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MONTHLY RECOMMEND [2004, April] Home

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Artist(s) … VARIOUS ARTISTS
Title … AQUARIUM
Number
01.鱸/SUZUKI(by ULTRA LIVING) / 02.state of grace(by THRAW)
03.heyheyheyheyhey(by SHINPEI OKAYA) / 04.earth‐gambit(by KIYOSHI IZUMI)
05.a sign music(by KAZUYA KOTANI) / 06.daen(by MITSUTO SUZUKI) / 07.night fish(by KUROMITSU)

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PEACE RECORDS(ピースレコード)が送る、「水族館」をテーマにしたコンピレーションアルバム。2004年リリース。7人のアーティストが、「水族館」というテーマにあわせて、各々楽曲を提供しています。楽曲を提供しているアーティストを改めて列挙すると、Ultra Living、Thraw、岡屋心平、和泉希洋志、小谷和也、鈴木光人、Kuromitsu(敬称略)。 僕が知ってるのはUltra Livingだけなんですけどね…英国のクリエイションレコードからCDを出した日本人アーティストとしても有名ですよね。

水族館がテーマということで、予想されるのはアンビエントなサウンドなわけですが、見事に期待は裏切られません。POPでアーティスティックなアンビエントワールドが展開されます。M-1のUltra Livingの楽曲こそ、「ポーン」、「ピーン」という電子音が飛び交う音響系(って言ってもいいかな)ですが、残りの6曲は見事に「水族館」。真面目に水族館のBGMにしても◎だと思いますよ。M-2が僕は1番好きなのですが、ゆるやかな水流(くぐもった効果音)の中で、弾ける水泡(断続的なリズム)、そしてそこに射す光(シンセ音)、これらのものが自然にイメージされてくる、ものすごく神聖でドリーミィな1曲。 M-3は、アコースティックギターのゆるやかな流れの中で、タイトルどおり「ヘイ」という言葉がまるで呼吸のように連発されます(笑)。この感じはちょっとサイレント・ポエツに近いかなあ、なんて思いました。M-4では、水琴窟みたいな金属的な音色の反復に、アコギや笛の音(?)なんかがからみあってきて、耳を澄ますとアラ不思議、それまでとは異質な空間にさらわれています。M-5はダイヴィング後の呼吸音みたいな効果音を導入部にして、チャイルディスク系の暖かくてのどかな(そして冷たい)音色が、延々と垂れ流されたかと思ったら、途中からシンセサイザーがうねるうねる。大活躍。気持ちよくて「おぉぉ~ぉぅ」なんて思ってたら、気が付いたらまた水の中に誘い込まれてしまいました…。M-6は、早回し&逆回転みたいな無機質なヴォーカルから始まり、そこに電子音がピモピモと舞散ってくる不思議なナンバー…水の中で無理にしゃべろうとしてるみたいな…。M-7は、これもまた僕は好きなのですが、波のように寄せては引いていくシンセ音、その波の間を浮遊する透明で電子的な音色、M-1とは相反するように確固とした形で鳴り響くリズム…この硬いリズムが現実を告げ、ここでようやく僕は「水の中」から外に出て、(水族館にいるように)水槽を外から眺めだすのです。そして退館。

休日に、部屋の窓を開け放して、ゆるやかに流れてくるそよ風に身を任せながら、聴いてみてください。きっとこの音を聴いている間だけでも、日常の喧騒を、嫌なことを、何もかも忘れられるでしょう。是非ダイヴしてやってください。ちなみにシリーズ第一弾とのことなので、他のシリーズも出てきそうですね。



Artist(s) … MIDDLE NAME ORDER
Title … 永久調和の瞬間
Number
01.brainchestra / 02.scroll / 03.midnight rainbow / 04.I'm so sad, babe
05.maybe, maybe / 06.waltz / 07.million days, million nights

Comment
MIDDLE NAME ORDER(ミドル・ネーム・オーダー:MNO)の1stミニアルバム(これまでにも色んな形で音源はリリースしてるようです)。2003年リリース。結成は97年ですが、その後何回かのメンバーチェンジを経て、本作作製時のメンバーは、Masaki Kentaroさん(Vo/G)を中心に、Kimura Atsushiさん(G/Synth/Cho)、Horio Junさん(B)、Sato Daisukeさん(Dr)の4人となっています。全曲の作詞・作曲はマサキさんが担当。

音の方は何て言ったらいいんですかねー、一発聴いた感じだと、AIR(エアー)のメロウな側面に近しいものを感じます。そこはかとなくバンド、そこはかとなくエレクトロニクス。そしてループ的・ミニマル的で陶酔感のあるメロディは、聴き終わった後に頭の中を回る、回る。うぅむ…中毒性高し。この作品を聴いただけだと、いまいち音のカラーがはっきりしないんですが、ときには4つ打ちリズムが鳴ったり、ときにはブレイクビーツが聴こえてきたり、リズム面は打ち込みライクで、ダンス的なノリもあり。それにキラキラしたシンセサイザーの音色が効果的に挿入(M-1とか)されているので、どこかスペーシーな印象があります。なんかミラーボールがグルグル回っているみたいな…。でもマサキさんのヴォーカルが決して熱くないので、楽曲としては非常に平熱。匿名的なんだけど、どこか耳に残る、この涼しげなハンサムヴォイス(勝手に言ってるんで、気にしないでください:笑)。このマサキさんの声は、すごくMNOの音に合っていてGoodだと思います。

歌詞に目を向けると、意味があるようで、ないようで、抽象的。「行為が不安に勝って/こんな日がいつも続けば自分を救って/なんて常識は今日も無効で/月に吐いたって変われない様相呈した」(M-5)って歌われても、まったくイメージが浮かびません! もちろん分りやすいものもあるんだけど、なんか難しい漢字の多用されている書籍を読んでいるような感覚に陥ります。雑誌で本作のテーマを語っていた気もするのですが、僕には難しくて、でも頭フル回転で読みふけっていれば、フトした瞬間に「そうか!」と納得できるんだろうなあと思ったんだけど、そこまで気合入れて読めなかったので、結局テーマは消化不良…。ということで、個人的には、このMNOさんには、インテリジェントなイメージがありまする。

まあ何はともあれ、今作収録の“waltz”(M-6)、一押しなんですよ。僕が初め聴いたときはラジオからだったのですが、まったく名前も知らないバンドさんの音に脳天直撃されたのは久しぶりでした。軽やかなリズムの上を、秋風のごとく撫でるギター、文字通り「ワルツ」のリズム(だと思う)ですが、憂いを帯びたマサキさんのヴォーカルがそこに入った瞬間、僕の目には、川辺の土手から夕日の射す街を見下ろしている光景が浮かびましたよ。秋風とか、枯葉とか、だいだい色とか、そんな冷たくて暖かいイメージが湧きあがる名曲。アルバム通してメロディセンスは光ってるんだけど、やはりこの曲がピカイチ。

ちなみにマサキさんは昼は医者、キムラさんは製図屋をやっている(!)そうですが、活動は安定しているのでしょうか…。是非、このまま精力的に活動を続けて欲しいです。もっと大きな存在になる可能性も秘めているはず。



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