2007.11.01‐「Urunosora Release Party in SHIBUYA O-nest」




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渋谷の街は、僕を透明にする。
そこにいながら、いないような気にさせる。
誰も僕を見ていない。気がする。
人が、僕をすり抜けていく。
けれど、僕は雨にぬれた路面を、
確かに踏みしめて、会場へ―。

この日は京都のバンド、audio safariの、
1stアルバム『ウルノソラ』リリースツアー。
その、ある1日。東京公演。
会場は渋谷O-nest。
僕は初めて訪れる。
出演するのは4バンド。
登場順に、asanaPaperBagLunchbox
Euphoria、そしてaudio safari

O-WESTの脇にあるエレベータで6階へ行き、
そこでチケットをもぎられて、
ライヴスペースである下の5階へ降りる。
ちょいと一手間。
ちなみに6階はカフェ? バー?
よく見てませんが。

nest自体は、なんか渋谷クアトロに似た印象。
天井は高くもなく、低くもなく、
木の床がシックなイメージ。
フロア後方にドリンクカウンター。
その脇に物販。
ステージとフロアに区切りの柵はない。
木造の床がわずかに一段高くなっている。
その上に楽器、機材が並んでいる。

フロアには、灰皿の乗った数脚のテーブル。
フロア脇と後方は、こちらも一段高くなっていて、
フロアをぐるりと取り囲んでいる。
ここだけ“ライヴハウス”っぽく鉄柵が設けられている。

会場には、音響系、エレクトロニカ、
フォークトロニカ、なんて言えばいいのか分からないが、
アブストラクトな要素が強い音楽が流れていた。

人が増えるにつれ、タバコの煙が、濃くなっていく。
若干霧のように。喫わない僕は、ちょい苦しい。

そう、
決して最後まで満員御礼な状態にはならなかったけれど、
でも、この日の音空間には、
このくらい個人がスペースを持てた方が、
正解だったのではないかと、僕は思っている。


□■□ asana □■□

まずは、開演時間の19時を15分くらい押して、
名古屋よりのアクト、asana。
なかなか始まらないなあ、
僕はルーズなの嫌いなんだよなあ、
などと自分のことを棚に上げて思っていると、
なんか1人の男性が、
フロア側から薄暗いステージに移動してきて、
そのままギターをいじったり、
脇のテーブルに置いたパックジュースを
ストローでチューチュー吸いーの、
タバコを吸い始めたと思ったら、すぐに消しーの、
神経集中の儀式が始まったようだった。

で、タバコの火が消えると、
フロア後方に手を上げて、
準備はできたという合図。

ということで、演者は1人きり。

ちなみにこのasana、
普段はバンド編成でライヴをしているそうだが、
今年から、中心人物の浅野裕介さんが、
1人でもポツポツライヴをやっているそう。

 「ループサンプラーと言う
 玩具を手に入れてしまったもんで」


だそうだ。
クリス・ペプラー似(私見)の彼はそう言った。

で、そのループサンプラーだが、初めて見る。
といっても、マジマジと見たわけではない。
フロアは狭いとは言えど、暗いし、
別に僕がステージに近寄っているわけではないし、
ハッキリ何がどうなっているか見えてはいないのだが、
だいたいは分かるもので、そこから感じたことは―

面白い
(いくつか個人のライヴレポートで見たことはあったが、
実際に体験、というか目の当たりにしたのは初めてだった)。

その場でミニマルな音がどんどんビルドアップされていく。
小さな鉄琴のようなものを、木槌で叩きながら、
その音をその場でループさせ、
そこに予め用意していたリズムを入れて、
ギターを弾き始め、これもループさせ、
シンセも弾き始め、これもループさせて、
最終的に、そこに即興的なギターを入れる。

音が構築されていく過程がバンドのそれとは違って、
新鮮だからだろうか、
やはり初見の感想は「スリリング」である。

リズムや使われている楽器などが
影響しているのだろう。
オーガニックである。
ループサンプラーという器具を通しても、
その点の印象は変わらない。

なんだか不思議な空間だった。
暗いステージで1人の男性が、
眉間に皺を寄せながら、コチョコチョと、
さまざまな楽器をいじりながら、
音を増強させていく、その光景。

こういう即興的な要素が強い演奏の場合、
僕はそこにもっと緊張感を―
居あい抜きのような緊張感を、
感じて然るべきだと思ったのだが、
どっか僕は違った。
緊張は逆に解きほぐされ、
僕は素直に音の波に飲み込まれました。
揺らされました。

