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2006.05.06‐「ミドリカワ書房ワンマンツアー “もうひとつの土曜日” in SHIBUYA O-WEST」 Home

見事なエンターテイメントでござった。
といってもそれは
ジャニーズやユーミンや
浜崎あゆみ嬢のような、
ステージングにドエライ金を
かけたものではない。
その手があったか!と、
ヒザをポンと叩きたくなるような、 そんな手法でもって、
ミドリカワ書房は、僕らを楽しませてくれた。

それはナレーションであった。
自分自身で吹き込んだナレーションを
曲の間に挿入、
次の曲への橋渡しに使ったのである。
一応「日記」という体裁で
そのナレーションは作られており、
「僕は、○○だった」
「○○だったので、××した」
というような形でもって
ある意味、ステージの行方を
正確にコントロールしていた。
お笑いの人でも、ネタによっては
自身で話すことをせずに、
ナレーションに主導権を
握らせることがあるけれど、
あれに近しいものを感じるな。
陣内智則さんとかね。

といっても、もちろんMCもある。
きちんと合間合間にMCを
行う時間が設けられており、
そこでは存分にミドリカワくんは
喋ってくれた。

しかし僕はこういう
手法で行われるライヴを見たことが
なかったので、
えらい感心&ビックリ&
嬉しい驚きを感じてしまったのであった。
鼻血を噴出すまではいかなんだが、
それでも体内の血が
ドクドクといつもより早めに
流れることで、
身体の主である僕に、
興奮をつたえてくれたのであった。

*** *** ***

ミドリカワ書房、初ワンマン。
・・・ではないのか!?
スマン間違ったみたいだぜ。。
許せ。
まーどっちでもイン、
じゃなくて、いいじゃん。

開場は18:00、
そして開演が18:30という
なんとも短い時間設定で
あった今回のライヴであるが、
開場に入るやいなや、流れていたのは
ハマショーである。
ミドリカワくんが
ファンであることを公言して
はばからない、ハマショーである。
僕は別にファンではないから、
ああハマショーだ、くらいにしか
思わないんだけどね。
ちなみにツアータイトルの
「もうひとつの土曜日」も
ハマショーの曲である。
その曲は僕も知っている。

あ、今回のライヴ、
年齢層が実に幅広い。
下はきっと10代から、
上は僕より10や20は
上の方がいらっしゃっただろう。
なんか氷川きよしのような状態である。
男女で云えば
圧倒的に女性が多いんだけど、
それでもそういった幅広い年齢層に
愛されているのは、これはもう
スターの兆しを感じる(笑)。

ハマショーが消え、客電が落ちると、
いきなりスクリーンに映像が映し出される。
いきなり映像、だよ?
なんじゃい。
と思ったら、

『実録 ミドリカワ書房 ワンマンツアーへの道』

といったような、
おどろおどろしいテイストの文字が
スクリーンに浮かび上がる。
これだけで会場は笑いである。
そしてミドリカワくん自身の
ナレーションにより、4月吉日
都内某所で行われた、ツアーに備えての
会議の模様がビデオにより伝えられる。
それは決して重く捉えるものではなく、
むしろラフな気持ちで受け取るものだった。
なぜかといえば、
そこで伝えられた内容は、
 「僕の“バックバンドいらねえんじゃねえか”
 発言により、話し合いは暗礁に乗り上げた」

とか、
 「こんなイケ面軍団に囲まれたら、
 僕が霞んでしまうじゃないか」

とか、そんな内容だからである。
もう笑うしかないじゃないか。
ちなみにミドリカワ書房の
バックバンド、以前は存じ上げないが、
現在は「頑母堂(がんぼどう)」という
バンドが務めている。
これはSOULGUMBOというバンドの
シモンさん(G)、みぎっちょさん(B)、
カトちゃんさん(Key)、じんじんさん(Dr)、
そして、にしやんさん(Sax)、
によって作られているバンド。
にしやんさんは準メンバー(らしいよ)。
そして会議であるが、
結局、頑母堂側からの、
 「ミドリカワさん、
 男っぷりがあがりましたねえ」

発言によって一気に解決(笑)。
最終的には
 「じゃあ、みんなでやりましょうか!」
とまとまるのであった。
なんじゃそりゃー!
このあと、
リハーサルの模様までビデオには
収められているのであるが、
そこには
「危うく“それぞれに真実がある”が
メタル調にされそうになった」

