2009.08.29‐「愛はステイ〜And you are my lover vol.3/3 in 下北沢CLUB Que」


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2009.08.29‐「愛はステイ 〜 And you are my lover vol.3/3 in 下北沢CLUB Que」 Home

何を隠そうライヴ自体久々のノリ。
この前が、2009年4月のチャットモンチー@NHKホールだから、
実に4ヶ月ぶり・・・くらいか。
空いた? そうでもない? どっちでもいいか。
まあスカーレットと共に、
私もこの時点で立派なアラサー。
だから何だって言われても困りますが。
まあちょっとくらいライヴから遠ざかるのも、
飲み込めないこともないでしょう。
っていうか、一緒に行く人がいなくなってしまったのが、
アレですね、アレ、、
この話はテンション落ちるのでやめましょう。

+ + +

下北沢自体久々だったのか、
その辺がよく分からない。
あんまり久しぶりな気がしないが。
駅以外で人口密度が濃い所に出たのが久しぶりなので、
若干気持ち悪くなりかけましたが、
そこはライヴへの期待で乗り越えて。
いけませんね。もう少し行動範囲広げないと。
田舎の遊び場ナッシングな地域で暮らしてると、
見知らぬ人が傍にいるだけで、眉間に皺が寄ります。
人におびえるクセがつく前に、
今度の休みは映画でも観に行こうかなと、
ちょっぴり思ってみる私であった。

うー話逸れてるわー。
まあいいわー。好きに書くわ。

+ + +

この日はスカーレットのレコ発ワンマン。
数日前にめでたくリリースされた4thアルバム―
『REFLECTION』に伴うものだ。
と同時に、3ヶ月連続自主イベントの最終回でもある。
そして来月(9月)からは各所を廻るツアーが開始。
うおーなんかノッてるじゃないかスカーレット。
先に書いておくと、私はこのアルバムは、
現時点での最高傑作だと断言するので、
この勢いは嬉しい限り。
スカーレットがもっと沢山の人に届いて欲しい。

そう、最高だと思ったから、
私は思い腰を浮かしてライヴに赴いたのである。
あります。
すごいぞスカレ。好かれてる。

+ + +

本当は入場するまでのモヤモヤを書こうと思ったが、
気が変わったのでやめておく。

さてライヴ開始。
ゲストのart work'79は、富山のバンド。
3ピースで。
メンバーは、WATANABE(B/Vo)、
YUGUCHI(Dr)、OKADA(Gt)という。
ワタナベくんはプレイスタイルが
前かがみなので、マイクもやや低め。
それに上から覆いかぶさるようにして、唄う。

私の知る、狭く浅い音楽カテゴリ範囲で言うと、
叙情的なエモ、とでもいうか。全編英詞。
鋭いギターにパンチのあるドラム。
流れるような耽美的なメロディが印象的。
ベースを弾きながら、長めの前髪を振り払うようにして、
口を大きく開けて、唱うワタナベくんが熱い。
シャウトからウィスパー気味の歌唱まで使い分けて、
実に曲にメリハリをつけるのが上手い。
それに呼応するリズム。緩急。
もうちょっとどうかすると、
ナルシス的な方向に行ってしまいそうなのに、
そうなっていないのはなぜなのだろう。
そこにある、音楽をやることへの、
迷いのない想いが、滲み出ているからだろうか。
そんな気がする。
信じる心とでも言うか。
青臭いこと言うなって?
でも私は好きなんです。

素敵なバンドでした。
曲のバリエーションも、
おおらかなものだけでなく、
アグレッシヴなアップテンポのものもあり。
私もう少し若かったら、すごく好きになってただろうな。

素敵でした。拍手。
ネット上には
音を聴けそうな場所がないのが残念。

ワタナベくんは鼻水啜りながら、
呼んでくれたスカーレットへの感謝をし、
ライヴハウスのスタッフにも御礼を述べていた。
スカーレットとは、昔長野で一緒にライヴをし、
それ以来の仲だそうである。

+ + +

そして、さて、スカーレット。
art work'79が十分すぎるほどに、
会場を暖めてくれていたので、
期待値もマックスでした、私の中では。
いやきっと会場がそうなっていたと思う。
やっぱりスカーレット、なんだかんだで、
人気あるんだよなあ。あるんですよ。
アルバムリリースして、ワンマンやれば、
こうやってちゃんとお客さんついてくるし。
みんな期待してるの分かりますし。

