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■シルバー事件 再想(再走)− シルバー事件25区
□correctness−#03:boys don't cry -------------------- story #0#1#2,

>
事件(という呼び方は相応しいのか?)は、
いよいよ動き出す――

***フィナンシャルにて、
ATMの前で愁うシロヤブ。


 『また無駄金使ったった・・・』


彼は金がないのだ。
自分を叱咤するも、結局
「俺は悪くない、世の中のシステムが悪いのだ」
という結論に達し、「まあいいや」となる。
金に関してはいつまでたっても成長しなさそうだ。
そういえば、前作のクサビも金がない人だった・・・。

とりあえず金を下ろそうとするシロヤブ。
だが、ATMがカードを受け付けない。

 『コノ カードハ シヨウ デキマセン』

??
リトライする。

 『コノ カードハ シヨウ デキマセン』

おかしい。
カードの向きを間違えたか?
カードの磁気が弱くなっているのか?
リトライ。

 『コ ノ カ ー ド ハ 
 シ ヨ ウ デ キ マ セ ン』


メッセージの比類なき冷静さが、
シロヤブの心に火をつける。
こっちは困ってるのになんじゃその言い方は、と。
そういうことだ。
備え付けの電話をガッと掴み、
怒鳴り散らすシロヤブ・・・なぜか関西弁だ。


 『待てや コラ!
 ワレ どんな機械使うとんねや!
 シバいたるさかい さっさと出てこんかい!』



一応(といった感じで)詫びる、電話の向こうの銀行マン。


 『急げや ドアホがッ!』


金がない。カードが使えない。
ないない尽くしで、「死にたい」とボヤくシロヤブ。


???:
 『じゃあ 死ねよ』



背後に誰かが立っている・・・!
黒いスーツ、左手にはスーツケース。
垂らした右手に握っているのは・・・・・・銃?

コロシヤ

まあでも、シロヤブとて凶犯課の人間。
コロシヤの1人くらいにはまったく動じない。
相手に年齢を聞いて、自分より下だと分かるや、
タメ口を使うんじゃないと、叱り飛ばす。
関西弁で。


 『このクソガキが!
 何 タメ口 聞いとんねん!』



関西の人はけっこうこだわるんだね、
なんてコロシヤ1号に言われて、


 『阿呆か! カンサイちゃうわ!』


と返すシロヤブ。じゃあなんで関西弁?


 『新喜劇の観すぎじゃ!』


だってさ・・・。
この世界の中にも「新喜劇」ってあるのね。
そして「カンサイ」っていう地域も。
そっちまで話が広がればスゴいけどね。

「シンキゲキ」を知らない様子のコロシヤ1号であるが、
そんなことはまあ置いておいて、
ここで肝心なのは、コロシヤの狙いが
他ならぬシロヤブである、ということである。

なぜ狙われるのか?
ごく普通に考えれば、捜査の上で
何か「ヤバイ」ものに触れたのではないか、
という考えが出てくる。
そしてこの後の展開を見ても、
彼シロヤブが捜査している対象が
おそらく問題である、との考えが出てくる。
しかしそれと同時に、さらに後の展開を見ると、
このコロシヤの投入には別の目的もある、
との見方もまた可能なのである。
それは今は書きませんが。
もうちょっと下の方で記述してみよう。

そしてコロシヤとの戦いである。
これをこの『シルバー事件25区』内で
どう描くのかという話であるが、
そもそもこの作品にはアクション的な
要素が、前作同様に、ない。
だからカーソルを押して敵の弾をよけながら、
なおかつ自身の銃の引き金を引くべく
ボタンを連打する、というようなことにはならない。
でもしっかり「戦い」という括りになっていて、
このコロシヤとの戦いになると、
画面が戦闘モードに切り替わる。
早い話が、コマンド入力型の戦闘である。
ドラクエみたいなね。
あそこまで色んなコマンドはないが。
この1号との戦いにおいては、使えるコマンドは
「ウツ」、「ナグル」、「ニゲル」の3つ。
まあこれを適当に選んで戦闘するわけだが、
ご多分にもれず、特に難しいものではない。
簡単に勝てる。
それより何よりだ、
この「戦闘」の表し方、アイデアは素晴らしいと思う。

後の展開を少しばかり言ってしまうと、
コロシヤは全部で7人いる。
であるからして、もしこういう「戦闘モード」を設けずに、
戦闘シーンを画面上に描写して、
ウィンドウ内のテキストだけを読ませる形だと、
決してこの物語が「戦闘」に重きをおいて描くものではない故に、
そんなに毎回毎回凝った戦闘描写も出来かねるはずだし、
だとすると、必ずプレイヤーに飽きがきてしまう。
同じようなテキストを読むだけ、という形になってしまう。
しかしこれなら、このコマンド入力の戦闘ならどうだ。
コマンド入力型、ということで、緊張感が生まれる。
自分の行動次第で勝敗が決まる。ゲーム性が保たれる。
しかも入力できるコマンドはコロシヤごとに変化する。
つまり全7回の戦闘中、どれ1つとして同じ戦いはないのである。
しかもRPGをパロった(パロディ化した)ような、
あるいはオマージュを捧げたかのような、
勝利のファンファーレ、および、
戦闘後の経験値獲得、そしてレベルアップの記述。
シロヤブの何がどれだけレベルアップしたとか、
シロヤブの何がどうなったとか、そんな記述。
そこに何ら意味はないのだけど、単純に面白い。
加えて、戦闘中のメッセージはすべてカタカナで統一されており、
そこだけある種「異質」な空気を出している。
ミニゲーム的な空気さえある。
だから、「ここからは違うんだな」と、
プレイヤー側でも気持ちをスイッチングする。
物語の本筋と、このミニゲーム的感覚の戦闘が交互に
進行することで、「プレイ」の流れに緩急がついている。
だから、パターン化はしていても、戦闘に飽きがこない。
こんなアイデアをよくぞ思いつくものだと、
僕はひどく感心した。すごいっすよ。
(アドベンチャーゲームで云えば、
たとえば『探偵神宮寺三郎』シリーズなどでは、
こういったコマンド型の勝負もあるにはあるが、
あれは闘い自体がそうそうあるものではないから、
プレイヤーの飽き云々という話にはならないし、
負けてゲームオーバーという展開もないので、
さほどの緊迫感もない。ということで、
いささか趣が異なってくると思う。
「闘い」の、物語の本筋との結びつき具合も、
『シルバー事件25区』よりもはるかに強い)。

さて、コロシヤ1号との戦闘であるが、
撃ちまくって何とか勝利、血塗れのシロヤブである。
ちなみに、この「戦闘」においては、
負けるときもある、つまり死ぬときもある。
そんなときはリトライできるのであるが・・・、
そこでもクスリとさせられるから、
負けたことのない人は、1回負けてみるのも面白いです。

コロシヤ1号は死の間際、不敵に笑い、
まだまだ戦いは終わらないことを仄めかし、絶命する。
シロヤブは他にもコロシヤがいることを察し
(なんで7人ということが分かるのかは謎、
凶犯課捜査官としての“読み”だろうか)、
血塗れのまま、「泣きたくなってきた」とぼやく。

泣くなシロヤブ。
boys don't cry.