とか、もうネタとしか思えない経緯が
記されていた(笑)。
ちなみにメタル調、割とかっこいい。
そのメタル調事件によって、
また「ひとりでやりたい」気持ちがぶり返す
ミドリカワくんであるが、
最終的には、バンドで

「音楽って・・・・・素敵やん」

な気持ちがカムバック、バンドメンバーとも
ウィンクを飛ばしあうのであった・・・。
そしてスクリーン上でメンバー紹介後、
ついにメンバー登場――

頑母堂メンバーはみなさん、
黒シャツに黒パンツで統一である、
まさに黒子なファッショニング。
最後に登場したミドリカワくんは、
白シャツにジーンズ姿、
もちろんシャツはパンツにin!である。
うひょひょ。白いなあ。細いなあ。
歯を食いしばって両手でガッツポーズ作る
その姿にも、どこかコミカルさが滲むのが不思議やね。

何か喋るかと思いきや、引き続き
1曲目の曲紹介までナレーションで用意されていた。
現代社会の暗部を鋭くえぐったとか何とかの
前置きをおいて、“雄と雌の日々”
朗らかな曲調とは裏腹の妊娠・中絶の歌である。
彼女に子供ができたが、まだ若すぎて育てられない、
ということで、親父さんに会いにいって、
承諾を得た上で産婦人科で命を消す、という歌だが、
最後にどっこいオチがついていて、

 「あいつとは別れたけど ひでぇ女だった
 七人とやってた」


ドドーン。

 「俺の子供じゃなかったかもなぁ
 俺 騙されてたのかもしんないなぁ」


ガガーン。

そうだ、果たしてバンドとしての
演奏というかバッチリ具合はどうかという
話であるけれど、これはもうスイマセンという
話である。まったくバッチリでありました。
加えて歌詞が分かりやすいせいもあるのか、
ミドリカワくんの声がでかいのか、
音のバランスがいいのか、
演奏がバッチリしているのにも関わらず、
声が実によく届く。よく聞き取れる。
これは嬉しい。

このあとも曲を披露して、
そしてナレーションに従って、
ウクレレに持ち替えたミドリカワくん。
夏を先取りってことで、
今年こそ夏男になってやるってことで、
“真っ赤な太陽”をウクレレ弾いて熱唱する。

「真っ赤な太陽~ プニプニの身体~」

というフレーズがなんとも脱力を誘う、
不思議な魅力を持った歌である。
だってプニプニだよ? プニプニ。
プニプニ。しつこい。

引き続きナレーションに従って、
ウクレレを持ったからというこで、
“リンゴガール”を披露。

このあとがねーまた憎い演出が。

 「大ヒットシングル“リンゴガール”を
 歌ったら、ホッとしたのか、
 僕は急にお腹が痛くなった。
 お客さんのことは置いておいて、
 とりあえずトイレに行くことにした」

とかナレーションが入ってね!
サッと走ってステージから消えるミドリカワ氏。
おーなんだコレは。
と、何か、『北の国から』のテーマ曲が流れる。
と思ったら、スクリーンが下りてきて、
ラベンダー畑が・・・!
「しばらくお待ちください」って・・・・・・(笑)。
そしてそのまま画面が切り替わって、
本日販売中のツアーグッズの宣伝が始まる。
ななな、なーんだこれーは。

そしてグッズ紹介が終わると、
袖から緑川くんが帰ってきた。
と!
なんと着物に着替えている!
そして鳴り響くドラム。
そして尺八(byキーボード)!
こ、こりゃあ、
「リンゴガール」のカップリング、
“彼は昔の彼ならず”だ。演歌調の曲。
うひょーまさかコレ歌うとはね。
“リンゴガール”においては
売れない漫画家だった「彼」が、
バカ売れした数年後、
人が変わってしまうという悲しい話だ。
ちなみに緑川くんは憑依型の人間である。
着物を着れば、もう演歌歌手になりきっている。
上を見上げたり、客席をゆっくり
眺め回したり、手を差し伸べたり、
挙動がもう演歌歌手である。