で、セット中からメンバーの姿は見えてるんだが、
そこは皆、ひっそりと見守る(笑)。
で、はけて、曲かけながら出てきたところで大歓声!
っていう。
私は4年前に見て以来、彼らのライヴ。
垢抜けたあ、ってのが第一の印象。
あ、ルックスの話です。
ベースの束紗嬢なんか確かに可愛いんだけど、
若干セクシーさすら漂ってて、
まあそれはそうかアラサーなら、
とかって一人で納得(何気に失礼)。
その束紗嬢は10年ぶりのパーマに、
花柄?だったかな、ワンピースきてましたね。
実に夏い。そして細い! マジで細い。
私の狭く浅い頭で行くと、
女性ベーシストバンドというと、
すぐに思いつくのは、
Base Ball Bearとこのスカーレットなのです。
ドラムの宗村くんが1番変わってなかった、気がする。
相変わらず長めの髪で、キャップ被って、
綾波レイの白いTシャツ着てた。
これがまた、いい感じで似合ってるんだな、その雰囲気に。
そしてー、ギター・ボーカルの橋本くんが、
まあスカーレットの垢抜けなさ代表だと、
私は勝手に思っていたのですが、
なんかかっこよくなってたなあ、
なんせ前に見たとき坊主頭だったしなあ(笑)。
髪も伸びて、しっかり決まってて、
黒縁メガネにボタンシャツ、クールな佇まい。

+ + +

ちょっとこの調子で書くと長くなりそう。
なので、意識的にコンパクトにいきます。
↑こういうの書かないでいいよね。

セットリストの構造としては、
前半:ゴリゴリ、
中盤:マッタリ、
終盤:余興的な雰囲気、
最終:バースト、
アンコール:マッタリ⇒ブロックバスター、
というような。
ああ、まったくもって適当な表現。
セットリスト分からないのですが(誰か)、
演奏されたと思しき曲を並べておきますね。

“青い月”“highway”“sheepsleep”“shortfilms”“emore”
“Noah”“君がいた夏”“August”
“Reflect”“Dance to the tune”
“夕暮れオレンジ”“愛の逃避行”“ガーベラ”(スピッツのカバー)、
“starfruits”“未完成の物語”“ナナイロネイロ”
“マボロシ”もやっていただいた気がする・・・。
あとスイマセン、2,3曲、タイトルが出てこない・・・。
ファン失格だ!!

・・・・・・。

で、とにかく頭から飛ばす飛ばす、
こんなに飛ばして、こっからあとに、
いったいどうやって勢いをつけるんだろうって、
こっちが心配になるくらい。
頭が“sheepsleep”で(でしたよね?)、
次に“shortfilms”
あとは順不同ですが、
“ナナイロネイロ”“Augsut”
うへえ。ギターの走るアッパーな曲ばかり。
ってもハードなイメージがないのはなぜだ。
実際音はけっこうゴリゴリしているのだが。
冒頭でいきなりフロアで拳あがりましたからね。
こんなノリだったかスカーレット?って、
モロに虚をつかれてしまった。
一瞬ポカンと放心。
ああ、やっぱ佇まいが原因なのか。
橋本くんってば、もう、表情変わらないのだから(笑)。
でもギターかき鳴らしながら、首がユラユラ揺れだすと、
これが熱入ってる証なのですね、橋本くんの場合。
前半で眼鏡ふっとばしてましたもんね
(んで、曲間の暗いステージで眼鏡探す姿にフロアから笑いが:笑)。
束紗嬢も髪振り乱して、縦ノリ気味なアグレッシヴなプレイ、
なのだが、線が細いせいか熱さよりも、華麗さが目立つ。
というところから、
本当に走りまくりの前半だったのだが、
そこに“ハード”なイメージがなかったのかもしれない。
いや、ハードさを感じもしたのだが、
それは曲そのものほど強くはなかった。
このあたりのバランスも面白いなあと思います。
2nd『ハートアルバム』に収録されている、
束紗嬢作曲の“君がいた夏”、よかったですね。
私、好きなんですよこの曲。
スカーレットには珍しいストレートなギターポップ的な。
歌詞もこれまたストレートに、夏の思い出。
ときにちょっと恥ずかしいんですけど(笑)。
あとこの曲、だけに限らないのですが、
スカーレットの曲はドラムが実にダンサブル。
跳ねてますよね(ちょっと語弊があるかもですが)。
“Augusut”も初聴きでしたが、よかったです。
ギターの音がもっと大きければ、なおよかった。
伸び縮みするギターリフが、徐々に加速していくその構造が、
私の中の焦燥感をかきたて、その出所を求めて、心が膨れ上がります。
この辺で、フロアに呼応して、熱が上がりすぎたのか、
やや演奏が走りすぎた感じ、がしましたね。
ちょっとの時間でしたが。崩れそうな雰囲気がありました。

