□Comment …
メインヴォーカル以外の全員がアイルランド出身である4人組、スキンダイヴの1stアルバム。2001年リリース。 メンバーは、Gerry Oens(G/Vo)、Dnielle Harrison(Vo)、Alan Lee(B)、Ger Farell(Dr)。全てのソングライティングはGerryが担当しています。どこぞのレビューでは「アイルランド版ガービッジ」みたいなことが書かれていましたが、まあそんな気がしなくもありません。エレクトロニックなビートに激しいギター、そして優美な女性ボーカル。しかし良くも悪くもガービッジほど商業性は強くない気がしますし、あちらよりも退廃的な空気が漂っています。「湿ってる」と言ってもいいかもしれません。
そしてこのアルバムに参加しているゲスト陣が豪華なんですねえ。というか僕好みなのです(笑)。それは誰かと言いますと、On-UレーベルのAdrian Sherwood(エイドリアン・シャーウッド)や元スキニーパピーのDave“Rave”Ogilvie(デイヴ“レイヴ”オギルヴィ)。言うまでもなくここに共通しているのはインダストリアル・ロックとの関連性です。エイドリアン・シャーウッドは、エレクトロニックなダブ・サウンドの先駆者的存在であり、その世界ではかなりの有名人のようですが、僕の中では「ミニストリーの歴史的傑作『トゥウィッチ』を手がけた人物」という位置付けになっています。そしてデイヴ・オギルヴィにしても、インダストリアル・ロックというジャンルがメディアによってもてはやされる以前からその手のサウンドを鳴らしていたスキニー・パピーのメンバーであり、NINやマリリン・マンソンと一緒に仕事をしてきた人物ということで、まあ具体的に何をやっているのかは分りませんが(笑)、僕の中では要注意人物です。ということで、インダストリアル・ロック好きの僕にとってはよだれの出そうな面子なわけです。
ライナーノーツにも書いてあることですが、ここで展開されている音はまさしくこのゲスト陣ならではという感じがします。エレクトロニックなダブサウンドに重なる分厚いディスト―ションギター。ちょっと「アレ?」と思うくらいにギターが激しいんですが、これがリズム面での音響的な作りとあいまって、たまらなくかっこいい。でもそれだけではなくて、そこにスキンダイブの持ち味だと思われるオーケストラルなテイストがまぶされているんですね。ソングライティングを手がけるGerryは映画音楽も好きだということで、ここでは間違いなくその影響が垣間見れます。やたらと空間的広がりを感じさせる音作りにしたり、弦楽器を利用して楽曲にメリハリをつけていたりして、一聴すると無機質なエレクトロニックサウンドを意外なほどムーディーに仕上げています。さらに、メインヴォーカルDanielleの力強くも優美な歌声も、サウンドに有機性を持たせるのに一役かっています。
というわけで、僕的には、非常に好盤。
追記:しかし2003年中頃にはGerryとAlanがバンドから脱退、それでもバンドはメンバーチェンジを行い存続しようとしたようですが、その後は各メンバーのサイドプロジェクトやソロアルバムの制作などが本格化。結果として、もはやスキンダイヴはバンドとしてはほとんど機能していないようです。残念。(2004年現在) |