□Comment …
メレンゲ、メジャー2枚目のミニアルバム。2004年リリース。メンバーはクボケンジ(G/Vo)さんを核に、ヤマザキタケシ(Dr)さん、タケシタツヨシ(B)さんの3人。もともとはクボさんの1人ユニットだったらしいが、2003年からバンド体制に。これまでには主な作品として、『ギンガ』(02年)、『少女プラシーボ』(03年)、『サーチライト』(04年)をリリース。
1発目、初めて聴いて印象に残るのはクボさんの特徴的な声。今にもかすれそうで、儚げなのだが、でも声を上げたときに実は芯が強いってことが判明する声。これにはちょっとドキリとする。そしてほぼ全編を覆う浮遊感というか、どこか柔らかいボンヤリした音像も特徴的。曲はミドルテンポでメロディアスなものが多く、決して尖がっていないし、(僕には)突き刺さってくる感じもない。ガラス玉の中で降る雪のように、少しドリーミィで、優しく守られている。本作では曲ごとに、益子樹さんや、HARCO、渡邊善太郎さん、そして亀田誠治さんといった、名うてのプロデューサ(およびミュージシャン)が参加していて、特に益子さんや亀田さんの関わった楽曲は、いかにも「らしい」音に仕上がっているけれど、それが曲の世界観に見事にマッチしていると思う。しかし、確かにバンドなのだけれど、全体的にそれほどバンドを感じさせない仕上がりなのは、元々がクボさんのソロであったということも関係あるのかもしれないなあ、なんて思う。
それにしても全編を覆うこのノスタルジアは何だろう。かなり強烈だ。公式HPでは、メンバーのお気に入りとしてゴーイング・アンダーグラウンドやナンバーガールの名が挙げられているが、その辺りに近しい空気も感じられる。作詞・作曲をてがけるクボさんは、ナンバーガール時代の向井秀徳さんにも負けないくらいのOMOIDE IN MY HEAD状態な人なのかもしれない。フト思った。僕は頭の3曲を聴いているだけで、気持ちが過去に飛んでいく。目の前には何も見えてこないけれど、何か思い出しそうになる。過去に後ろ髪を引かれながらも、それでも前に行こうとする、いや行かねばならないという、この感覚は――なぜか中学や高校時代の卒業式を思い出す。ジャケットのせいも多分にあるかもしれないけれど。これまでの思い出が輝きだすと同時に、未来を意識させられ、現実に向かって否応なく送り出される、そんな日だ。僕は本作しか聴いていないから分らないのだけれど、
メレンゲの世界観は常にこうなのだろうか?だとしたら、この世界観を貫いていくのか、それとも変わっていくのか。個人的にはM-7のような激しいものも、もっと聴いてみたいなあ。
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