+ + +

4年前と比べるのもなんですが、
声の出方が、ぜんぜん違いますね。
特に束紗嬢。
最初こそちょっと硬い感じでしたが、
まー徐々に伸びやかになること。
ぜんぜん私不満とか感じませんでした。
それに表情豊かになりましたね。
曲に合わせて表情が変わるような。
照れくさいからあんま書きませんけど(笑)。
大変イメージがよかったです。
なんでもかんでも笑顔だと、
なんだーって思うんですが私は(ワガママ)。
まあ、あんま角度的に見えなかったんですが。

中盤以降エンターテイメントコーナーがあり。
1年前のワンマンでもやったという、
楽器を取り替えるという、この試み。
しかも演奏するのも前回と同じという。
橋本くん ⇒ ベース、
束紗嬢 ⇒ ドラム、
宗村くん ⇒ ギター、
という、編成に。
必然的に前に出てくる宗村くんが新鮮だ。

 「ついに僕がメタルモンスターになるときが・・・」

とか冗談つぶやいてましたが。
めっちゃ緊張したんでしょうね、
セッティング中に橋本くんの顔見ながら弾くから、

 「じっと顔見ながら弾くのやめてくれる(笑)」

って釘を刺されてた。
演奏されたのは“愛の逃避行”だったのですが、
なんか、もう、曲調もドライヴに適してるみたいな、
道をのんびり軽快に走ってるみたいなイメージで、
それも関係あるのか、とにかくホクホクな空間で・・・、
だって宗村くんは虚勢を張るかのような
「どうよ」的な笑顔が顔にはりつき、
手つきが明らかにおぼつかないし(笑)、
それを見ながら束紗嬢は終始満面笑顔でドラム叩くし、
けれど曲の形を崩させない要が橋本くん
(ちなみに彼は難なくベース弾いて唄ってました)。
それを見守るお客さんもそこはかとなく笑顔。
な、なんだこの一体感!!
みんなでねーもう楽しんでんのよ、コレ。
何があっても許されてしまうんじゃないかと、
誤解してしまいそうな、緊張よりも馴れの空気。
私の中では間違いなくコレ、この空気は、
ロックじゃないのだけど、でも、暖かい、とっても。
学生のときを思い出しました(悪い意味じゃないですよ)。
だって束紗嬢、

 「お粗末さまでした〜」

とか、曲のフィニッシュで言ってしまうのよ(笑)。
ついでに、

 「スタジオでこれのリハしながら鏡見て、
 “コレ”じゃなくてよかったねー!って
  言ってたんだけど、納得だよね」


って、私も納得だ!
なんかしっくりこない!

で、余興?のあとにしっかり締めてくれるのが、
やっぱりさすが。
“highway”のあの走りぷっりには、
馴れ合い的な空気を払拭すると共に、
本来の自分たちを見失わないで欲しいという、
プライドのようなものを感じました。
なんかこんな緩急つけられるなんて、かっこいいなあ、
というか、私がその緩急にコロリとやられたんですな。

ギャップというか、このメリハリってやつは、
やっぱり魅力ですね。特に生身(ライヴ)では。

+ + +

新作からの曲があまりなかったように記憶してますが、
もしかして私の好きな曲やってくれないんじゃないかと、
若干ヒヤヒヤしていたいのですが、
最後にかためてやってくれましたね。
“Reflect”そして“Dance to the tune”
いやーこの2曲、新作の中でも断トツ好きなのです。
なんでどーしてという説明(のようなもの)は、
新作に対するコメントの方(コチラ)に譲るとして、
この2曲、スカーレットのひとつの到達点であると、
私は思っているのです。
きらめきながら、踊りながら、そして愁いを帯びながらも―
現実から浮かび上がっていくような、その高揚感、
アッパーなくせにどこかにある喪失感。ううむ・・・。
ライヴ中でも、断トツ、ハイライト。
特にこの曲のとき、束紗嬢、とてもかっこよかった。
完全に曲にノっかってました。
うーん、思い出しても、ゾクゾクする。

