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2004.05.22−「Last Days Of April in HMV新宿South:インストアイベント」 Home

前日の好天とは打って変わって、
この日は曇り空で肌寒く、
僕が新宿の空の下を
HMV新宿Southのある高島屋に向かって歩く頃には、
ポツポツと雨も降り出していた。

2004年5月22日。
今日はLast Days of April(LDOA)が
HMV新宿Southで
インストアイベントを行うのだ。
新作『If you lose it』の発売をきっかけに、
クリエイティヴマンの「ニュー・ブラッド」という企画で
日本に招かれた彼らであるが、
その来日公演は5月24日わずか1日のみ。
チケット争奪戦は激しかった…のかどうか知らないが、
とにかく僕はチケットを手にすることができなかった。
完売。売り切れ。ソールド・アウト。
電話がつながったときには、すでにチケットは残っていなかった。

だが僕はあきらめきれなかった。
3rdアルバム『エンジェル・ユース』で彼らの音楽に絡め取られた僕は、
その後も『アセンド・トゥ・ザ・スターズ』、
そしてもちろん新作も、買いつづけてきた
(後者2枚は日本盤が出るの遅いから輸入盤で買ったけどね)。
だもんで、
僕はどうしても、どうしても、LDOAの歌を生で聴きたかった。

チケットをゲットできず、
LDOAとの生の接触をあきらめかけた僕だが、しかし、LDOAの公式HPに、
「今回の来日には、数日間のインストアでの催しも含まれている」、
というような記述があったことを思い出した。
慌ててネットを漁った僕は、
5月22日と23日に、LDOAが東京のHMV、
それからタワーレコード数店でインストアイベントを行うことを突き止めた。

これはいかねばなるまい。なんとしても。

そして…、5月22日、僕はHMV新宿South店へと向かっていたわけだ。
曇り空を眺めながら、歩きながら、僕は、
LDOA、とりわけ僕の好きな歌い手さんでもあるフロントマンのKarl(カール)が、
この日本の空気を、僕が吸っている日本の空気を、
今まさに吸っているのだと思い、興奮さえし始めていた(なんかバカだね;笑)。

僕は今回のように既知のインストアイベントを体験したことがない、
つまり偶然買い物中に出くわしたイベントしか目にしたことがないので、
通常、インストアイベント開始のどの程度前から客が集まり始めるのか知らなかった。
1時間前か? 30分前か? それとも10分前か?
そのためかなり余裕を持って来店したつもりだったのだが、
それが災いしたのか、HMV内の小さなステージ前にはそれらしい人が誰もいない。
いやもちろん、イベント告知の看板は出ているので、催されることは間違いない。
なるほど早すぎたかと、今回の経験を自分の糧にすることを誓い、
暇な時間を少しでも減らすために(というわけでもないが)、
僕は本日発売のVELVET TEENの『ELYSIUM』を探し、購入した。
待ち時間にコレを購入したLDOAファン、結構いるんじゃないかな?(いないかねー)。

それでも時間が余った僕は、マリタイムを試聴し、
まだ読んでいなかった音楽雑誌を読み、トイレに行ったりした。

そうこうしているうちに、ポツポツと、ステージ前に人が立ち始めた。
いったい何がきっかけで集まり始めるのだろうか? まったく分らない。
だがこのタイミングを逃してはならない。
僕も素早くステージ前の方(つーか最前列ね)に移動する。

でもまだ3時まで30分くらいある。なげー。
ステージに目を向けると、椅子が1脚しかないところからして、
イベントに出てくるのがヴォーカル/ギターのカールだけであることがモロバレ。
いや、まあ、バンドの核ですから、彼が出ないことにはコチラも困りますが(笑)。

20分くらい前…進行役のお兄さんが注意事項やイベント内容を繰り返し説明する。
仕切るのも大変だなーなんて思いながら、ぼんやり時間をすごす僕。

5分くらい前。ようやくテンションが上がり始める。体の中で。ひそやかに。
やっぱあの声で歌ってくれるんだろうか?
なんて、当たり前のことを自分に問い掛ける。

そして…
3時、3時、3時!
ついに進行役の男性がカールの登場を告げる。
そして、ステージ右のミキサー卓の横にある扉からカールが軽やかに…

って、ゲッ、超美形!!

高い身長に、スラリと(ホントにスラリと)伸びたスリムな手足、
真っ白い肌に、茶色と金色の中間みたいな色をした長めの髪、
そして小さい(ホンットに小さい)顔、それらの要素が漂わすのは、
子犬や小鹿のような少年性。

はっきり言いますけど、雑誌やプロモーションビデオで見るより、
はるかに、はるかに、はるかに、いい面(つら)してますよ!
これはファン心理とかじゃなくて、真面目な話。
一発見たときにまずそう思いましたから。
正直僕はね、写真よりもっとサルっぽいんじゃないかと、
密かに思ってたんですよ(笑)。
でも全然違いますね。
むしろ逆に、写真映り悪いんじゃないのと思ったくらい。

