2005.11.30‐「BASE BALL BEAR in 下北沢 SHELTER」


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2005.11.30−「BASE BALL BEAR in 下北沢 SHELTER」 Home Set Listへ

ベースボールベア―のシェルターワンマンコンサート。

うーむ、頭の中で最終曲の
“BOY MEETS GIRL”が回っております。

 「泣き出ぁし、そうな空ぁに
 泣き出ぁし、そうな俺っでもっ」


って。
何か思い出そうとすると、
そればっかり出てくるよ。
ってことでそれで終わりってのは・・・ダメ?
ダメ。ダメですよ。そりゃダメですよ。ええ。

彼らのライヴ(以下コンサート)は3回目だけれども、
見るたびに、よくなっていると思う。
なんか上からもの言ってるみたいでイヤだけど、
でもホントにそう思います。
サウンドとかグルーヴとか音のバランスとか声の出とか、
歌詞の聴き取れ具合とかね。
見るたびによくなってる。
でーもー、何か足りない。
あと1歩たりない。欲張り。
期待通りなんだけど、期待通りで終わってしまった。
素晴らしかったんだけど、
僕の想定範囲内で終わってしまったのが、
少し残念だった・・・ってスイマセン、イヤな言い方で(笑)。
なんかコッチの期待をいい意味で裏切るような、
そんな部分が今回は見られなかったなあ。
前回の方が、僕は印象がよかったかもしれない。
お客さんの、なんていうか、雰囲気が少し
おとなしかったせいもあるかな。
前はみんなガクガクピョンピョン動いてたもんね。
今回はわりとみんな落ち着いて見てらっしゃったから。
だから何となく、迫ってくる感じが、
包まれる感じが、僕には少なかったのかもしれない。

客入れ時の音楽は、小出くんの大好きなXTCだった。
7時からさほど遅れずメンバー登場。
珍しく関根ちゃん(B)がステージ前に出て大きく伸び。
Tシャツの下からヘソを見せつける(笑)。
いつものごとく、始まる前に、
ドラムの前で顔を付き合わせる4人。
小出くん(G/Vo:ちなみに紺のポロシャツ)が何か言ったのか、
堀之内くん(Dr)に頭をはたかれていた。

1曲目は僕も大好きな“サテライト・タウンにて”
スローなイントロに乗せて、小出くんが歌う、

 「舞い上がる君のページ渦を巻いて
 眼で追うだけで 決して掴もうとはしなかった」


そのあと、湯浅くん(G)のクルクルした螺旋ギターが鳴り響く。
オオゥかっこいいねえ。いつの間にかこんなアレンジになって。
あの渦を巻くギターがねえ、僕の頭の中では、
思い出が舞う光景と見事に重なるわけですよ。
思い出の1ページが渦を巻いて空に舞い上がるその光景。
それをコートのポケットに手を突っ込んで見ている誰かさん。
いい曲です。大好きです。
次は、“つよがり少女”だったかな。
僕は最近「夕方ジェネレーション」ばかり聴いてて、
この曲もそこに収録されてて、
頭に馴染んでたから、ジャストタイミングでした。
やっぱりCDで聴くよりもライヴで聴いた方が◎っていう
バンドさんやアーティストさん多いと思うんですけど、
それでもCDに比べて「えぇ?」っていう方々も
中にはいると思うんですよ、少なからず。
でもベースボールベアーは絶対コンサートで聴いた方がいいね。
間違いなく、そう思う。
彼らのCD聴いて、気に入ってる方々は、
コンサートに行ってみることをお薦めします。
音が分厚くて、勢いがあって、肉体性があって、
声もよく通るし、音源よりも世界をガバッと広げてくれる。
3曲目が・・・ってそろそろアヤフヤになってくるんだけど、
“YUME is VISION”だったかな・・・。
前聴いたときよりも音の輪郭がはっきりしててよかった気がする。
このあと多分“空飛願望”“白雪の彼女”
それから僕の知らない曲(校庭に渦巻きが・・・ってヤツ)が続いて、
この辺りから、ちょっぴし、会場がいい雰囲気になってきた気がする。
やっぱ『ハイカラタイムス』にはダンサブルなリズムが多いもんな。
あそこからの曲は、お客さんも反応しやすい、うん。