初期の曲が孕んでいたような、
破壊のイメージは楽曲からは段々薄れてきましたが、
ライヴで見ると今だそれは顕在でした。
“emore”“Noah”。 特に前者は橋本くんの叫びが印象的だった。
本当に特異な声質しているなあと思う。
似た人を私はちょっと思いつかない。
夢見るような、あるいは炭酸水の中で、
陽の光を浴びて溶けていくような氷のような、
そんなトロトロしたイメージが強いのだが、
叫ぶとそのギャップのせいもあるのかもしれないが、
その辺の木々でまどろんでいた鳥が飛び立っていくような、
そんなイメージがあるのである。飛翔。離脱。
(ああ、曖昧にならざるを得ない、
この印象の表現がひどくもどかしい。なんとかならぬか)。

本編最後(だったと記憶している)の、
“Noah”は、ラストに相応しい、エネルギーの発散。
決して激しい曲ではないのだが、
静かに燃え上がる、内なる炎。湧き出る泉。
上り詰めていって、爆発するという、
このタイプの曲が、最近はないのであるが、
これは実にライヴ栄えするので、また作って欲しい(ワガママ)。
最後はたなびくギターの音に導かれて、退場。

+ + +

さてアンコール。 登場した橋本&宗村コンビが、面白かった。
Tシャツだ、トートバッグだと、話を広げて、

 「アンコールもらっといて
 こうやって商売するっていうね―」


と、自嘲気味に言って、フロアの笑いを誘う宗村くん。
Tシャツ、イエローやグリーンは、私は似合わぬ!
と自分勝手に判断して、欲しかったが購入しませんでした。
スイマセン。
あと、演奏された曲目ですが、
“青い月”しか記憶できてません・・・。
スイマセン。
束紗嬢がTシャツにホットパンツで、
そのおみ足が何とも眩しかったな・・・。

束紗嬢が恥ずかしがって顔を伏せたMCはどこだったか。

 「スカーレット、そんな売れてないんですけど・・・、
 活動歴はけっこう長くて、活動していくうちに、
 こうやって、スカーレットのために動いてくれる人が、
 どんどん増えていって、そのことの方が、
 売れることよりもずっとずっと幸せなので、
 これからも、応援、よろしくお願いします・・・」


って、ファンや、ライヴハウスのスタッフに向けて。
本当に、本当にですよ、恥ずかしそうで。俯いて。
涙さえ感じさせるほどに。
ということは、心がしっかり入ってて。
私、胡散臭い人には敏感なので、これは間違いない。
もーなんたる青さ。私こんなに青いMC知りません。
4年前のレポートにも同じようなこと書いてますが、
ここが、ホント変わってなくて、感心しました
(って、えらそーだな。スイマセン)。

なんか本当、ギリギリのところにいる印象。
フロアのファンとも気さくにホイホイ
言葉をキャッチボールしてしまう。
もうちょっとバランスが崩れると、
本当、閉じた空間になってしまう。
閉じた輪の中に入るのは、難しい。
つまり新しいファンが、輪に入りたくとも、
どこか疎外感を感じるということだ。
私のように好きで一歩引いてるのもいるだろうけど。

そう考えると、私が好きだったバンドは、
初期は知らぬが、
そこら辺にはない空気感のライヴを行っていたな。
あれはいたく特殊だった。
まさに「背中合わせで手をつないでる」ような。
ふと、そう思ったのも事実。

脱線、してるな。
物思いにふける前に、軌道修正。

+ + +

レーベルを移籍しての4枚目のアルバム、
そしてワンマン、ツアーと、
ここからが新たなスタートになるのは間違いない。
ライヴもその気迫みなぎる素晴らしいものだった。
ライヴならではの動的なエネルギー、 そして瞬間的とはいえ、
楽曲が個々の楽器の組み合わせとしてではなく、
一個の塊としてぶつかってくるような、インパクト、
表現力の深さの獲得。
ファンを楽しませる余裕(これは人柄かもしれない)。
そして、失われない青さ。
しかし自分が年をとるごとに、
自分の好きなバンドも年を取っている。
私があるバンドについて「解散」を思い巡らすときは、
そのバンドを好きになっているときである。
今回のライヴを見て、スカーレットについても、
ほんの少しだけ、そんなことを考えてしまった。
要するに、私はスカーレットのファンであると、
胸を張って言えるということだ。回りくどいが。

最後の最後に、

 「これからも、よろしくね」

と、束紗嬢。

願わくば、安定したリリースを。
そして末永い活動を。
4thアルバム『REFLECTION』は傑作だ。
それを越えるのは難しいかもしれない。
しかし彼らはもっと多くの人に聴かれるべきだと思う。


拍手。拍手。
また、会いに行きます。
みなさんお疲れ様でした!

2009/09/02
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welcome to my world.