ジンワリとステージを照らし、
フロアにもやや侵食してくる青白い照明が、
ひとつの音空間を作る手助けをする。

途中、僕は迷った。
演奏スタイルに目を凝らすべきなのか、
それとも目を閉じて、純粋に、
“音”が構築されていく、
その過程に耳を澄まして、楽しむべきなのか。
ジレンマ。
どちらの楽しみ方もしたい。
目を閉じてみるが、そして実際、
視覚的手がかりナシに増築されていく音に
身をゆだねるのは、
先の見えないジェットコースターのようで、
それはそれで気持ちよかったのだが、
結局、僕はすぐに目を開けてしまった。
ライヴの醍醐味として視覚的要素も、
十分にあるだろうと思ったのが理由。
というか、
やっぱり“見て”おかなきゃという貧乏くさい根性(笑)。

2曲目が終わった辺りで、浅野さん、
フロア前方にポッカリ空いたスペースを指して、

 「なんか、ここ空いちゃってますね。
 もっと、前来てくださいよ。もっと話そうよ」


って。
でも誰も動かず(笑)。
でも浅野さん、朗らかに笑って―

 「お互い、シャイな空気を出してますね…。
 んー、寂しいなあ」


と、ポツリ。
そこでようやく複数のお客さんが、
ステージの方に踏み出して、床に座ったりし始める。

そう、非常にゆるい空間だったので、
座りこんで観るのも普通でしたね。
いい空気。
これはこれで、すごい好きな感じです。
過剰な緊張感などなく。
まったり。

エスニックな雑貨屋で見たような、奇妙な弦楽器。
木の実を集めたような?奇妙な楽器。
小さなシンバルを紐の両端につけたような楽器。
そして排水ホースのようなモノ―
ってか排水ホース?―を頭上でグルグル回して、
それらの音をループさせていく。
あのホース状のモノを回して、
フォンフォンした音を出すのは、
僕はどこかで見た気がするのだが、
いったいどこだっただろうか。
忘れてしまった。
3曲目では、浅野さんは
ヴォーカルと言うか、コーラスと言うか、
やはり民族的な印象のある、
張りのある声を披露していた。

普段いったいどういう音を
好んで聴いているのだろう、
ふとそんな問いが頭をよぎりもした。

4曲目が僕は1番好きだったかな。
木琴様のモノをピンピコ叩いて、
その音が空間全体にループしていく様。
可愛らしさもあり、POPな響きであり、
なぜかノスタルジックではないのに、
昔のことを思い出したり。
途中で、浅野さん、顔を「あ」ってしかめたが、
あれはミスったんですかねえ(笑)。

途中で、

 「失敗したらご愛嬌つうことで」

なんて言っていたけれど…(笑)。

正直、この手のライヴは初めてだったのですが、
楽しめるものですね(失礼な言い方です…)。
何と言うか、いつも以上に、
音に耳を澄ましている自分がいました。
そしてそういう聴き方が僕は好きでもあるのです。
バンド編成での演奏も聴いてみたいです。

拍手。

ちなみに、浅野さん、
カレーが好きらしいです。
んーエスニック(笑)。
神保町には美味しいカレー屋さんが多いと、
マメ情報を提供してくれました。
あと、asanaの音は、MySpaceで聴けたりもするので、
興味のある方はコチラから。


□■□ PaperBagLunchbox □■□

僕が前回彼らを観たのは、
Syrup16gのイベント出演時だった。
場所はSHIBUYA-AX。
圧倒的な印象を残してくれたのだった。

が。

で、今回。
なんか妙にこじんまりとした印象でしたね。
まずVo/Gの中野くんがすっごい小柄に見えた。
ってか実際そんなに大柄じゃないのね。
上記のライヴでは物凄くでっかく見えたんだけど。
あれはあの場にあったエネルギーの成せる業なのか。
いや、きっとそうなんだろうなあ。

今回のステージが狭いこともあり、
ほとんど中野くんは動かず。
いや、もちろん動いていたけどね。
あの体全体をくねらせるような動きもあった。
でもやっぱセーブされてる印象が拭えない。
めっきりと、おとなしい。
あの迫力は、ちょっとなかったなあ。
あれホント、凄かったんだけど。

ドラムの伊藤ちゃんはパーマかかってた。
で、キャップかぶってるから、
なんかジャムおじさんみたいな。いや違うか。
で、個人的にはストレートの方が好きです(笑)。
でもあのすっとぼけた感じと言うか、
話すと妙にフワフワした感じは、好きです(笑)。
間が外れているというか、絶妙ですね。
クールなドラムスタイルとのギャップがまた…。