そしてシロヤブは街に姿を消す・・・・・・。
なぜ単独行動をするのだろう。
コロシヤが動いているから、
凶犯課に迷惑はかけられない、ということか。
それともプライド。
いつまでもクロヤナギの下で
バカ扱いされてるわけにはいかないという、
凶犯課捜査官、もしくは男の意地だろうか。

*** *** ***

25区某所の桟橋にて。
コウサカとハトバが話をしている。

ハトバはコウサカに、
シロヤブのことを知らないかと尋ねる。
街に姿を消したシロヤブ。
ハトバは彼を大分可愛がっていたようである。
一人前の捜査官として、
成長するのを楽しみにしていたようである。

コウサカは案の定すっとぼけるが・・・・・
(いや本当に知らないという可能性も
あるけれど、後の展開を見ると、
コウサカはシロヤブのことを知っていたはずだ)。
ハトバはなぜコウサカに聞いたのだろう?
なぜコウサカが知っていると思ったのだろう?
何か考えがあるのだろうが、
僕には現段階ではまるで分からない。

ふいに、地域調整課(地調)のことを
コウサカに聞くハトバ。
知っているか?と。
これについてもコウサカは知らないと言う。
本当に知らないの? それはねーべ。
ハトバは云う、


 『総務省が飼ってるハイエナらしいんだが
 シロヤブにちょっかい出してるみたいでさ
 なんか情報あったら連絡してよ』



なるほど・・・。ということは、
コロシヤを投入してきたのは、地域調整課?
前話でカミジョウを追い、
マチコさんと接触し、「潜水夫」という
存在を知ったシロヤブ。
そこに「郵事連」が噛んでいることも、
クロヤナギから聞いて知ったシロヤブ。
地域調整課から狙われる理由は充分にある。
・・・・・・。
いやいや、だとするとだ、
なぜわざわざ「コロシヤ」を使う?
地域調整課がなぜ動かない?
調整を行うのは地調のはずだ。
そう考えると、コロシヤの投入者は
地調とは別のところ、もしくは
仮に地調だとしてもだ、そこには
「シロヤブ抹殺」以外の目的があるのかもしれない。

というかだ、ハトバはなぜ
地調がシロヤブにちょっかい出していると
知っているのだろうか?
捜査の賜物、ということか。
ハトバは地調のことをこきおろす。
大儀もない、主君もない、
ないない尽くしのしょーもない集団だと。
「腹も斬れない侍だ」と。
「ミチルくんのような漢は減ったね」と言う。
そう、かつてコウサカは、とあるミスをした際に、
自らの宣言どおりに、腹を切ったのである。
しかし今のコウサカはこう云う、


 『もう腹は斬りません』


ハトバはコウサカを、


 『サカグチさんが亡くなって
 キミは別人になった』



と表現する
(「サカグチ」とは、コウサカの元上司だ)。
しかし一概にコウサカが悪人になったとは言えない。
僕にはそうは思えない。
彼には彼の、考えがあって動いているはずだ。
そしてハトバにはハトバの考えがある。
ただ、それだけのことだ。

ハトバはコウサカに念を押す、


 『今度の件 信じてるよ
 そっちが関わっていないって』



と・・・・・・。


 『嘘はつきません』


とコウサカ。


ハトバ:
 『嘘だったら?
 腹 斬る?』



コウサカ:
 『斬りませんよ』


黒い雲が立ち込める。
不穏な空気だ。

ハトバはシロヤブが
クルミザワの一件で動いていたことを
コウサカに告げる。
を触ったのかもしれないと。

まるで意味が分からないが、
ハトバはシロヤブが生還できるとは
思っていないようである。
期待はしていないけど楽しみだという。
そしてコウサカもそれに応じる。


 『本当 楽しみです』


だと。含みがあるね、ずいぶんと。

クルミザワ・コウスケといえば、
タワーマンションの管理人で、
彼は遺体で発見されたはずだ。
シロヤブとサカキが捜査に当っていた。
しかしクルミザワの身元を示すものは
履歴書一枚のみ、他の彼につながるものは
一切残されていなかった・・・。
そして前話で、マチコさんから得られた情報、
カミジョウが狂言自殺をする直前に会いにいったのが
「古い友人」であり、「管理人さん」であったというもの。
クルミザワとされる死体が発見されたのがいつか、
というのが正確には分からないが、
この「管理人」については、3通りほどの考え方ができる。


1.「管理人」はクルミザワ

 物語の展開上、この可能性が一番高いが、
 だとすると、クルミザワは生きている。
 なぜならば、シロヤブがクルミザワの遺体を
 調べているときに、サカキはまだ生きていた、
 そしてカミジョウが自殺(狂言だが)したときには、
 サカキはもう配達屋によって殺されている。
 つまりカミジョウがクルミザワに会いにいったのは、
 (おそらく、だが)クルミザワとされる遺体が
 発見された後なのである。
 であるからして、もしカミジョウが狂言の前に
 クルミザワと話をしたのであれば、クルミザワは
 生きていることになる。
 まあ何を話したのかは分からないんだけど・・・。


2.「管理人」は特務捜査官

 すっかり忘れられているが、コウサカの指揮する
 特捜部隊の一員である誰かさん(仮に“A”と呼ぼう)は、
 #00:prototypeの中でタワーマンションに潜入している。
 管理人として。
 クルミザワが会ったのは、このAである、という可能性もある。
 「古い友人」という言葉は確かにあるが、
 別にこのAとカミジョウが友人であってもおかしくない。
 しかし彼の動向は現在謎。
 #01において、シロヤブらを現場に案内したのが、
 このAだとすると、彼は現在、
 タワーマンションのボーイの言葉(''01)から、
 「(配達屋との)銃撃戦に巻き込まれて以来、床に臥せっている」
 ということになるが、果たして・・・?
 そして僕は一時期、このAがクルミザワではないかと疑ったが、
 どうやらその線は弱そうだ、現段階では。
 そしてそして、凶犯課ウエハラと、このAが別人なのかどうかが、
 未だに僕には分からない、早くハッキリしたいもんだ。


3.「管理人」はただの管理人

 まあクルミザワでもAでもない、ただの普通の管理人。
 みたいな。それはないか? ないのですか?
 まあ、あるいは、「ただの普通の」ではない
 人であってもいいんですけれど。


果たして真相はいかに・・・だ。
まあ、まだよく分からないから、この問いは保留。

*** *** ***

場面変わって、ギガセール交差点。
シロヤブとクロヤナギが捜査に当っている。
特に時間についての説明はないが、
思うにこれは、時間的には
シロヤブがコロシヤ1号と遭遇する前だ。
なぜそう思うかは、これから記す。

シロヤブとクロヤナギの2人は、
交差点の真ん中に捨てられたゴミを見ている。
眠いから早く帰りたいと言って、
シロヤブの話を一向に聞かないクロさん。
しかし「眠い」というのはきっと方便で、
彼女はシロヤブを鍛えたいのだ。
だから敢えて自分が捜査には加わらない。
シロヤブに事件を読ませる。

交差点の真ん中にあるのは、どうやらポリバケツ。
そして、その中には死体が入っている。
損傷から察するに、タワーマンションと同一の手口。
ということは、配達屋の犯行(?)。
しかし、死体を放置するとはどういうことか?
何のメッセージなのか?
これより2日前には、ミンチ状になった肉の塊を
入れたバケツが、高層ビルから落とされた。
肉は人間のものだった。
昼食中のオフィス街は大パニック。
わざわざ目に付く場所に、
「ミンチ肉を入れたバケツ」
なんていう代物を落としてくることからして、
相手が何者であるにしろ、シロヤブはこれを「挨拶」と読む。
そして高層ビルからの「落下」と
今回のポリバケツの持つ「ゴミ袋(というかゴミ)」という
イメージを結びつけて、そこから
シロヤブはクルミザワの名前を連想する。
なぜクルミザワかって?
まず、クルミザワとされる死体の損傷と、
このポリバケツに入っている死体の損傷が同一。
そして彼クルミザワが、
殺害される前に取っていたとされる行動は、
タワーから「落とさ」れた「ゴミ袋」の回収
(それはつまり女神が捨てたゴミ袋か?)。
以上の点からして、2日前の「バケツ投下」と、
この「ポリバケツ」内の死体が放つメッセージは、
クルミザワ」だと結論づけられるのである。

としてもだ、これは誰の仕業だ?
そこが肝心だ。肝心かなめ。
タワーマンションでの一連の犯行が
配達屋によるものだったという事実を考えると、
クルミザワとされる人物を殺害したのも、
配達屋だと考えることができる。
そのクルミザワとされる死体の損傷と、
交差点に放置されている死体の損傷が同一だということは、
この(交差点への)死体放置もまた、
配達屋の仕業だと考えることもできる。
だがしかし、それは違う、とシロヤブは推理する。
なぜなら、タワーの配達屋は、
シロヤブとクロヤナギで殲滅したからだ。
だから、彼らタワーの配達屋の仕業という線はない。
だったら、ということで、
他の地域の配達屋って線を疑うシロヤブ。
タワーの配達屋たちを殺られた恨みで、
こんなことをしているのではないかと・・・。
だけど、それはおかしい。
だって、恨みを晴らすならだよ、
直接シロヤブらに接触してくるはずだ。
それをわざわざ死体の投下や放置といった
回りくどいことをしてアピールするだろうか?
案の定、シロヤブはクロさんにダメ出しされる。