僕は彼らのコンサート、いつも曲をよく覚えてられない。
流れを覚えていられない。いいことなのか悪いことなのか。
なんでだろー帰りの電車の中で考えてみるも、
イマイチよく分からない。決してファンでないとか、
そんなことはないんだが・・・。なぞだ。
5曲目か6曲目、あるいは7曲目、“aimai memories”
弦をぶっとばした小出くんがギターを換えている間に、
堀之内くんが、ズン・カン・ズン・カン・ズン・カン・ズン・カンと、
バスドラムとスネアでリズムを叩き出す、
小出くんはギターをしょいながら、

 「ダンス、湯浅将平っ」

と、ギターの湯浅くんに手を伸ばす。
前にもあったなあこんな光景。。。(笑)
しかし今回の湯浅くんはだいぶ違った。
ちなみに今回彼は髪を結ばずに、いきなりほどいた状態。
みうらじゅん氏のようなあんな髪型で、踊り捲る!
しかもけっこうハッスルしていた。
ノホホンとした雰囲気なんだけど、動きは実にキレがある。
ギター同様。さすがヴォルケーノ湯浅。髪がヴォルケーノ。
湯浅くんの動きが、だーいぶ小刻みになってきたところで、
小出くんがギターでリズムを刻み始める。
ちなみにベースの関根ちゃんは手拍子でリズム。
と、小出くんがマイクに向かって

 「ダンスフロアに
 ◎×なひ〜かり〜
 僕をそっと 包むようなハーモニー」


ってアレ?一瞬新曲かと思いきや、
メロディを聴けば・・・
アラこれは“今夜はブギ―バック”!!
こんな速いリズムだから気づかなかったが・・・
面白い。今夜のハイライト。ダントツ。
ズンカンのリズムとギターの刻みだけで、
そのまま最後まで歌うのかと思ったら、途中から

 「やめてしまったの?詩を書くことも。
 けっこう良いことだと思っていたんだけど」


ってアレこれは“SAYONARA-NOSTALGIA”
うお“今夜はブギ―バック”からそのまま繋げた!
リズムそのまま!なんか新鮮。面白い。DJ感覚。
どこで思いついたのかね〜
“今夜は〜”“SAYONARA〜”が繋がるって。
弦が切れてなかったらなかっただろうか、
イヤそんなことないか・・・。
でもいいもの見させてもらいました。面白かった。
また“SAYONARA〜”にはタメというかブレイクが
随所に散りばめられているけれど、これがカッコいいなあ。
特にドラムの堀之内くん、曲の調子が切り替わるとこの、
丸め込む?ような感じのドラム。いいなあ。

しかしこの後も小出くんは弦を切りつづける。
セットリストが読めないもんだから、
目の前に持ってきつつ、しかし読みにくいもんだから

 「えー業務連絡です。
 マネージャーさん、今度からセットリストは
 マジックで書いてください! いっさい見えないんでね!」


と言い切って、コンサートの感想をお客に聞く。

 「気持ちいい」

と言われると、

 「気持ちいい?  今夜のオカズに、どうですか」

って返す。あろうことか、そのまま続けて、

 「関根史織を、今夜のオカズにどうですか?」

って前の若人に問う(笑)。オイオイ(笑)。
関根ちゃん笑う。多少「モー」という感じもあり。
小出くん、関根ちゃんを向いて笑い、
口の端から舌をチロリと出して、親指を立てる。
まるで「イカシテルぜ」とでも言うように。
そして関根ちゃんを、前の若人に

 「悩殺してしまえ」

と言ってけしかける。何やってんだ(笑)。
いつから関根嬢はセクシー路線になったんだ。
その後、ベースの関根ちゃんが出演した
『リンダリンダリンダ』のDVD発売を告知して、
「売れたら印税が入る」と金の話(笑)をした後、
“極彩色イマジネーション”へ。
このあたりで再び弦が切れる。
“向日葵の12月”で切れてたし、その前にも
1本切れてたように思う。切れすぎやー。
そんなギターに小出くん、