キーボードの恒松くんが今回はよく話していて、
途中で伊藤ちゃんに話を振るのだが、
なぜかエヴァンゲリオン(笑)。
そしてちょい引っ張りすぎ。
内輪的なノリが強くて、僕はちょっと悪い印象。

音源で聴いていると、彼らの曲は
決してまあ爽やかではないまでも、妖しくはない。
が、ライヴで聴くと、ときに紅色に光る照明の加減か、
中野くんのユラユラ&アグレッシヴな
艶かしい動きのせいであろうか、
それらと彼の持っている特徴的な、
高音にして浮遊感のある、あのヴォーカルが相俟って、
楽曲の印象が妙に妖しくなる。
ゾクリとするような瞬間がある。
それは美しさのせいでもあり、
僕にとってはグロテスクさのせいもある。
彼らの音は、そのどちらも併せ持っている。
と僕は思う。
そしてそれは確かに体感できた。

そういう意味では、今回のライヴで、改めて、
彼らの真骨頂を感じられたのかもしれない。

が。

でも、やっぱりもう少し大きいステージの方が
似合ってるんじゃないかなと思う。

パワーを出し切れていない印象が強い。

AXで観たあのときの衝撃が忘れられないなあ。
ホントに凄かったんだって。

別にダメとかそういうんじゃなく、
ぜんぜん良いライヴでしたが、
僕は決して満足はしておりません。。

彼らは最後に“花”という曲を演奏した。
タイトル違ってたらゴメンさない。
中野くんは唄の前に、導入となる言葉に、
節をつけて歌った。例のあの調子で。

東京に出てきて2年。
上京した彼らを迎えてくれた初めての友人は、
「花のように」というバンドだった。
彼らの音を聴きながら作った曲。
人の顔は花のようだ、と。

“花”

彼らにとって、とても大事なバンド、
「花のように」は、活動を休止するらしい。
きっと、そのことを受けて、
演奏された曲だったのだろう。
そう思う。
中野くんは、その活動休止に関して、
真摯なメッセージを寄せている。
気になる人は読んでみることをお勧めする
(⇒コチラ ※現在ページはありません)。

もしかしたら、なんて思う。
ソレが原因なのかな。なんて。


□■□ Euphoria □■□

まず、メンバーは3人。
ギター・ヴォーカルのモリカワ・ヒロユキ、
ベースのサトウ・ショウタ、
そしてドラムのキノシタ・ヨウスケ。

楽器の配置が面白い。
僕らからみて、ステージ右端に、
ドラムがやや内側を向くような形に。
そして中央にベース。
そして左側に、ギター・ヴォーカル。
そのモリカワくんの横手に、
ノートPCを乗せた低い台が。
ということは、取り込んである音を流すのかな、
なんて思いながら、機材準備の終了を待っていると、
モリカワくんの合図で、BGMが止まる。

と、ドラムのキノシタくん
(anticonのTシャツ着用)が、
ハンドクラップを始めるではないか。
しかも妙なリズム。ヘンテコ。
そしてモリカワくんは、
ノートPCの前にかがみ込んで、
何かチコチコといじっている。

その間も鳴り響く、ハンドクラップ。

ここに音を重ねるのかな、なんて思っていると、
モリカワくんが、ドラムを向いて、何か合図を送る。
その直後、ハンドクラップが止むと同時に、
会場には、新たにハンドクラップの音が。
いや、今まさに取り込まれたのであろう音が。
ループして流されている。

ということで、このEuphoriaも、
その場でサンプリングという技を見せてくれた。

ドラムの音が硬い。僕が好きな音。
ピシンピシン。ドカドカではない。
ヴォーカルのモリカワくんは、
白シャツで、茶色い?パンツで、
色白の肌に、黒色の髪、
襟足を広げたような、いい意味でモサい髪型で、
とても繊細な印象。
対してベースのサトウくんは、
短髪にヒゲを生やして薄手の長袖シャツ…、
妙にワイルドだぜっ!