 『ないね ないない ありえない』


そして彼女はヒントを出す、


 『クルミザワの身元は未だに割れていない
 だったらどうだ?』



この言い方からして、
ある程度深いとこまで読んでるな、クロさんは。
・・・・・・。
で、「だったらどうだ?」ということだが、
ここからシロヤブは、
「クルミザワが生きている」
という考えを導き出す。
クルミザワの身元が割れていないということは、
あのタワーで発見された死体が、
本当にクルミザワかどうか、確認できていない
ということだろう。
ただ何らかの情報から、あの死体は
クルミザワだと推測された。おそらく。
しかし履歴書以外、クルミザワに関する
情報は一切が消されていた・・・・・・。
ということは、繰り返しになるが、
現在あの死体とクルミザワを結びつけるものは、
それが何であるにしろ、極めて弱いものであるに違いない。
であるならば、
「実はクルミザワは生きている」としてもおかしくない。
そしてシロヤブは、クルミザワが生きているとしたら、
現在こうして死体放置や死体の落下といった所業を通じて、
「クルミザワ」というメッセージを発しているのは、
もしかしたらクルミザワ本人なのではないかと読む。


シロヤブ:
 『死人扱いされている
 現状に我慢できなくなって
 その主張をしてるってことすか・・・』



だが、何のための主張だ?
そしてなぜそんな回りくどい主張をする?
なぜ自ら公の場に出て、
「俺は生きている」ということを主張しない?
クロヤナギはシロヤブの読みを肯定した上で、
さらに別の考えを提示する。


 『それか 奴が首謀して
 でっかい花火を打ち上げようとしてるかだ』



でっかい花火。なんだ?
クロヤナギはクルミザワを
「チョークセー」奴だと思っている。
すげー怪しいってことだ。
そうさ、カミジョウが狂言の前に
会いに行った「管理人」が、このクルミザワであるとすれば、
彼には間違いなく何かがある。絶対に。
クルミザワが、カミジョウの「古い友人」だとすると、
彼もまたカミジョウと同じく潜水夫との見方もできる。
できる、が、必ずしもそうとは言い切れない。

いずれにしろ、これはでかいヤマだ。
潜水夫がらみで郵事連が噛んでいるとすれば、
相当にこれは、「熱い」ヤマである。
クロさんが言うように、「触ったら火傷する」ような。

しかし、
シロヤブはいまいち分かっていないようなので、
クロさんから思い切りバカ扱いされてしまう。
コテンパンに。
クロさんから凶犯課捜査官としての
心構えを叩き込まれるシロヤブ。
そして、彼はクルミザワを追うことになる――

とりあえず糸口を探すシロヤブであるが、
彼はふとウエハラのことを考える。
1人で捜査は心細いからかな?
どうやらウエハラはずっと無断欠勤してるらしい。
そろそろクビだなと、シロヤブは決め付ける。
ああ、すっかり忘れられたな、ウエハラ・・・。
このあとどう関わってくるのかな。
そんなことより、クルミザワ。である。
ここで巧みな刷り込みが行われるのであるが、
それは「クルミザワが地調の人間である」というものだ。
配達屋、もしくは潜水夫。
シロヤブが勝手にそう考えているようなのだが、
プレイヤーは知らぬ間にその図式を頭に組み込んでしまい、
クルミザワ=地調の人間、と思ってしまう。
危ないなあ。知らぬ間に考えを固定されちゃうと、
思わぬとこでビックリさせられるからな。
でも確かにね、上に書いたように、
クルミザワがカミジョウの友人だとすると、
彼が地調の人間であると考えるのは真っ当だけれど・・・。
ま、とにかく、クルミザワを地調の人間だと考えて、
彼のことを探るには、ひいては彼を引っぱり出すには、
配達屋に接触するのが一番だと、シロヤブは考える。
そして、配達屋の潜伏先はどこだろうと、
思案に暮れる・・・・・・。
確かに、配達屋はタワーのような階層の隙間に
潜んでいるのだろうが、そんな隙間を探るのでは、
特別な装置が必要だし、金がかかる。無理だ。
であるならば、潜伏先ではなくて、
潜る場所で待ち構えればいいと、シロヤブは閃く。
潜る場所・・・、どこだ・・・?

ってことでね、クロさんにバカ扱いされて発奮、
ここからシロヤブは単独行動で
クルミザワに対する捜査に着手するようになって、
で、金を下ろそうとしたところで
コロシヤ1号とご対面、ってな展開になるんじゃないかな、
って、そういう流れの方がシックリくるんじゃないかな、
なんて僕は独り思っているが、まあどっちでもいいか(笑)。
でもそうじゃないと、1人街へ姿を消した後に、
クロさんと捜査に出ていることになって、
まあおかしくないっちゃおかしくないけど、
シックリこない感じが残る。
シロヤブがクロさんと一緒に行動しているなら、
ハトバもコウサカに「シロヤブが姿を消した」
という表現はしないはずだし。

*** *** ***

ところ変わって阿修羅銀行(おそらく)。
コロシヤ1号を処分した後(おそらく)の
シロヤブが、再びATM前で、
カードを機械に通そうとしている。


 『うりゃ!』


と叫んでみるもむなしく、カードは通らない。
だが、これってどういうこと?
誰かがATMを制御しているってこと?
シロヤブのカードが使えないように?
だとしたらその意図はなんだ?
彼の金を使えなくしてどうしようってんだろう。
ATMの前で銀行に悪態をつくシロヤブ。

そして予想通り、コロシヤ2号が登場。
ニット帽に髭面の極悪人顔である。
銃を「抜け」、「抜かない」の押し問答を経て、戦闘開始。
しかしシロヤブの得意技「ニールキック」からの、
パウンド、そして馬乗りパンチであっけなく勝利。
パチパチ。


 『コノジケン ハ ノロワレテイル
 モウ ニゲラレナイ』


なんて言葉を残して絶命するコロシヤ2号であるが、
上等じゃねえか、かかってこいコノヤローである。

そして再び街へ潜るシロヤブ――

*** *** ***

シロヤブが配達屋の潜伏ルートとして目をつけ、
やってきたのは、とある工事現場。
そこにいたサングラスにちょび髭の、
フレディ・マーキュリー似の警備員に話を聞くと、
この現場には不思議と車がまったく通らないらしい。
工事開始から4時間が経とうかというのにだ・・・。
工事は水道工事・・・ということは下水道か・・・。
臭い、いや確かに臭いが、それとは別の意味で、怪しい。
加えてこの警備員、工事の担当者とは
いっさい顔をあわせていないという。
派遣されてやってきたら、現場には誰もいなかったと。
しかもだ、ここは車だけでなく、人も通っていないらしい。

話を聞くうちに、適当に相槌を打っていたことが仇になり、
説教され始めるシロヤブであるが、
あろうことか、途中でうざったくなり、この警備員を処分
なんてことすんだよー。
一般人だったらどうすんだよー。

・・・・・・。

そして下水道に降りていくシロヤブ。
そこで先の暗がりに見つける緑の光り・・・。
配達屋のヘルメットの放つ光である。3つ。
こんな見つかりやすい光、
さっさと改善すりゃいいじゃん地調さん、
って思うプレイヤーに、シロヤブが一応の説明をする。
どこの開発者にもこだわりがあるから、
あの緑の光にもそれなりの意味があると。
だからいつまでたっても改善されないんだと。
なるほど。


 『しかし現実は その致命的欠陥によって
 尊い命が霧霞のごとく消えてゆく』



というわけだ。
そして手早く2つの光を消すシロヤブ。
要するに処分。
最後の1人に、


 『居場所 バレバレだよ!』


なんて声をかけちゃうシロヤブ。
そして彼は衝撃発言をする――


 『俺は凶犯課だから
 聞いたことあるでしょ?
 凶悪犯罪課って
 かなりヤバイ部署って講義受けたでしょ?
 その講義とかって
 多分 元凶犯課の人間が講師だったよね』