 「今日は僕のギターは悪い子ですねぇ、ヘッヘッへッ
 ちょっと気合入りすぎちゃったかなあ、ヘッヘッ」


って妙なテンション。と思ったら、

 「バカ野郎があぁ!! アッハッハッハッァ!
 ハァッハッハッ・・・フフッ」

ってなんだこの昂ぶりは(笑)。新たなキャラが。
そしてこの後、落ち着いた小出くんは
ギターをテロテロ弾きながら、妙な小芝居を・・・

 「あ、お母さん、夕日だよ」

ってまずは甲高い声で。子供か。
湯浅くんはTシャツの袖で汗を拭いながら笑っている。

 「ホントだ。スゴイねえ」

ってお母さんか。小出くん早くも笑い出した。

 「あ、眼がかすんできた・・・ダメだ、こんなときは、
 こんなときは、水色のドラムのあの人を呼ぼう、せーの」


後ろのドラムセット(水色ドラム)を向いて、

 「堀之内くーん」

ってスタンバッてた堀之内くんが、

 「ユウ、ガッガッガッガッガッタ、
 ジッェネレーショーン」

ってカウント?して“夕方ジェネレーション”へ。
この後は、たぶん“メタモルフォーゼ真っ最中”や、
「調子に乗って曲順を間違えたけど、
お客さんには分かるわけがないわけで、
僕は全然動揺してないわけで」

という小出くんの言葉に続いての
(湯浅くんは「え?」って顔してたが[実は間違ってなかったらしい])
“彼氏彼女の関係”。この辺はもう手堅い。
安心して聴いていられます。やっぱりいい曲だー。
関根ちゃんのコーラスはあんまり今日は響いてこなかったなあ。
でもベースの弾きっぷりはカッコよくなった。
相変わらずベースの方がデカイ印象は拭えないけれど、
徐々に背伸びをするようにタメを作ってって、
それを爆発と同時に一気に落とす、あれがもうカタになってきましたね。
無理してる感じも全然なく。足も上がるし、ヒザも落とす。
カッコよくなった。汗はほとんどかかないんだけれど(大丈夫かな)。

本編ラストを覚えていないんですが、
最後の方で新曲“CRAZY FOR YOUの季節”を披露(これが最後でした)。
もしかしてリズムが「どファンキー」なのではと身構えたのだけど、
予想外に普通のリズムだった(ように思う)。
でも目新しいのが、コーラスワークね、
小出くんと関根ちゃんの声がここまでガッツリ絡むのはなかったでしょう。
淡々としたリズムだけど、そこに乗るゆるーい起伏をもったメロディを、
男女ツインヴォーカルで聴かせるこの楽曲、
ちょっとだけ、“YUME IS VISION”を彷彿とさせる。
しかしまた聴きたい(コンサートで)。
堀之内くんは言葉数こそ少なかったが、相変わらずスマイルを発していたし、
時おり後方からメンバーを眺めながら、ニヤリとしていたのが素敵。
ほんと楽しそうだなあ、好きなんだなあ、ああやってグルーヴ作るのが、
って思いました。もっとしゃべっても良かったのにな。
湯浅くんは相変わらず激しいアクションを交えながらギターを弾く。
果たしてあれで弦が見えているんだろうか、
フンフンとポーカーフェイスで弾いているかと思いきや、
いきなり髪を振り乱して、アクションスイッチが入る、
うーん、不思議な人だ。メンバーの中で一番話してみたい人だ。
ちなみに小出くんの日記を読んでいる人には周知のことだけど、
湯浅くんと小出くんは同居している。ルームメイトっていうか。
あんまり会話の内容が日記には出てこないけれど、
二人の間にはどんな会話が行き交っているのだろう。
なんてことをたまに僕は思う。

話が逸れた。で、アンコールに応えて出てきたメンバー。
珍しく関根ちゃんが喋る。
バンドのこれまでのベスト盤?とも言われる
『バンドBについて』は売り切れてしまったが、
それに合わせて作られたTシャツが売れ残っていると、
なんでこんなに可愛いのに売れないのかと、
あたしは最近毎回コンサートで着ているのに、
いまいち売れないから、みなさんお願いしますと、
訴えておられた。うーむ真剣だ。
しかし僕は金がなくて買えなかったよ・・・。ごめんなさい。
と、そのあと「わあ」とか言いながら出てきた小出くん、
「まいったなあ」と小さく呟く。
そしてさらにピックを持とうと振り返ったときに、
「ああお前、関根、俺のピックこぼしただろ」 と関根ちゃんを叱責(笑)。
「ええ、あたしかなあ」と関根ちゃん。
「お前が一番近い」と小出くん。
しばし待って、「ごめんね」と関根ちゃん。
「みんなに聞こえるように言いなさい」と小出くん。
関根ちゃんマイクに向いて「ごめんなさい」
「よくできた」とギターをいじりながら小出くん。
なんだおい、これは。亭主関白か(笑)。
ちょっとした掛け合いが面白い。

