MONTHLY RECOMMEND [2007, June] Home

■Monthly Recommend Topへ


Artist(s) … The Hills
Title … Noman's Land
Number
01.カッター / 02.Sonic Blue 春雨 / 03.冬ノ風 / 04.Hi-Night / 05.Snow mountain
06.Noman's Land / 07.You'll never call me again

Comment
2004年、ところは新潟にて結成されたThe Hills。メンバーは、小柳佑貴(Vo/G)、梅津慶輔(B)、渋谷孝政(G/Vo)、坂上祐介(Dr/Co)の4人。2005年には1stミニアルバム『空虚なガール』を発表(現在ソールドアウト。それ以前にもデモや限定音源を発表しているが、いずれも現在はソールドアウト)。なお『空虚なガール』収録の“Snow mountain”“You'll never call me again”は、本作にも入っているが、再録かどうかは未確認(おそらく再録だと思いますが)。2006年リリース。

2005年には、Art-shool、フジファブリック、DOPING PANDAの新潟公演でオープニングアクトを務めたという事で、そこからのイメージもあるのだろうが、最初に聴いたときに感じたのは「Art-shool」であった。それも今現在のような落ち着いたモノではなく、一度目のメジャーデビューの頃にあったような、ヒリヒリした感じ。そして聴くうちに、「Art-shool」を透かして、「Number girl」が見えてきた。絡み合う鋭いギターと、ドコドコしたリズム、性的な事象を連想させる歌詞、そして“暴発”の予感を孕んだヴォーカルスタイル(ひいてはサウンド全体がそれを孕んでいる)。もちろん、今あげた2者と、このThe Hillsが“酷似”しているわけではない。あくまで影響を感じるだけだ(その線引きは難しいけれど)。

年を重ねるごとに、どうしようもないんだけど、ハッキリと焦燥感が失われていく。繰り返される日々の中で、何かに追われている感覚が、ドンドン鈍くなっていく。Art-schoolもNumber girlも、焦燥感の塊みたいな時期があった。僕は自分自身の焦燥感をどうにかしようとして、そういった時期の彼らの音をよく聴いたもんだった(今でも聴くけれど、回数は比べ物にならない)。The Hillsのこの作品には、僕には懐かしい焦燥感がある。いや、正直言えば、それは今でも僕には焦燥感はあるんだけど、それは以前のモノとは質が違う気がしていて―いや実際違うんだと思う。自分が何に追われているのか、そいつから逃げるにはどうしたらいいのか、今の僕は分かっている。でも思春期は、追ってくる何かが正体不明で、質(たち)が悪い。つまり、The Hillsの音には(正確には本作には)、「どうしたらいいのか分からん!」という、原因不明の苛立ちが刻まれているように思う。まあね、突き詰めれば、それは人間関係(異性同姓問わず)に起因しているのだろうけれど。

特徴的なのは、メインボーカルが2人いて、曲によって入れ替わる、という点だろうか。1曲の中で絡み合うことはないようだが、ライヴではやはり一緒に歌うのだろうか。また、曲作りに関しても、数人が曲を作れるようであるが、どうだろう、基本的に作った人が歌っているんだろうか。小柳君の歌が先に言ったように“暴発(の予感)”を感じさせるとすれば、対して渋谷君の歌声は、どこかクールなのだな(たとえて言えば、アシッドマンみたいな)。突っ走る曲は“カッター”(ホント素敵)だけで、ややミドルテンポの“冬ノ風”(なぜかしら“和”テイスト。後半の、ギターと上り詰めるボーカルの絡みは堪りません)や“You'll neve call me again”が光っているところからして、本来的にはスピード型ではないのかもしれないけど、もっと“カッター”みたいの出てくると、良くも悪くもドカーン!といくでしょうね。

歌詞カード熱心に読んでいたら早速汚してしまって悲しかったのだが、“You'll neve call me again”“夢がこみあげ”で、さり気なく韻を踏んでいるところにまた、先人たちの匂いを感じたり。この手の音を延々リピートして聴ける精神ではなくなってしまったが、夕方に1回、通して聴くと抜群にイイです。何かが沸いてきます。




■Monthly Recommend Topへ



welcome to my world.