だって!!
元凶犯課の人間が地調にいるってこと?
なんでそれをシロヤブは知ってるんだ?
彼は「潜水夫」さえ知らなかったのに、
いつどこで「地調」を知り、
そこに「元凶犯課」の人間がいることを知ったのだ?
腑に落ちない。しかし話は進む
(そしてここでは、その地調にいると思われる、
元凶犯課は誰なのかという問いは保留)。


最後の1人の首根っこをガッとつかみ、
いっちょまえに説教を垂れるシロヤブ、


 『命で商売してんやから
 命は売ったも同然や
 自分の命に値打ちはないんじゃ!』



と、またも似非関西弁でのたまう。
そこで配達屋が、シロヤブの名前を口にする。
オマエがシロヤブか、と。
まあプレイヤー側からすればね、配達屋(=地調)が
シロヤブの名前を知っているのは当然で、
いまさら驚くには値しないが、シロヤブ自身はちょい驚く。
ここで配達屋が、


 『怖いだろ これが狙われる恐怖だ』


という言葉を口にする。
ちょっと混同しないように整理するが、
「狙っている」というと、
この段階でシロヤブは、確かにコロシヤに狙われている。
がしかし、これが地調の差し金なのかは
現段階では不明である。
であるからして、ここで配達屋の言う
シロヤブを「狙っている」のが、
果たしてコロシヤのことを指しているかどうかも、
また不明である。可能性としては「アリ」だが。
コロシヤは地調ではない別の組織の差し金で、
他方、地調は地調で、また別にシロヤブを狙っている、
そんな可能性もあるのだ。
それを忘れてはいけない。

配達屋は、


 『何人使ってでも (シロヤブの)首は殺る』


という。これを考慮すると、
コロシヤが7人止まりであることから、
やはりコロシヤは地調とは切り離して
考えるべきなのかもしれない。
けれどその一方で、
コロシヤと地調を切り離して考えると、
地調側からシロヤブへのコンタクトは
ここまでで一切「ない」ことになってしまう。
つまり、シロヤブが地調から
狙われていることを示すような描写は、
おそらくここまでで行われていないことになる。
それはちょっとおかしくないか?
何人使ってでも首は獲る、と言っているのにだ、
まったくその気配がないことになってしまう。
物語の展開上、そういった描写をする余裕が
ないだけかもしれないが、なんだか矛盾しやしないか。
しかししかし、このシロヤブに首をつかまれた配達屋が、


 『配達屋をナメるな
 そっちと違って 人材は豊富だ』



と言っていることを考えると、
「コロシヤ」ではなく「配達屋」という言葉を使い、
また「人材は豊富」であると言うあたり、
やはり「コロシヤ」と「地調(もしくは配達屋)」は
離して考えるべきであるのかもしれない
(ダラダラ長くてゴメンナサイね)。

最後の最後に、配達屋が気になることを言う。
後々の展開を見るとね、この言葉は気に掛かる。


 『お前の顔は犯罪者の顔だ
 もう 戻れねーよ
 一緒だ やってることは・・・
 所詮 捨て駒 同じ人種だ シロヤブ
 お前とオレは』



もちろんシロヤブはそんな言葉は受け入れない。
彼はもう完全にクルミザワを地調側の人間だと思っているようで、
この配達屋をクルミザワへの「伝書鳩」に使う。
と言っても、何をどうしたのかは
描写がないんでよく分からないんだけど、
銃声が何発も響くあたり、この配達屋に対して、
よほど酷い殺り方をしたのだろうか。
そしてその凄惨さで以ってクルミザワへの
アピールとするつもりなのだろうか。
早く出てこいや!とでもいうような。
だったらこの配達屋に色々訊けばいいのにね(笑)。
だいたいね、クルミザワが死体の投下や放置を行って、
自身の存在をアピールしているとしても、
その意図がまったく謎じゃないですか。この時点では。
それなのにそれをある種の「挑発」というか、
「俺は生きてるぜ、捕まえられないの?」とでもいうような、
そんなメッセージだと解釈している節が、シロヤブにはある。
クルミザワを地調の人間だと考えるのであれば、
非公式な、隠密な部署の人間が、そんな目立つ方法で以って、
わざわざ自分をアピールするかどうかを、まず考えねばいけないだろう。
もっと深い意図を、考えてしかるべきだ・・・。

*** *** ***

BANK刀葉林にて。
3度の現金引出しに挑むシロヤブ。

 『うほっ!』

けれど案の定、カードは通らない。
ピーッというエラー音が鳴り響く。
さすがにシロヤブも落ち着いたもんで、
冷静に次のコロシヤの登場を待つ――。

そしてコロシヤ3号登場。
襟の立ったコートを着た、
右手にナイフを持った長身の男である。
24区の方からやってきた(!)、
名前は「ジブリン」だと自己紹介するコロシヤ・・・。
・・・・・・。
ジブリン?
知らないな。聞いたことないが、
名前を出す辺り、もしかして他のGHM作品に
出ていたりするのだろうか?
・・・・・・。
まあいいよ。

ここでシロヤブは、向こう(コロシヤ側)の
駒数がかなり少ないことを言い当てる。
ズバリ全部で7人だと、言い当てる。
スゴイ読みだ。さすが凶犯課。
3番手にジブリンが来てるあたりからして、
そして彼がナイフ使いであるあたりからして、
そのくらいが妥当な線ということになるようだ
(凶犯課のファイルにはジブリンの
本名も出てるんだとさ)。

弱い、と言われてご立腹のジブリンだが、
実際彼は、たいしたことなくて、
シロヤブのフィニッシュブローである――

 『イワクニフジカワリュウサツリクオウギ
 セイケン チョメチョメ ハ』


で、内臓破裂。あっけなく撃沈。
このジブリン、最後の願いとして、
別れた妻と子供にあるものを渡して欲しいといって、
懐(ふところ)に手を入れるんだけど、
凶犯課の人間であるシロヤブは、
つい習性で、条件反射で、ジブリンに発砲。
ああ涙・・・。ジブリンぐったり。もうダメだ。
彼の手に握られた封筒を開けてみると、
そこには山林の登記書が。
相当な値打ちであることがわかる――


 『ジャブロー ハ 
 マヨウコトナク パクッタ』



シロヤブ、再び街へ・・・。

*** *** ***

凶犯課。
ハトバとクロヤナギが
ブラインドの向こうで話をしている。
どうやら話の中心はジャブローのこと。
ジャブローことシロヤブの置かれている
現在の状況を、2人とも分かっているようだ。
すなわち、コロシヤに狙われているという状況・・・。

それでも、シロヤブは放っておくと、ハトバの考え。
クロヤナギは心配するかと思いきや、
まったくそんな様子はない。


 『アイツは数回死んだほうがいいかも』


なんて言いやがる。
ハトバは、「ちょっと冷たいんじゃないか」なんて、
クロヤナギに言うけれど、
どうやらクロさんは、シロヤブの器を計りたい様子。
これで死ぬようならそれまでと・・・。
まあ厳しいっちゃ相当に厳しいが、
これが凶犯課のやり方なのだろうし、
これも愛といえば愛である。
そしてナンダカンダで、ハトバもそれに同調、
「格好の相手だ」、とかなんとか言って、
シロヤブがどうなるかを、楽しみにしているみたい。
つーか誰が相手か分かってんのか?


