、分かりやすいだろうか、ポラリスやボノボと言ってもいいだろうか、そんな声。でもスリーピーの音は、サウンド的にロックを感じさせる部分が強い。POPミュージックというには、何かシックリこない。そんなサウンドに乗る成山氏の声は、やはり新鮮。曖昧なようでいて、矛盾に筋を通そうとするような、歌詞世界も嫌いじゃない。気配りを感じさせる緻密な音作りや、無機質で抽象的な人物画を配したジャケットのアートワークも僕好み。年明け早々に都内でもライヴが決定しているので、要チェックだ(※ちなみに、年末より、ライヴ会場限定でライヴ音源販売の模様)。そんなスリーピーの公式HPはコチラ




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