 「僕に、悲しいお知らせがあります」

とアンコールを予定変更して2曲やることを告げたあとに、
ふいに言い出した小出くん。

 「さっきから弦が切れまくっていたギター、
 どうやら壊れていることが発覚しました。
 しかもこないだ仕上がったばかりだったんだけどなあ・・・
 はああ・・・悲しい・・・寂しい・・・」


と嘆く。

 「大丈夫!」

ってフロアから優しい声が飛ぶと

 「だよね! うん、頑張るよ」

って早いぜ立ち直りが。いやさ反応が。
レスポンス早いねえ、小出くんは。
何かにつけてそう思うわ。

アンコールは“TRAGIC HEROINE”および
“BOY MEETS GIRL”とガール並び。
“BOY MEETS GIRL”はやっぱりいい曲だ。
しかしまあ今回のコンサートは、
新しいリリースに合わせてのものではないし、
正確に言えば『バンドBについて』は出ているけれど、
それは会場販売および下北沢のハイライン店頭のみに
限られているから、実質的には
これまでにリリースした曲がメインに演奏されたわけだけど、
そのせいか、最新形という感じがしないんだなあ。
どことなく「サヨナラノスタルジア」ではないイメージ。
小出くんは日記で感傷的な歌詞はもう書きたくないと、
そう書いていたけれど、旧曲は感傷的なのが多いじゃないですか。
特に「夕方ジェネレーション」には。
だから僕は、小出くんの現在のモードが、
「サヨナラノスタルジア」とでもいうべき、
「バイバイ感傷」って方向に向かっているかなと思って、
そうであるならばコンサートはどんなんなるだろうと思っていたのだが、
そう言えば(先にも書いたように)リリースはないわけで、
だとするとこれまでの曲を演奏するしかないわけで、
そうすると自然「感傷」のムードが漂う。
うーん、新曲もっと聴きたかったかな、なんて(笑)。
そうすればキット彼らの最新形が感じられたであろうに。
でも今もって、「夕方ジェネレーション」は彼らにとって
大事な作品であるのだろう。それは感じた。
音源で聴くと、明らかに「以前」て感じなんだけどね。
コンサートで聴くとそれはない。
そういう意味では現在形が見れた。

で、今気づいたんだけど、僕が彼らのコンサートの流れを
よく覚えていられないのは、
たぶん(僕の)彼らの歌詞の受け取り方のせいだな。
音源、何回も聴いているけれど、
ギターやドラムのフレーズが耳に残っている曲は沢山あるんだけれど、
歌詞も思い出せる曲は、数曲しかない。
そういう、歌詞も覚えている曲が、
僕の中では「お気に入り」なんだな
(“サテライト〜”とか“aimai〜”とか、
 “彼氏彼女の関係”とか“BOY MEETS GIRL”とか)。
だから、歌詞が頭にないから、
あんまり覚えられないんだと思う、コンサートの流れを。
曲を聴くというよりも、音を聴く感じなんだな。
だから全編がつながってしまう、記憶の中で。
ときおりボコッと「お気に入り」が出てくると、
強く記憶に残るけれど、あとが一緒くたになってしまうんだ。
・・・なるほど・・・それが原因か。
しかしなぜ歌詞が耳に残っていないのかは謎。
バンドが「若い」から? 関係ないか。
別に「感傷」だから残らないってことはないはず。

いずれにしろ、次の音源が楽しみだ。
どんな世界を見せるのか。
そして僕の耳に果たして歌詞は残るのか(笑)。

なんだかんだ書きましたけど、結局カッコよかったです!
素敵なライヴでした。ありがとございました。
余談だけど、僕は下北沢にあまりいいイメージを
持っていないので、彼らにある「下北バンド」なイメージもイヤ。
ポーンと外に飛び出て「ロックバンド」になる日を待っている。


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- SET LIST -
01.サテライト・タウンにて
02.つよがり少女
03.YUME is VISION
04.空飛願望
05.白雪の彼女
06.君のスピード感
07.aimai memories
08.SAYONARA-NOSTALGIA
09.極彩色イマジネイション
10.メタモルフォーゼ真っ最中
11.向日葵の12月
12.夕方ジェネレーション
13.彼氏彼女の関係
14.CRAZY FOR YOUの季節
アンコール1.TRAGIC HEROINE
アンコール2.BOY MEETS GIRL
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2005/12/02
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