 『手練手管の潜水夫が
 ジャブロー暗殺に動いている』



とはハトバの言葉だが、
この「潜水夫」は「コロシヤ」とは違うと思う。
だってジブリンは24区から来たわけだし・・・。
24区には潜水夫は・・・いない・・・でしょう?
とすると、描写はされていないが、
潜水夫(たち)が、ジャブロー暗殺に
乗り出していることになる。
しかも細かいこというと、「暗殺」だからね、
コロシヤは真っ向からシロヤブにぶち当たってきているし、
あれは「暗殺」とは言えないと思う。

「暗殺」という言葉を聞いて、
ギャラ次第では自分が殺ってやるのになどと
言い出すクロヤナギ。おいおい。
さすがにハトバもこれには釘を刺すが、
でも2人の話からして、
クロヤナギはこれまでにも、
外部から依頼されて、
そういう仕事をいくつか、
こなしてきたようである。
いわゆる「殺し」。すなわち処分。

ハトバに「外」に出たいと言い出すクロヤナギ。


 『外に出ないと
 クルミザワの件は終わりません
 外と繋がってますわ この事件は』



と言う彼女だが・・・なぜそんなことが分かる?
どこまで読めているんだコノ人は? スゲーなおい。
ちなみに「外」というのは、
ここでは24区のことを指しているのだろう。

ここで、今いったい何が起きているのか、
その一端をハトバとクロさんが推理してくれる。


ハトバ:
 『カミジョウが消され
 クルミザワは身元を消した
 一連に流れるのは隠蔽だ
 何を隠している?』



クロヤナギ:
 『潜水夫が邪魔
 だから壊す
 ヤバイモノを見たってこと?』



ハトバ:
 『奴らが潜った現場で見た光景か・・・』


クロヤナギ:
 『外ってこともありますよ』


なるほど、それで外(24区)へ、か。
と言いたいところだが、
何を言わんとしているか、まったく分からん!
悲しいほどに煙に巻かれたこの感じぃ。
スダ・ゴウイチ作品特有の感じである。
しかもコノ段階で、「カミジョウが消された」
という表現をするのはなぜだ?
彼については「自殺した」もしくは「逃げた」
という表現が相応しいはずだ。
確かに、自殺したにしろ逃げたにしろ、
それは「消えた」という比喩も可能だ。
そしてそれ(自殺or逃走)の裏に
地調が何らかの形で関与しているならば、
確かに「消された」という表現も使えなくはないが・・・。
なんかシックリこんなー。
もうちょっと後にならないと、
上記の会話が何を示しているのか、
推測することさえできないように思える。
コノ件に関する情報量が少なすぎるので・・・。
だが待てよ・・・。
クルミザワが身元を消したのは、
誰の目を欺くためのものだったのだ?
そうだ、死を偽装したのであれば、
そこには必ず目的があったはずだ。
たとえば逃走。
自分を死んだことにして、
どこにも存在しない人間になって、
追っ手の目を欺いて、逃げる。
これはカミジョウが取った行動だ。
とすればクルミザワは?
逃げていない。むしろアピールしている。
しかもかなり回りくどい方法で。
なぜ偽装した。偽装の目的が見えてこない。
んー・・・・・・。
?@※△×*□$#&?
また、後で考えるか・・・。

*** *** ***

ケルベロス信用金庫にて。
四度目の現金引出しに挑むシロヤブ。


 『どりゃ!』


しかしやはり引き出せない。
エラー音が鳴り響く。
・・・・・・。

そして、4人目のコロシヤ登場。
女である。
色白ショートカット(?)の美人である。
前回の戦いを終えた後、
「ムラムラ」していたジャブローには
ある意味で、非常に「ヤバイ」相手だ。


 『最近 ドMに人気で忙しいの』


というコロシヤ4号。
対してシロヤブは、


 『悪い 俺ドSなんだよね
 女でも関係ないよ』



と返す。ウハハ。
ヤバイ。
コロシヤ4号は、飢えたジャブローの敵ではない。
何をされても通用しないし、
何かすれば相手はすぐに戦意喪失。
そして発情したジャブローは、
(おそらく)鬼畜の所業で、コロシヤ4号をノックアウト。
ある意味で勝利。
というわけで、


 『ジャブロー ハ サッパリシタカオデ
 イキテイルジッカンヲ カミシメタ』



そして彼は、また街へ入っていく――

*** *** ***

アキヒコ横町。
古びたコンクリートの壁際に
自動販売機が並ぶ。
ゴミ箱を中心にして、
その両側に3台ずつ、だろうか。
そこでジャブローは、
「イシさん」なる人物を大声で呼ぶ。
「今日のオススメ」とかなんとか、
そんなようなことを訊いている。
いったい何のことだろう。
「マンゴコーラ」、という言葉は、
イシさんなる人物から返ってきた返事なのか、
ガタンガタンと音がして、
おそらくはそのマンゴコーラが
自販機の取り出し口に現れる。
それを飲んで美味い!と感嘆するシロヤブ。


 『ダンナ 毎度』


と、イシさんことイシヅカが現われる。
ゴミ箱の後ろからヒョイと。
頭の禿げ上がったオッサンである。

一見新種の飲料のバイヤーかと思いきや、
彼はそうではない、情報屋なのである。
シロヤブとの会話から、
彼らは情報をカテゴリ化して、それぞれを
飲料の品種名で呼んでいるような、
つまり飲料名を暗号として使用しているような、
そんな節もあるが、その辺は定かではない・・・。


 『最近 ソーダ類はどう?』


とシロヤブが訊く。
新種のソーダは何か美味いものが
出ているのかい?ってな質問に思えるが、
さにあらず。
ソーダの情報は危険だと言って、イシヅカは言い渋る。
つまり「ソーダ」というのは、
何か特定のカテゴリについての
情報を意味しているのだろう。

色をつけるよ、とシロヤブが言うと、
イシさんは何色か、と尋ねる。
面白いやり取りだ。
普通「色をつける」といわれて、
「何色か?」って訊くだろうか?
シロヤブがつける色はモスグリーン。
これがどうやら破格の値段を意味しているようで、
イシヅカは色めき立つ。
ジャブローは金がないはずなのに、
いったいどうしたんだろう、なんて思うけれど、
忘れてはいけない、彼はコロシヤ3号の手から
山林の登記書をパクっているではないか。
その「金」が、
ここでイシさんに渡っているのかもしれない。

そしてイシヅカの口からは、


 『7種類のソーダが動いているッス』


という情報が。
7・・・といえば、コロシヤのことか?
「ソーダ類」は「コロシヤの類」を指しているのか?


 『同じ仕事っぽいスね』


とイシヅカ。
それはつまりアレだろう?
ジャブロー抹殺。

シロヤブがその「ソーダ」の
「メーカー」を尋ねると(これも面白い訊き方だ)、
イシヅカの口からは、
「オキアイ組」という言葉が出てくる。

・・・オキアイ組・・・聞いたことは・・・ない。

どうやら極道一家らしいが、
25区の発足時に組自体はすでに解散、
その際に政府から金をガッポリもらったらしい。
つまり政府に金をもらって、
解散を促されたというわけか。
しかしその解散は建前・・・。
「オキアイ組」という看板は残っている。
とすれば・・・?


 『郵事連と繋がってんのか?』


そう、シロヤブと同じ疑問が出る。
がしかし、この「オキアイ組」、
形式上は独立行政法人であり、
政府の関与は「ほとんどない」ことになっているが、
そもそも「組」自体の実態が、ない。
つまり、組と政府の関係は、不透明
(※“はてな”で「独立行政法人」を見てみると、
「独立といってもまったく政府が関与しないわけではなく
主務大臣による中期計画の承認や
担当部署による評価を受けなければいけない」
とあるので、やはり政府は絡んでいると思う。
どこかの省庁がね・・・)。
現在は、解散時に発生した残党が、
組の再建を虎視眈々と狙っている、
という状況らしいが・・・よく分からないな・・・。
政府から金をもらって解散しておきながら、
それでも再建を狙っているというのが、
なんとも・・・極道らしいやり口だ。
上手くいけば金を丸もうけできる。
政府と対立関係になるのかもしれないが。
いや、ハッキリそうとは言えないが。

シロヤブは自分たち凶犯課と
オキアイ組の境遇を重ねているようであるが、
凶犯課はそんな立ち位置なのだろうか。
決して僕はそんなことはないと思うが。
そんなに気にする言葉ではないのかな。

話を打ち切ろうとするイシヅカに、
シロヤブは、それら「ソーダ類」の
矛先はどこなのかを訊いてしまう。
ってかまだ分からんのか。シロヤブくん。
言いづらそうにするイシヅカを見て、
ようやく気づくジャブローである――