僕は彼らの音をまるで未聴だったし、
恥ずかしながら、名前も存じ上げなかった。

楽曲はいまいちPOPではない。
彼らの場合、ヴォーカルは、
メッセージを伝えるためのものではないだろう、
ほとんどの曲で、ヴォーカルはないか、
あっても言葉を聞かせるようなものではなかった。
エフェクトもかかっているようだったし。

アンビエントな空気感もあるが、
ドラムの鳴りのせいだろうか、
浮世離れした度合いは薄い。
どこか、シャボン玉みたいな印象だ。
つまりは、音世界をふくらませて、割る。
悪い意味じゃない。
ボンヤリ見ていると、
シャボン玉どんどん飛翔して、急にパン!と割れる。

スピード感のある楽曲はなかった。
ゆったりとした流れの中で、
徐々に、ある種のうねりを生み出していく。
その音世界のイメージは、白。
けれど、とても熱い白だ。
ヴォーカルのモリカワくんのMCはとても拙い。
「えっと、えっと…」が多い。
声も小さいし、ウィスパー気味だし、
喋ることを思い出そうとして一生懸命になって、
目がこちらを向いていないし。
頭の中を探っている目をしてしまう。
ついでに手も動いてしまう。
でも演奏はとても熱い。
曲の最後にバーストする箇所に来ると、
頭を振って、ぴょんぴょん跳ねたりして、
ギターを掻き毟り、音世界を構築する。

僕は好きですよ。彼。
でもあれは緊張のせいなのかな?
もともとああいう人なのかな?
海外勢との競演もあるということだし、
そう考えると、緊張、ではないような気がする。

彼らの音について考えるなら、僕が言うのは、
目指すところがどこにあるのか、という話だろう。
今様に言えば、“ポストロック”という、
ありふれたカテゴリに入れられてしまうのだろうが。
Sigur Rosのような印象もあるけれど。
POPに聴かせるのか。
それとも音世界を作り上げることに重きを置くのか。
世界を大事にするにしても、
もうちょいPOPだと、個人的には好きですね。

最終曲は、特に熱かったです。
全バンド中で1番熱かったと思う。
◎。
「白い模様」と言っていたから、
“White Pattern”かな?

彼らのHPから引用させてもらうと、彼らは、
「メンバー自身によるジャケットアートワーク、
ウェブサイトデザイン、イラストレーションなど、
サウンド面からヴィジュアル面にまで及ぶ
トータルなクリエイティブ」活動を行っているらしく、
そこも、僕は好きだなあ。

拍手。

物販で、CD買ってくれば良かった、かな…。


○●○ audio safari ○●○

そして、いよいよ、トリのaudio safari。
僕らから見て、ステージ右側から、
ギター、ノートPC(Mac)、
ドラム、ベース、そしてギター。
中央にマイク。ってな配置で並ぶ。
あ、ベースがね、
ホントに、冗談抜きで、
『ベルセルク』のガッツの刀みたい。
横から見たらベースに見えなかった。
楽器詳しくないから説明できないけど。

機材準備中はヴォーカルの桜井さんは
出てこなかったわけだが、
客電が消えて、いざそのときになると、
ステージ中央に小さく現れた。

小さい! 可愛い!
なんか小動物みたいですよね。
リス、いや、兎?
いや、的確なたとえが思いつきませんが。
とにかく、予想以上に小柄な方でした。
白いワンピースの上に、
薄桃色の上掛けを羽織ってらっしゃった。
長い髪は、頭の上でアップにしてまとめられていた
(アンコールでモシャモシャ解け気味でしたが:笑)。

audio safariというバンドの核を成しているのは、
桜井さん(Vo)、古賀さん(Prog/G)、
川本さん(Dr)であるわけだが、
やはり前面にいる前者2人が、空気を握っている。
雰囲気と言うか。バンドのね。
話をするのはほとんど桜井さんであり、
話を振られても、手で遮ってしまうのが古賀さん(笑)。
でもノートPCから流れるアンビエントな音―、
それはバンドの世界を形成する大事な一要素だろう―を
コントロールしているのは間違いなく古賀さんであるし、
桜井さんがド忘れした曲順を把握していたのも古賀さん、
であるからして、ブレーン的な位置にいるのは古賀さんと見た。

セットリストは把握していないのですが、
アルバムに入っていない曲もいくつかやってくれましたね。
新曲と…、あとはコンピレーションに提供した曲。

初めて生で聴いた桜井さんのヴォーカルだが、
やはりこれが、このバンドのイメージを
決定付けている印象が強い。
ウィスパー気味でもあるのに、通りがよく、
しかもコシがあるというか、物凄く伸びる。
素敵な、不思議な声である。
リズムに合わせて、というわけでもなく、
独自の感覚で、桜井さんはステージの上で、
小さく体を動かす。
爪先立つようにして歩いたり、
手首から先をクルリと回して、
そして手を伸ばしたり。
自分自身の感覚で、彼女は音と一体化しているよう。
そしてとても楽しそう。
歌いながら、とっても笑顔を見せてくれた。