気持ちよく歌いきったあとは、
再びハケて、服を元に戻す緑川くん。

 「トイレに行ったというのは
 実は真っ赤な嘘で、
 僕はコスプレをしたかった
 だけだった。テヘヘ」

テヘへって頭を撫でる緑川書房。
モヘヘ。面白いなあ。
自分でぜんぶ構成を考えているんだろか。
すごいなあ。

たぶん今回のライヴでは
持ち曲を全て演奏してくれたと思うんですけれど、
だからすごい満足感でいっぱいなんですけど、
そう、持ち曲、っていうか、
発表されていない曲も歌ってくれたんだよね。

まずは新曲“I'm a mother”
ハマショーの“I'm a father”に
敬意を表して作ったというその裏話(笑)。
どこまで好きなんだー!!!!
motherのthとfatherのthは
必ず舌を噛んで発音する緑川氏(笑)。
東京限定でゲストを呼ぶという言葉の後、
頑母堂準レギュラーのにしやんさんが登場。
恰幅のよろしい、顎鬚に笑顔が素敵な
とってもスマイリーな人だ。
と、にしやんさんが、腰を低くして、
ミドリカワくんに何か差し出す・・・。
・・・・・・?
サングラスだ!
ブハハッ。
それを丁重に受け取って、
サクッとかけるミドリカワくん。
ハ、ハマショーになりきり。
途端に拳を上げて、

 「イェーイ!!!!」

と大声を上げるミドリカワくん(笑)

客席が返すと、

 「おぉ!! いいねえ!!」

ってなもんだ。
で、この曲がね、僕は好きだな。かなり。
ハマショー直系、とハッキリ言えるのかどうか
僕には分からないんだけれど、
アップテンポのリズムと、
デデデデデデというフラットな
ベースラインが走る、
これまでにない曲調。
突き抜けるサックスの音色に加えて、
カラフルなライティングがまた
気持ちを高揚させる。
ライヴの盛り上り第一段階だったな。
要約すれば、
妊娠した「私」と、それの夫への告知を
綴った歌なのだけれど、
珍しくハッピーなんだよね、内容が。
夫は「私」のお腹に手をおき、
そっと「私」を抱きしめて、
私は涙をホロリとこぼす、みたいな。
なぜか眼が潤んでしまった。

で、曲が終わってサングラス外すと、
また妙に腰を低くするんだよね、
ミドリカワくん(笑)。ナハハ。

このあとも、未発表曲が続いた。

ナレーション:
 「最近僕を差し置いて
 すっかり人気者になってしまった
 茂木淳一
(会場笑)。
 きっと僕のことなんか
 すっかり忘れてしまったんだろうな。
 さまぁ~ずに夢中に違いない。
 彼は最近ラジオのレギュラー番組を
 持ったらしいな。
 ちょっと聴いてみるか。
 ― チューニングの音 ―」


と、ここで『みんなのうた+α』収録の
“茂木淳一のしらばっくれ大名”のイントロが!
あ、茂木淳一(もぎ・じゅんいち)さんは、上のアルバムで
ショートドラマのナレーションを務めている方。
スキージャンプペアのナレーションの人。
すっかり人気者の人である。
千葉レーダとして音楽もやっている。

そして茂木さん節炸裂の
ナレーションで、ミドリカワ書房には
諸事情で電波に乗せられない曲が
あるということが告げられる。
それを危険を承知でこのラジオでは
かけちまおうじゃないかと、
そういう体で、曲紹介――

 「轢いた私が悪いのか、
 轢かれたアンタが悪いのか」


曲名は、“ドライブ”
これが、なんともね、
これじゃ放送されないわな、って曲だ。
腰の曲がった婆ちゃんを轢き逃げして、
逃げる話だからね。
最後には捕まるんだけれど。

「僕は生まれたときから悪魔だったんだ」

って、ドス黒いなあ。

続いての曲も、

 「コレ新曲なんですけどね、
 メジャーにうつったくせに、
 オンエアされない曲作ってどうすんの
 ミスターグリーン!?
 いやオンエアが目的じゃない。
 歌いたいから歌うのだ。
 死刑執行を1週間後に控えた
 囚人からの
 最初で最後の母への手紙」


というナレーション後、
“母さん”が演奏されるが・・・・・・。
・・・・・・。
赤いライトがどこか血生臭い。
・・・・・・。
これはないよーないない。
いやオンエアね。まずないね。
だって、ねえ?