 『ひょっとして・・・俺?』


遅い!
コロシヤが7人いるって読んでおきながら、
なんで「7種類のソーダ」の狙いがどこだか
分からないのか、まったくもって謎。
いや、あるいは、このアキヒコ横町の来訪が、
コロシヤ1号との遭遇前だったら、
話は分からないでもない。ウンだったら、分かる。
単独捜査開始直後、だとしたらね、ありうるありうる
(でも、もしそうだとしたら、ジブリンとの会話で、
コロシヤの駒数を7人だと言い当てたのは、
あんまりスゴイことではなくなってしまうね。
そしてジブリンからパクった登記書を元にした
金で以ってイシヅカに情報量を払ったのではないか、
との考えもなくなってしまうね。
あるいはここで金を払ったが故に、シロヤブは
金がなくなって、銀行へ行くのかもしれないね。
そしてコロシヤ1号と遭遇するのかも。
だけどそれだと、「無駄金使ったった」という
言葉が、状況と合致しないよね。情報屋に払った金は
「無駄金」ではないだろうし)。
そしてまたあるいはね、この7種類のソーダがだよ、
コロシヤのことではない、って考えもある。
ある、が、ちょっとそれだと話が複雑すぎねーか。
だからここでは、7種類のソーダは、
コロシヤのことだと考えてみる。みようじゃないか。
辻褄があわなくなったら、また修正する。

で、(ようやく)気づいたシロヤブに、イシヅカは言う、


 『そうッス ダンナッス
 7人の刺客が・・・狙ってます
 ダンナ・・・ヤバイの 触りました?』



そしてシロヤブは、イシヅカにある頼み事をする。
「クルミザワ」という名前に引っかかったら、
連絡を入れて欲しいと。
そうだ、ソーダの話でスッカリ忘れていたけれど、
シロヤブは、クルミザワを追っているのだった。
とするとだよ、
クルミザワとコロシヤの関係がわからない。
そして、もうひとつ分からないことがある。
コロシヤがオキアイ組の放ったものだとすると、
なぜオキアイ組がシロヤブを狙うのかが謎である。
オキアイ組が地調と絡んでいると考えるならば、
その地調がオキアイ組を使って、
シロヤブ抹殺を目論んでいる、ってな考えもできるが、
後の展開を見ると、
どうも地調とオキアイ組は別個である。
とするとだ、考えは振り出しだ。
オキアイ組の狙いは何だ? なぜシロヤブを?
そして「クルミザワ」の立ち位置は??
彼が地調の人間だとすると、
彼とコロシヤが絡んでいるということも、
おそらく「ない」ことになる。
なぜなら、繰り返しになるが、
地調とオキアイ組は別モノらしいから。
・・・・・・。
なんだ、コノ段階では分からんことだらけだ。
そしてテキストはどんどん長くなる・・・。

去ろうとするシロヤブに、イシヅカが言う、
今回の「新商品」でハズレがあると・・・。
その商品名は――


 『モンブラン・ラテ』


これが果たして何かの暗号なのか、
それとも、その商品自体に絡んだ「何か」を
指しているのかは、謎であるが、
「モンブラン」という言葉に、
何か閃きはしないだろうか。

そう、地調の新人職員、オオサトである。

彼は甘いものが好きであり、
モンブランの食い方で、上司のツキを苛つかせたり、
あるいは、そのツキに、
モンブランを奢ってもらったりしている。
これだけ「モンブラン」と
オオサトを関連づけておきながら、
この「モンブラン・ラテ」がオオサトと関係ない、
ということは、おそらくないだろう。
きっと、何かの形で、絡んでくる。
それがどういった形かは謎であるが、
イシヅカが、


 『これ 最悪ッスよ』


と言う辺り、かなりヤバイのだろう。
楽しみだ。どうなるのかね。

そしてシロヤブはその場を去る――

*** *** ***

ところ変わって、カントウ**銀行。
5度目の現金引出しに挑むシロヤブ。


 『ウキッ!』


コロシヤの到来を予感し、
だんだん楽しくなってくるシロヤブ。
そう、彼は、戦いを楽しみ始めている。
それが何を意味するのかは分からないが。
配達屋の言ったことは、当っているのかもしれない。
そして、この連続的な、執拗なコロシヤの到来。
そこにある意図は・・・果たして・・・。

現われたのは丸いサングラスをかけた、
陰気そうな、けれどよく喋る男である。
配達屋を200人殺った」というシロヤブを
どんな男かと楽しみにしていたコロシヤ5号だが、
一目見て、ガッカリした様子だ。
おっと忘れちゃいけない。
僕はコロシヤと地調を切り離して考えていたが、
それならば、なぜこのコロシヤは
「配達屋」に言及するのだろうか?
ただの気まぐれ・・・「200」という驚異的な数字が、
彼にそうさせているのだろうか。
しかし、このコロシヤ5号は、
「配達屋」を「配達の人」と呼んでいるし、
「アイツら 甘いからな」と、どこか第三者的な目線である。
やはり、地調とコロシヤは
別モノと考えてもいいだろうと思う。

戦いにワクワクしているシロヤブに、


 『殺しでワクワクする奴は 死ぬ奴だ』


と助言するコロシヤ5号。
しかし、彼にとって不運なことに、
この一言でシロヤブは「勉強」しちゃうのである。

冷静になったジャブローは目を閉じ、
コロシヤの攻撃を、紙一重でかわす。
しかし決して、ギリギリというニュアンスではない。
必要最小限の動きしかしていないのだ、ジャブローは。
そして目を開けたジャブローは、
コロシヤを素早く「カル(狩る)」。
相手に動きさえ感じさせずに。

「敵に塩を送った」コロシヤが愚かだった、
というわけだ。シロヤブの圧勝である。

そしてシロヤブはドンドン洗練され、
血に染まっていく・・・。

*** *** ***

次にシロヤブがやってきたのは、
エビルダイバー大学病院。
受付に赤い大きな花が飾られている。
白とクリーム色の壁。
たとえば廃墟の病院とか、
そういう感じではない。
ちゃんと機能している病院だ。

白ヤブは3B特別病棟18階を目指す。
誰に会いに来たのだろう。


 『師匠にとって ここは
 安住の地なのか・・・そうは思いたくない』



師匠?
シロヤブにそんな存在がいるのか?
誰だ。いやどんな人だろう。

と思って会いに行って、
ビックリした人はかなりいるだろう。
だってベッドに寝ているのは、
さまざまなチューブや器具を身体につけて、
横たわっているのは、
ムナカタ」なんだもの。

何の説明もないけれど、
おそらくこのムナカタは、
前作に登場したムナカタ・リュウ。
デスファイリング捜査官であり、
また影ではTROという組織の長官も勤めていた。
凶犯課のクサビとは、
よくハラキリバッティングセンターで
話(ときには密談)をしていた。
その彼が、なぜこんな姿に?
前作では特に怪我を負った様子はなかったが。
あれから何かあったのかもしれない。
病気? あるいは事故? もしや事件?
そしてシロヤブは、いつこのムナカタを
師匠としたのだろうか。
何も分からないが、とにかく
少しずつ、今25区で起きていることと、
24区が、繋がり始めているようである。

シロヤブはクルミザワのことを
ムナカタに尋ねるが、彼は何も応えない。


 『これ以上は 何も力になれん』


とムナカタが云う辺り、彼はこれまでにも、
シロヤブに何か情報を与えてきたのかもしれない。
情報、あるいは助言、だろうか。
そんなふうにも考えられる。
シロヤブは、クルミザワが
「カムイに関係ある」と確信しているようだが・・・、
プレイヤーには、まだそこまでの確信はない。
何がどうなっているのか、そこが分からないのだから。
ムナカタは「カムイは人の雑念だ」と云い、
シロヤブは「カムイは実在する」と云う。
また、「都市伝説としてまとめるには限界がある」
とも、シロヤブは云う。
その言い方からして、少なくとも25区においては、
「カムイ」なる人物はおそらく観測されていない。
まだ実態の分からない未確認動物のようなもの、
なのかもしれない。
対して24区においては、
(少なくとも)「カムイ」という名を持つ
人物が、幾度か登場したし、暗躍していた。
ただそれを「カムイ」と呼べるかどうか、
というところで、意見が分かれるのかもしれないが・・・。

