MONTHLY RECOMMEND [2005, June] Home

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Artist(s) … BASE BALL BEAR
Title … HIGH COLOR TIMES
Number
01.極彩色イマジネイション / 02.april mirage / 03.空飛願望 / 04.向日葵の12月 / 05.白雪の彼女
06.海になりたい / 07.aimai memories / 08.サテライト・タウンにて / 09.君色の街 / 10.翳ない2人
11.彼氏彼女の関係 / 12.high color times

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Base Ball Bear(ベースボール・ベアー)の1stフルアルバム。2005年リリース。CDとしては、03年に「夕方ジェネレーション」、04年に「YUME IS VISION」等をリリースしています。メンバーは、小出祐介(コイデ・ユウスケ:G/Vo)、関根史織(セキネ・シオリ:B)、湯浅将平(ユアサ・ショウヘイ:G)、堀之内大介(ホリノウチ・ダイスケ:Dr)の4人。

まーとにかく若い若いってことが取りざたされるバンドさんですが、これがリリースされた頃のメンバー平均年齢は……19.5歳ですか。ってソコは置いといて、正直バリバリお薦めというわけではないんですが、よく聴いてる作品には違いないのでここで紹介しましょう。彼らには賛否両論があるように感じる僕ですが、その理由はどこにあるかと言ったら、彼らの音(いや全体的にかもしれない)が、ナンバーガールという非常に特異かつ人気のあったバンドのフォロワーじみているという点に多くが集中しているように思う。曲タイトルを見れば、ナンバーガールを好きだった人はすぐにピンとくるだろうし、曲のイントロ(M-7やM-12)や、時おり出るギラギラしたギターフレーズなど、ナンバーガール(それも初期の方)を想起させる瞬間が多々ある。歌詞は……作詞作曲をてがける小出くんの言葉の使い方は独特であるけれども、その独特さがまたナンバーガール時代の向井秀徳氏の言葉の使い方に何となく似る部分もある(顕著なのは“思い出主義者”とかね。その他、和風でレトロな言葉を使う点)ので……「影響受けすぎやんけ」という印象が拭えないのは事実。今作では特に、エンジニアが斉藤匡崇さん(サイトウ・マサタカ:ナンバーガール、アートスクール等のエンジニア)であり、ジャケットデザインは三栖一明さん(ミス・カズアキ:ナンバーガール、ザゼンボーイズ等のジャケットデザイン)であるというのは、誰が起用の言い出しっぺかは知りませんが、少しやりすぎな感じがしないでもない。別にそこを前面に押し出して売っているわけではないから、責め立てることもないのかもしれないが、やはり気になってしまう。

と、批判じみたことばかり書いているが、僕が彼らを好きなのは間違いないのです。やっぱねえ、曲がいいよ。僕が好きな初期ナンバーガールが持っていた疾走感とセンチメンタリズムを見事に継承しているように思う(大袈裟かもしれんが)。逆にいえば、ナンバーガールがおそらく「URBAN GUITAR SAYONARA」以降なくしていったものを、彼らは携えている。だから、ってのもあるかな、僕が彼らを好きなのは。「あの日 あのとき あの場所」にいた「君」を追いかける、極彩色に彩られた思い出の旅をつづった1枚です。一言でいうならOMOIDE IN MY HEADな旅ですよ(すまんまた引き合いに出してもうた:笑)。たとえば、HIPHOPじみたリズムからメロディアスなサビに入り込むM-3やM-9よりも、ストレートなPOPナンバーであるM-1やM-8,11,12などに僕は個性を感じるので、こっちの曲ガンガン出てくると嬉しいなあ。きっといつまでもこのままではないだろう(このままでも、それはそれで好きだけれども)。いつか小出くんのポテンシャルが爆発するときがくるように、僕は感じている。そしていつしか、先輩バンドの名前はついて回らなくなるだろう。



Artist(s) … BILLY CORGAN
Title … THE FUTURE EMBRACE
Number
01.all things change / 02.mina loy(m.o.h.) / 03.the cameraeye / 04.tolovesomebody / 05.a 100 / 06.dia
07.now(and then) / 08.i'm ready / 09.walking shade / 10.sorrows(in blue) / 11.pretty, pretty star
12.strayz

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THE SMASHING PUMPKINS(ザ・スマッシング・パンプキンズ)を率いた巨大な才能ビリー・コーガン、スマッシング・パンプキンズの解散〜ZWAN(ズワン)を経て、初めてソロで出した作品が本作。2005年リリース。しかし思えばズワンて活動期間すごい短かった(アルバム出してからは1年も満たないうちに解散したのかな?)のに、ちゃんとライヴで来日してくれているのは何かすごい、というか嬉しい(まあ僕は行ってないんだけど)。

スマパン時代には、ほとんどの曲をビリーが作っていたし、そのリリースペースや楽曲のクオリティを考えると(特に『メロン・コリー、そして終わりのない悲しみ』時、シングルをガンガン切って、そこにアルバムには入らなかった曲をこれでもかと収めてくれていたのだけれど、その楽曲たちのなんと素晴らしいことよ)、彼のことを間違いなく「天才」と読んで差し支えないと僕は思っているのだけれど、しかし本作は…どうだろう。驚くほどに「メロディックではない」。つまりスマパンにしろ、ズワンにしろ、あのようなキャッチーとはいかないまでも、耳にひっかかりのある楽曲を期待すると、拍子抜けしてしまう。本作にはビリー自身による全曲解説つき(もちろん翻訳されてる)なのだけれど、その中で(そしてインタビューでも)彼は曲の作り方を変えたと言っている。スマパンとは違うものにしたい、彼の言葉を読むと、そういう思いをかなり強く感じる。相変わらずそういうところは気にする人のようだ。で、出てきた音が、エレクトロな響きを多分に含んだものだったわけで。キラキラしたシンセ・サウンドに、冷めたビート。ときおり春風のような暖かい音色が覗く。どっからどう聴いてもバンドサウンドではない。スマパンの作品でいえばやはり『アドア』に近い。しかし雑誌でも言われていたように、音は綺麗(ミックスはすっかりお馴染みのアラン・モウルダー)なのであるが、メロディがいかんせん…弱い(涙)。全曲の触感が似通っていることもあるのだろうが、ガツンと耳を持っていかれる曲が、(僕には)ないのである。スマパンとは違うものに、という意識がこういう音を招いたのか、それともこれが今のビリーに鳴らせる最良の音なのか。ビリーの作るメロディが好きな人間にとってはちょっとそこが悔しいのであるが、巨大な才能の帰還を高らかに宣言する本作には、やはり注目せずにはいられない。今後バンド形態をとることがあってもよいと思う(というかバンドの方が好きかな)けれど、やはりもう失敗はして欲しくないから、ビリーを核としたユニットというような、流動的なスタイルがきっと相応しい。でも、それだとビリーが嫌なのかな(笑)。(※しかしビリーは本作発表と共に、「スマパンの復活を考えている」という発言を!果たしてどうなるのか…?)




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