 「僕はあのとき頭がどうしようもなく
 痛かったんだ」

とか、

 「誰かが僕の脳みそいじくったんだ」

とか、

 「僕は来週の水曜、
 法律に消されるんだ」

とか、厳しいですよね、きっと。

 「母さんが僕を産んだことを
 後悔していないなら嬉しいです」

って内容は、そのぶん重く響くけれど、
心神喪失状態を訴えると、
ちょっとかなり問題が難しくなりますよね・・・・・・。
それよりは、
確かに自分の意思で事件を起こしてしまったけど、
でも今ではすごく後悔しているって内容の方が、
僕はよかったと思うなあ。思います。
でもこんな曲作っちゃうのはなぜなのかしら?
たとえば60年代後半、70年代(かな?)には、
『(“キンタマ”を連呼する)つぼイノリオ「金太の大冒険」、
(脳梅毒をモチーフにした)泉谷しげる「おー脳」など、
伝説的な放送禁止歌』
(『QJ vol.65』p.22)
などがあったらしいが、
そういういわゆる、
『シンガーソングライターの可能性を追究』(同前 p.22)
しようとしていた人たちの血が、
ミドリカワ書房にも流れているのかもしれない。
意図的にしろ、そうでないにしろ。
時代が時代だけに、反体制とか、
そういう意思はまったく感じられないが、
いずれにしろ、この“母さん”で、
会場はともかく、僕の心は、もう
かなりズッシリどっしりと重たくなった。

その空気を払拭、という狙いが
あったのかどうかは分からないが、
「茂木淳一氏にボンレスハムを贈っておこう」
というナレーションの次にやってきたのは、
“それぞれに真実がある”
まあ流れ的には続いているけど。
人の生死に関わる話ではないだけに、
空気は大分和やかになる。
曲もPOPだし、どこか歌詞も暖かいし。
と、この曲に続いてやってきたのが、
アップテンポのリズムと走るキーボード。
緑色のライトが怪しくステージを舐め回す。
僕は初聴きだったのだが、
これが、かの“続・それぞれに真実がある”
「それぞれに真実がある」のカップリング。
タイトル曲では父親と母親の離婚に
娘が涙を流し、それを父がやさしく(っても変だが)
見守るってな風景が描かれるのだが、
このカップリングでは、そのピュアだった娘が
アバズレ化してしまうという悲しい未来が
描かれている。
友達と街に出かけ、
野郎どもに抱かれまくって、
こんなことになったのはアンタのせいよ、
苗字が変わってからこんなになったのよ、
って父親を罵る娘・・・(涙)。
完全に娘になりきったミドリカワ書房。
ギターを下ろし、マイク片手に
ステージを歩き回り、
右~中央~左へと、ステージの際を
歌い歩く。お客は大喜びだ。
ミドリカワくんは、身をくねらせ、
股間に手を当て、首筋に指を這わせ、
シャツのボタンを外す。
やっぱり憑依型芸人の匂いを感じる。
完全にキャラになりきるあの感じである。
怪しい空気満載。

このあとかねー
“馬鹿兄弟”を演奏してくれるが、
これってどうなのかねー、
どっかどうかしら実体験が
入ってるのかしらねー、
って聴く度に思うんだけど、
どなたか知っている方いますか?
いい曲だよね。
借金かさねまくって、
遺書を遺し、行方をくらました弟、
母親は心労でダウン。
東京で金にならない唄を歌う兄貴。
数年後、弟から兄貴に届いた手紙。
昔と同じ汚い文字がある。
結婚招待状。
兄貴に唄を歌って欲しいと。
当時は「あんな弟死ねばいい!」
と思っていた兄貴だが・・・。
結局「もうひとつの土曜日」を歌うのだ・・・。
この曲のプロモがねーまたねー
好きなんですよ・・・(って長いのでカット)。

 「みなさん、
 体力はまだ残ってますか?
 立ちっぱなしで疲れたでしょ?
 体力は残ってますか?」

と言った後に、
再びサックスのにしやんさんを入れて、

 「ブサイクに、幸あれぇっ!
 ブサイクに、幸あれぇっ!
 ブサイクにぃぃぃ
 幸、あれぇぇぇぇぇ!!」


と、なーんかどっか毒のある言葉を吐いて、
“顔”(あるいは“顔2005”)がスタート。
熱い。盛り上り第2段階である。
そしてこの大分前から気づいていたが、
ギターのシモンさんがイカす。
ってかギター上手くねえっすか?
いや俺はギターに詳しくないし、
ギの字も知らないから分からないんだけど、
なんか、こう、違うんだよなあ。
旋律が乱れないんだよね。
そしてプレイが官能的なんだよね。
フレーズは絶対ぇ乱さねえ!って
完璧主義な感じなんだけど、
流れるようなストローク、
陶酔的なプレイ、かっこいいす。
また、口で歌詞を追ってるんだけど、
その歌詞と身体の動きが
ミスマッチでこれがまたイカす!
だってたとえばね、