24区で「あの事件」に関わったムナカタが、
なぜ「カムイ」の存在を否定するのか、
それは分からないが、あるいは関わったからこそ、
否定しているのかもしれないし、
またあるいは、「ポスト・カムイ」など
カムイではないと考えているのかもしれない。
かの「シルバー事件」で、
最初に24区の長老たちに殺害された「カムイ」しか、
「カムイ」ではないと考えているのかもしれない
(まあコノ話は前作の最後で得られた「情報」でしかなく
これが真実であるかどうかも、また分からないのだが)。
そしてまたあるいは、まだ僕らの知らない
情報をムナカタが握っているのかも知れず、
それに基づいて彼は発言をしているのかもしれない。
とにかく、謎。フハハ。

会話からするに、どうやらシロヤブは、
デスファイリングをムナカタから学んだようだ。
で、デスファイリングって何?
という人にはghmのHP内「シルバー事件」のページにね、
説明書きがされている。Q&Aのコーナーにね。
プロファイリングの進化した形態、
であるそうだ。よく分からないぞ!!
「シルバー事件」、つまり「1999年」の時点では、
サンプル数が少ないので仕事的にはすごくヒマ、
と書いてあるが、今はサンプル増えたんだろうか。

そんなデスファイリングを「封印しろ」と、
ムナカタはシロヤブに言う。
「いずれ消失する運命」だって。
アレだ、後継者がいないのか。
それとも結局サンプル数が少ないのか。
けれどシロヤブはお師匠の言葉を受けいれず、
それを拒む。


 『まだ消しません
 むしろ 正義の力とします』



だって。難しい言い方だな。
ムナカタは、


 『危険だ』


と云うが、何が危険なのだ。
デスファイリングに頼ることがか?
何かミスを犯すということか。
あるいはデスファイリング自体が危険なのか。
それはないか。ひとつの捜査形態だものな。

無駄足だったかと、
去ろうとするシロヤブに、
お師匠から最後の手助けが。
渡されたのは1枚のメモ(勝手に想像)。


 『ここに行け
 そして 二度とここには来るな』



と言うムナカタ。
そんなムナカタに対し、
シロヤブは去り際に、


 『・・・・・・
 憐れな人だ』



なんて言ってしまうけれど、
助けてもらっておいて、それはないだろう・・・。
闘う意思がないことを、そう云っているのだろうか。
「カムイはいない」、
「クルミザワも知らない」、
なんて言っておきながら、
「ほーらこんなメモを渡せるじゃないか」、
ってことかい?
びびってんじゃねーよ師匠」って感じ?
でも俺はムナカタ好きだからね、
悪く言わないで欲しいね。

*** *** ***

ところ変わって、
奈落底バンク(たぶん)。
6度目の現金引き出しに挑むシロヤブ。


 『アタッ!』


とブルース・リーばりに決めてみるも
(“ケンシロウばり”でも可)、
やはりカードは入らない。

もうさっそく、6人目の登場である。
無言のコロシヤ6号。
サングラスに、耳あて付きの帽子だろうか、
それとも、マッシュルームカットなのだろうか、
頭の上半分が、キレイに黒色である。
無言のまま戦闘突入。

弱い犬ほどよく吼える、とはよく言ったもので、
このコロシヤ6号には、一番苦戦すると思う。
まあ、本気出せば、楽勝だけどね。
一番負ける人が多いんじゃないかな。

コイツに勝利すると、
ジャブローの経験値・スキルがMAXに到達する。
そして彼は、


 『ココロニイバラヲモツ』


この表現。
前作のサントラに書かれた一文を思い出す。
物語の冒頭に出る、銃を持った少年。
それは華山リョウという男なのだが、
そして辿り辿れば、彼はスダさんの作品である
『ムーンライトシンドローム』にも登場しているのだが、
サントラで彼について言及している一文に、

 『カムイの亡霊は雛代団地の心に茨を持つ少年・
 華山リョウの姿を借りて現代の24区に再生する』


とある。
ううむ。
彼が心に茨を持っていて・・・
そのためにカムイに呼応したとすると・・・、
シロヤブもまた・・・?

*** *** ***

携帯SHOPエマにやってきたシロヤブ。
どうやらムナカタに教えられたのは、
この店のようである。違うかもしれないけど。
ここに何があるにしろ、
ムナカタは今回の事件にどこまで
関わっているのだろう?
どこまで知っているのだろう?
また、知っているのなら、
なぜそれを隠すのだろう?
「憐れな人」、だからか・・・?

なんとこの店、
「メイド携帯ショップ」だと!!
なんだそれ。


 『ポイントを貯めれば 番号GET!
 メイドとの通話料1分500円・・・』



なんだそれ。

中に入れば、
メイド姿の店員が、メイドな言葉で、
どちらの「キャリア」がお好みかと
訊いてくる。メイドな態度。
恥ずかしがるシロヤブを放って
1人で突っ走るメイド店員だが、
彼女は、相手がシロヤブだけに、
というわけではないだろうが、
シロ電話を勧めてくる。


 『こちらで着信をお待ち下さい』


と言われるが、何か変だ・・・。
普通、携帯を売るんだろ?
着信を待て、とは・・・?


 『クルミザワの使いの者です』


だと!!
どういうことだ。
なんでムナカタの教えてくれた場所に、
クルミザワの使いがいるのだ。
2人はどう関わっているのだ。
謎。
メイドに訊いても何も教えてくれない。
言ったら消されるんだと。まあそうか。

とにかく携帯を持って店を出るシロヤブ。
ほんと冷静に考えると、
この辺りは、だいぶ変なセンスなんだけど、
それでも普通に受け取れてしまうのは、
なぜなんだろう。恐るべしghm。

*** *** ***

ところ変わって、
死天山ホールディングス・・・。
また金の引き出しか・・・。
シロヤブは、


 『・・・・・・・・・・・・』


もはや無言である。
カードを入れる間もなく、
コロシヤ7号が現われる。
目だし帽をかぶった、
片言のコロシヤ。異国の人だろうか。

なんか占い好きのコロシヤのようで、
シロヤブに、


 『オマエ ミカタニ コロサレル』


とか言ってくるが、当るのかコレ?
味方って誰だ? クロさん?
ズバリ言ってしまうと、


 『アイスル ヒトニ コロサレル』


らしいけれど、誰だよそれ?
しかしシロヤブは――


 『愛する人?
 もう死んだよ』



と返す・・・。
嘘か誠か。
誠であれば、シロヤブの纏った悲しみは、
その辺から、きているのかもしれない。

この7号、最後のくせに大したことない。
いやシロヤブが強くなったのか。
「デスファイリング」を使って、
一撃で倒すという、わけの分からない展開だが、
とにかく、あっという間に勝利である。
だいたいデスファイリングって、
捜査方法の1形態なのに、どうやってそれで
コロシヤを倒すんだよ(笑)。
何か隠された技があるのか。
それともシロヤブが、デスファイリング捜査官の
末裔であることから、そういった言葉を比喩的に
使っているだけなのか。
とにかく「デスファイリング」の力で、
勝利である。
あ! あれかなあ、
これまでの戦闘から、コロシヤの行動パターンを
デスファイリング(≒プロファイリング)して、
見きって、そんでもって、相手に手も出させずに
勝利できたっていう、そんな寸法かなぁ。

そして――
この戦いの後、ついにシロヤブ「覚醒」である。
なんと、スキンヘッドになってしまう。
まあ・・・別に「覚醒」を
画的に表現しているだけかもしれないし、
あるいは「デスファイリング」の最終奥義が
「ヅラ」を使った攻撃なのかもしれないし(嫌だそんなの)、
度重なる戦闘が、彼の身体に与えた影響が、
毛髪の抜け落ちだったのかもしれないし、
考え方はいくらもある。
大事なのは、「覚醒」という言葉である。
「覚醒」といえば、この作品では、
たいてい「カムイ」化すること、
もしくはそれと深い関係がある。
犯罪力、もしくは処分力、調整力といった、
殺傷に繋がる能力の爆発的増大、
と言っても、いいかもしれない。

つまり、シロヤブは、
度重なる戦闘で、そんな能力が
マックスになったのである。

そんなタイミングを見計らったかのように、
ジャブローのシロ電話が鳴る・・・!