楽曲だけ聴いていると
静謐なイメージが先行するが、
どうしてどうして、会場には暖かい空気が。
いい空気だったなあ。
たぶんPaperBagLunchboxの中野くんが、
フロア後方で見ていたと思うんだけど、
彼はよく動いていたなあ(笑)。
歓声も飛ばしていたように思う。

で、僕が楽しみにしていた“車輪”であるが、
これも、もちろん演奏してくれた。
イントロが鳴っただけで、もう分かるあの曲。
どんな展開になるかと思ったら、
アラ意外に! でもないか、リズムがもろメイン。
演奏された全曲中で、一番暴れてましたね、ドラム。
シンセ音よりも、
桜井さんのヴォーカルよりも、主張していた。
途中、遊びも入っていたような(桜井さん笑っていた)。
もうすごーく気持ちよい曲なんだけど、でも短いんだよね。
そこで思う、もっと引っ張ってしまえばと。
終わると見せかけて、あの走るリズムで、
もっともっと、景色を塗り替えていってほしい。

彼らは今、
どちらかと言うとオサレな空気を出しているかもしれないが、
僕はやっぱり彼らは“バンド”だと思うし、
その空気は確かにあったし、そういった音が好きだし、
だからもっと、カオティックな部分、
それを見せてしまってもいいんじゃなかろうか。
熱い部分と言うか。
この中盤に演奏された“車輪”でフト、そんな思いを持つ。

途中、桜井さんが、自前の水筒で水分補給をすると、
フロア後方から、大声で―

 「それ、何入ってるんですか?」

って質問したの、中野くんだよね?

 「あ、えーこれですか?
 えーとなんだっけ。
 え〜ド忘れした。
 飲めば思い出すはず…」


と言って、コップの液体を飲む桜井さん。
ゴクリと飲んで、

 「ん、分からない…」

って桜井さん(笑)。
結局、ハーブティーで、
具体的にはカモミールらしかったです。
よく眠れる、そんな効果があるという。
朝6時に京都を出て、
昼間東京についてリハをして、
夜にライヴをして、そのまま京都に直帰、

 「そんなスケジュールを見越しての、
 カモミールです


と、桜井さん、水筒を掲げる。
ホント強行スケジュールですが、
観れて嬉しかったですなあー。

どこで演奏されたかは失念したのだけど、
“泡に響く”、これも良かった。
音源だと、途中で一気に広がるシンセ音が、
空間を切り裂く感覚が、抜群に気持ちよいのだが、
ライヴでは、そこはやや抑え気味。
というか、ライヴ仕様になっていたのかな。
シンセ音よりも、そこでギターの音が前面に。
これはこれで新鮮だった。

本編最後は“ほころび”だったかな?
違ってたらスイマセン。

その後、アンコールしたら、
即行でメンバー全員登場した(笑)。
なんでも時間が押していたそうで。

 「メンバー紹介、したい?」

なんて桜井さんがメンバーに聞くも、

 「あ、時間がない?
 じゃあ…」


って、めっちゃ省略して、メンバー紹介。
ただ名前呼んだだけ、みたいな(笑)。

続けて、今日出演してくれたバンドメンバー、
nestのスタッフ、そして、自分達のライヴを観に、
時間と労力とお金を割いてくれた、お客さんに、感謝を述べる。
冒頭でも書いたように、
決して満員ではなかったけれど、
普段京都で活動している自分達の演奏を、
これだけ多くの人が観に来てくれて、
とても嬉しいと、桜井さん、そう仰っていた。

最後に演奏されたのは、
くるりの主宰するノイズマッカートニーから
リリースされている『V.A./みやこ音楽祭』に提供した、
“after you drew the line”
マイクを握り、
ステージぎりぎりまで前に来る桜井さん。

ミラーボールが、ゆっくりと回る。

それにあわせて、金色の、小さな粒が、
フロアを流れていく。

何かが解けていくような。

あるいは溶けていくような。

自分が自分と切り離されていくような。

よいものも、悪いものも、すべて含めて
日常のしがらみを客観視できるような、
ある意味、開放、と呼べる空間。

素敵でした。

拍手。

また必ず観に行きます。
audio safari、
今後、もっと注目されることは、
間違いないでしょう。

ちなみに、 audio safariのMyspaceは、コチラ
音を聴きたい人はどうぞ。

2007/11/05(最終修正日:2009/09/05)
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welcome to my world.