 「明日こそはママに打ち明けよう
 わたし整形手術がしたいの」


とか口で追いながら、手と身体では
メッチャいかすギター弾いてるわけすよ。
顔を歪めながらね。
シュールだ。

そして楽しい時間(ホント楽しいよ)は
あっという間に過ぎるもので、
今週のラストは“チューをしよう”
「今週の」を強調してたけど、
次週はまた違うのかな。
ラスト部分は音を小さくするから、
みんな歌ってね、歌ってくださいよと、
ミドリカワ書房じきじきにお願い。

自然発生的な手拍子。
にしやんさんの
スマイリーハンドクラップも炸裂。
会場にハッピーなヴァイヴが充満する。
そして訪れたラストでは、
フロア合唱である。

客:
 「チューをしよ~
 チューをしようおう♪」


と歌うが、

 「低いな」

と歌い手にダメ出しをされる。
と思ったら、

 「次はナタデココでいこう」

ってなもんだ。

ミドリカワくん:
 「ナタデココ~」

客:
 「ナァタデココオウオウ♪」

ミドリカワくん:
 「ナタデココ~」

客:
 「ナァタデココオウオウ♪」

ってきたら次は、

 「じゃあ次は安めぐみでいこう」

ときたもんだ!!

ミドリカワくん:
 「安めぐみ~」

客:
 「安めぐみぃ~ぃ~♪」

ミドリカワくん:
 「安めぐみ~」

客:
 「安めぐみぃ~ぃ~♪」

ミドリカワくん:
 「チューしてぇ~」

客:
 「チューしてぇ~ぇ~♪」

ミドリカワくん:
 「ぁチューしてぇ~」

客:
 「チューしてぇ~ぇ~♪」

ミドリカワくん:
 「チューをしよう~」

客:
 「チューをしようおう♪」

と、やあっと本筋に戻り、
合唱のち、大団円である。ナハハ。
本編終了直後にも
ナレーションが入り、

 「鳴り止まない拍手、
 ミドシン
(緑川伸一の略)コール」

って言うのも束の間、
実際に大きな拍手とミドシンコールが
フロアから湧き出す。
アハハと照れ笑いを浮かべる緑川くん。
そしてナレーションの指示に従って、
客席を写真に収め始める。
ブログに載せるんだって
(ちなみに実際に載ってます!)。
携帯をフロアに向け、
左、中央、右、と
全方向に向けて、シャッターを切る。
撮り終ると、
「あ、終わりです」
みたいなことをボッソリ言って、
グダグダな空気を充満させ、
会場を失笑させて、去っていく、緑川くん。
BGMは“もうひとつの土曜日”

終わり?

もちろん、ここまで楽しんだら、
客はそれ以上を求めるのであーる。
鳴り止まない拍手と
ミドシンコールで再登場を願うフロア。
でももうそんなに曲がないよ?
って思ってたら、
ツアー限定販売の
ミドリカワ書房Tシャツを着た
ミドリカワくんが、ピョーンと飛び出してきた。
前日まで風邪引いてたのに・・・元気じゃなあ。
そしてギターをしょって、

 「えーTVKってテレビ局あるじゃないですか」

って話始めた。
ウヘヘ。あのことをいっているんだな。

 「そんなかに、ミュートマジャパンて番組があって、
 チョット前に、出たんですよ」

と言ったら、会場から、

 「見た」
 「観たぁ」
 「観たよ」


って声が飛び出す。
と、
 
 「うっせえよ!」

って笑いながらミドリカワくん。
そう彼は、ミュートマジャパンに出たときに、
その中の企画で即興ソングを作ったのである。
題して“中華まん”
実際に番組内で歌い、
リクエストがわんさか来たら次のライヴで
歌いますよ、なんてことを言っていたのだ。
ということで、“中華まん”
 「中華まんはオッパイに似ている、
 けれど僕はオッパイの方が好きだ、
 けれど、今日横浜の中華街で
 肉まんを食べたら、その考えが変わった。
 僕は中華まんの方が好きだ」