いやーびっくらこいた。あのルックスは反則だね。
男は少なからず凹み、女性ファンは2割増しでしょう(適当)。

カールは「Hi, I'm Karl」ぐらいのことしか言わずに、
回転スツールに腰かけ、アコギを手に取った。
そして『イフ・ユー・ルーズ・イット』収録の
「イッツ・オン・エブリシング」を歌うことを告げた。
ステージ前からこぼれる拍手。
と、この拍手に反応したカールの笑顔と言ったら!
口の端をクイッと上げて歯を見せながら、
目を細めて、顔をクシャクシャにして、
恥ずかしそうに、照れくさそうに笑うのだ。
「そんな、いや、拍手なんて、
 もったいないよ、でも嬉しいな!」みたいな。
この笑顔で、僕がカールに持っていた
「クール」というイメージは一発で崩れ去った。
それに服装だって、黒っぽい細身のジーンズに、
白いロングTシャツに赤地のTシャツを重ね着しただけで、全然カジュアル。
まったくその辺にいそうな「若者」(もちろんルックスは輝いてるんだけど[笑])で、
すごく親しみやすいキャラクターに思えた。

さて、カールは細い身体をふいごのように動かしながら、
アコギを弾き始めた。「イッツ・オン・エブリシング」。
アコギ一本だから当然アルバムとは違った触感になるわけだが、
僕の気が向いたのは彼の歌い方だった。
まあ海外の方の歌い方なんて、
こんな間近で見たことないから良く分らないが、
カールはときには息を吹き出すように
頬を膨らませて言葉を紡ぎだしており、
僕はそこに異質なものを感じ取った。
へえーみたいな感じだ。こんな歌い方するんだ、と。
それから彼は、口の形を巧みに変えることで、
口から出ている声(音)に陰影というか明暗というか、
アクセントをつけていた。
これまた「へー」だ。
なんか面白いというか器用な歌い方するなあと思う。
日本の歌番組に出演しているアーティストでは、
あんな口の動かし方する人はなかなか見たことない。
こういう歌唱法も、
LDOAの作品を個性化させるのに一役かっているのかもなあ、と思う。

歌が終わると、今度は進行役の男性からいくつかの質問が行われたが、
その最中、カールはなんか落ち着きがない(笑)。
スツールを尻の下でブラブラ回転させたり、
手の平をヒザの上あたりの高さで、
しきりにこすり合わせたりしている。
緊張しているんだろうか?恥ずかしがりとか?
でもヨーロッパではあれだけ精力的にツアーをしてきている彼(ら)が、
インストアイベントで「緊張」というのも妙な話だ。
まあオーディエンスが近いこともあるのかもしれないし、
初来日の初インストアイベントということも、関係あるのかもしれないし、
そこには僕らの窺い知れない事情があるのかもしれない。
でもやっぱりそういう「シャイ」っぽい仕草が
カールのルックスを裏切っておらず、また好感が持てるのだった。

質問コーナーで何が質問されたかなんてここには書かないけど、
カールの話している声がたくさん聴けて、もう単純に嬉しかったですね。

そして最後に歌ってくれたのは、
アルバムのリード・トラックとされている「ユア・エニワン」。
曲に入る前に入る前にカールがひっそりと何か言ったけれど、
僕にはよく聞き取れなかった。
「I hope so…」とか言ってたかな。

カールの声に関して言えば、
アルバムよりも伸びやかで、
当然だけれど生々しく、暖かみがあった。
とても細い身体から出される声なんだけど、
少し圧倒されるような力強さを秘めていて、
この点はアルバムと共通していた。

歌が終わると、進行役の男性がカールの一旦退場を告げる。
この後は、握手会とプレゼント交換だかが行われるのだ。
まあこれは新作の日本盤をそのHMVで買った人が対象になるので、
ネットでしかも輸入盤を買っている僕は
まったく関係なかったのだけれど…。
正直言えばそりゃあ参加したかったけれど、
2枚買ってまで参加権を得るほどの余裕は、僕にはなかったし。

カールは椅子から降りると、
教壇みたいな小さなステージの脇へ歩きながら、
手を頭上に大きく伸ばして僕らに手を振り、
次に親指を立てて胸の前にグイッと突き出した。
あの親指にはどんな意味が込められていたのだろう。
24日のライヴ、最高なものにするよ、とか? いや行けないけど(涙)。
彼が入ってきたときと同じドアから退場すると、
僕もその場を後にした。カールの鮮明なイメージを頭に抱えたまま。

この後のHMV渋谷、それから23日のタワーレコード新宿店と渋谷店での
インストアイベントには、僕は出向けなかったのだけれど、
しかし1度でもこれだけ間近でLDOA(カールだけ、だけど)を見れて、
すごく嬉しかったし、
やっぱ多少の無理をおしてでも来て良かったと、そう思った。

しかし思い出せばだすほど、
ライブのチケットが取れなかったことが、悔やまれる。
後日(24日)のライブが観たかったなあと、
バンドで奏でられる音も聴きたかったなあと、何回も思う。
もし行っていたら、いったいどれだけの感動が僕を包み込んだことだろう。
自分の周到さが足りなかったとは言え、
いやだからこそか、残念で仕方がない。
ここはひとまず、次作での来日に期待しよう…って話が早いね。

ちなみに23日にタワレコ渋谷店で行われたイベントの模様について、
僕は若干ながらの情報を入手できたのですが、
そちらはそちらでなんか良かったみたいです(笑)。
歌も3曲歌ってくれたし、インタビューも面白かったと。_
アルバムジャケットに込めた思いとかを、話してくれたみたいですね。

2004/05/23
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