という、歌詞を見ると
しょーもない歌に思えますが、
曲がね、実にPOPなので、僕は好きなんですね。
しかも歌詞が字余り的になってないのがスゴイね。
ちゃんとメロディに乗っている。
即興なのに付け焼刃な感じがまるでない。
リリースの当てはまったくないそうだ(笑)。
そして東京限定で披露だそうだ。
やったな。

そして、
バックバンドのメンバーを1人ずつ招き入れる。
最初にじんじんさんが入り、ドラムを叩き始める。
次にみぎっちょさんがベースで入る。
そしてギターのシモンさん。
そしてキーボードのカトちゃんさんが入る。
途中からミドリカワくんは、
ずっと「頑母堂~俺らの頑母堂~♪」
という即興?ソングをヘロヘロ歌っていた。

本来アンコールはないんですよ。
もう本編に全力を尽くしておりますから。
なんてことを言っていたが、
本当だろうか? これは予定外のことなんだろか?
それでここまで即興でできるの凄いでしょ?
とか言っていたけれど、どうなんだコレは?
ま、いいんです(適当ですまん)。
そして“私には星が見える”
亡くなった旦那を思って生きていく、
慎ましい婦人の気持ちを歌った、しっとりナンバー。
CDではあんま聴かないんだけど、
なぜか染み込んだなあ。ウルッときた。

そして最後は~

 「ミドリカワ書房、
 これからも驀進しますんで!
 よろしくお願いします。
 俺について来い!
 笑って、俺について来い!」


おーまだやってない曲があったか!
“笑って俺についてこい”
いいねー、僕も好きな曲です。
これもプロモがね、
変なテイストで・・・(長いのでカット)。

最後の最後は、
ステージに全員整列して
(ちなみに全員ミドリカワ書房Tシャツ)
お辞儀。そしてハケていく。
御大ミドシン氏は、
最後まで名残惜しそうに会場に手を振って、
そして武藤敬司のポーズを
真似たかのような、奇妙な投げキッス
ポーズを連発して、去っていった。

*** *** ***

なんかコレで終わり?
ってな妙な間があったと思ったら、
ステージにスクリーンが降りてきた。
そして流れる長州力の入場曲。
長州小力って言った方がいいかな。
チャーラーララー、チャララララララってやつ。
何が流れるのかとワクワクしていたら!
なんと新作リリースの発表であった。
その名も『家族ゲーム』。
“家族”をテーマにした6編の物語。
うぉー聴きたい、聴きてぇ。
7月19日発売でござる。
ライヴ後に配られたフライヤーには
詳細が書かれているが、
なんと本日も披露された“I'm a mother”
ハマショーの“I'm a father”に敬意を表した
というあの曲ね、なんとレコーディングの演奏は、
すべてハマショーのバックメンバー!!
なんてことやってるんだ・・・・・・。
そこまでいってしまったのですか。
そういや「ゆず」の2人から花束届いてましたね。
って話逸れたな。

とにかく渾身の(って感じしないのが憎い)
エンターテイメントなライヴであった。
途中でナレーションの頭出し間違えたり
といったアクシデントもあったが(ミドシンも苦笑)、
それすらも笑いに転化できるような、
この作られた空間。素敵であった。
こんだけ趣向を凝らしてても、
これで完全ポップチューンっていうか、
ただの恋愛ソングとか歌ってたら、
間違いなく僕は惹かれないのであるが、
これまで書いてきたように(って書いてないかも)、
ミドリカワ書房には何かがあるのである。
キラリと光る、いやその光に隠されて
なかなか直視できないものが、
間違いなく、あるのである。
光と闇。善と悪。正と誤。
いや、そんなにスパッと割り切れない、
グレイなゾーンが、そこにある。
そのアンバランスさ、歪さ、
どっか「はみ出し」ている感じが、
たまらなく僕を惹きつけるのです。

ということで、これは
これからも応援しつづけるしかない。
いや応援させてください。

また会いに行きますよぉ。

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引用文献
 望月ミツル(文) 北沢夏音(取材協力) 2006 三〇年の“封印”から解き放たれた「シンガーソングライターの王国」――エレックレコード再始動 森山裕之(編) Quick Japan, 65, 21-23. 太田出版

※今回は「ミドリカワ書房」ということで、 見出しに「緑色」を使用しております。

2006/05/07(最終修正日:2006/05/16)
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