ついにクルミザワからのコンタクトである。


 『期待以上だ シロヤブくん』


とはクルミザワの第一声だが、
どういうことだ?
こうなることを、
シロヤブが覚醒することを、期待していたのか?
ということは、
ずっとシロヤブをどこからか観察していた?
じゃあコロシヤを放ったのはクルミザワ?
シロヤブを「覚醒」させるために?
するとクルミザワもオキアイ組?
いや違う・・・ここまで、
クルミザワは地調の人間だという前提で来た。
だとしたら、彼はオキアイ組ではないし、
すなわちコロシヤとも、おそらく関係ない・・・?
ということは、この「期待以上」という言葉は?
オキアイ組の放ったコロシヤをエサにして、
シロヤブの覚醒を狙っていた、ということだろうか。
そして前に、オキアイ組がコロシヤを放つ理由、
それが分からないと書いたけれど、
それもまた、「シロヤブ覚醒」にあるのかもしれない。
あるいは、もちろん「シロヤブ抹殺」
でもいいのかもしれない。
「覚醒」したら儲けもんで、
しないで死んだら、別にそれはそれでOKみたいな。

そう、だからコロシヤ派遣の裏には、
「シロヤブ抹殺」以外にも、
「シロヤブ覚醒」という狙いが
あったのではないかと、そう考えることもできる。
ただし、シロヤブを覚醒させることに、
いったいどんな意味があるのか、は謎である。
そうだ、「覚醒」といえば、コウサカも、
Aの「覚醒」を狙っていたはずである。
特務捜査官の。
そして、あと1人、
「覚醒」に関係ありそうな人物がいる。
地調のオオサトである。
出自に重大な秘密があるという彼。
まだ何も分からないが、彼も
「覚醒」要員であるのかもしれない。
と、考えれば、特捜部隊、凶犯課、地調という
主要な3組織に、それぞれ「覚醒」に関係ありそうな
人物がいるという構図になる。
まあ・・・その先の話は分からないけれど・・・。

さて、クルミザワは接触場所を
メールで指定、
ついにシロヤブと顔を合わせることになる。

*** *** ***

オルタナバッティングセンター。

ついにシロヤブの前に
現われたクルミザワは、会社員みたいだ。
スーツ。整った髪。知的な顔立ち。
何か、想像していたのとは違う。
知能犯? 切れ者? そんな男に見える。

シロヤブと話をしたがるクルミザワ。
いったい何を話そうというのか。
対してシロヤブは、
今にもクルミザワを処分しようかという、
そんな勢いである。


シロヤブ:
 『決着つけようか?』


クルミザワ:
 『遠慮したいな』


というやり取りの後に、
画面は暗転。
銃声とも、殴り合いの音とも取れる、
衝撃音が鳴り響く。
果たしてこれは・・・?
そしてクルミザワの狙いとは・・・?
シロヤブはどうなる・・・?
謎。

*** *** ***

25区某所の桟橋。
再びハトバとコウサカが、いる。
しかし――

ハトバがコウサカに銃口を向けている!!

前作で、ナカテガワが
ムナカタに銃口を向けていた光景を思い出す・・・。

クルミザワの正体を尋ねるハトバ。
知らないと言うコウサカ。
ハトバはどうやら、裏切られたと、
確信しているようだ。
“コウサカはコノ件に絡んでいる”


 『勝手に信じられても 困りますね』


とコウサカ。かなり挑戦的だ。
ハトバはだいぶ事件の構造を分かっているようで、
コウサカにグイグイ詰め寄っていく――


 『最初から仕組んだな
 シロヤブとクルミザワを意図的に引き合わせた
 何だ? 何をしてェんだ?
 答えろ!』



まさか・・・コウサカが、クルミザワと関係あるって?
シロヤブとクルミザワを引き合わせた?
なぜだ? なんのためだ?
Aの覚醒のためか? 
だとしたら、どこがどうなれば、そこに繋がるんだ?

コウサカは無関係を仄めかし、
「引き合う運命」とかいう言葉で、
シロヤブとクルミザワの接触を説明する。
あ! ってかなんでハトバは、
クルミザワとシロヤブが接触したって、
分かったのかな? 別にいいんだけど。
そんくらいは分かってしまうものなのかな。
どっからか情報が入ってくるのかしら。
だったら、シロヤブが消えた時だって、
すぐに場所が分かりそうなもんだけど。

コウサカの説明に怒るハトバ。


 『よっぽど殺されたいのかな?』


引き金を握る指に、わずかに力を入れる(想像)。

コウサカは、潜水夫・クルミザワと
凶犯課捜査官・シロヤブが出会うのは
当然のことだという、対立する関係なのだから、
どこかでぶつかっても不思議はないと。
ってかコウサカ、「潜水夫」ってさ、
前からその言葉使ってるんだから、
アンタ「地調を知らない」ってことはないでしょ?

このパートはかなり意味深なので、
書くこと沢山あるんだけど、
ハトバは、「クルミザワが潜水夫である」という
コウサカの説明にも疑問をもつ。
ヤツの記録がまったくない、
生きた形跡がまったくない、と・・・。

潜水夫が身元を消すのは当然だと、
コウサカは説明するが、
ハトバは言う、


 『身元を消した痕跡も
 身元を発行した痕跡もない
 要は この世界で観測されたことのない人間だ』



いよいよヒートアップだ。
この言葉を聞くと、
クルミザワが潜水夫であるということに、
疑問が出てくる。
と同時に、彼クルミザワの正体が
俄然、今までにもまして、気になってくる。
何だ? 誰なのだ奴は・・・。


 『バカバカしい空想には付き合えません』


と突き放すコウサカ。


ハトバ:
 『もうそろそろ
 はっきりさせようぜ ミチルよ
 オマエはマッチメイカーだ』



コウサカ:
 『かったるいですよ
 アナタの話はね
 ちっとも面白くない つまらない』



ハトバ:
 『シロヤブに観測させるつもりで
 クルミザワで誘った
 思惑通りだろ
 気分いいか?
 興行師さんよ』



なんだ? 意味が分からない。
「シロヤブに観測させる」とは?
何を、だ?
クルミザワが、シロヤブに何かを
観測させようとしているということ?
あるいはクルミザワ自身を、
シロヤブに観測させたかった?
今の段階では謎すぎるが、
いずれにしろ、そこにコウサカが絡む理由は?
「マッチメイカー」という言葉は、
シロヤブとクルミザワの接触を
手助けした、という意味だろう。
どういう形でか、は分からないが。
凶犯課と地調の間に立って、
何を目論んでいるのだろう、コウサカ・・・。
すべてのリセット、だろうか。
「日常を殺す」。

口を閉じてくださいという、コウサカ。
先に閉じるのはオマエの口だよ、とハトバ。
ついに、目の前で、火花が散る。
コウサカは正面を見たまま、
誰にともなく、こう呟く――


 『バカが・・・』


銃口を向けられているのに、この余裕。
前作で、銃を向けられたムナカタが
逆に、早抜きでナカテガワを葬ったことを
考えると、ハトバ、やばいんじゃねーのか?
しかし、案の定、場面転換――

*** *** ***

クロヤナギがなんと24区へやってきている。
しかも場所は・・・、
あのハラキリバッティングセンター。
前作でいくつもの密談に使われた場所。
懐かしい。
窓の向こうに見える、オレンジの光は、
夕暮れだろうか。
ささやかなノスタルジア。
と感傷も束の間、
クロヤナギの隣のベンチに座っている人物は――
なんとコダイ・スミオ(!)。
前作の登場人物である。

コダイ・スミオは、元24区の凶犯課捜査官である。
いや今でもか?
前作の途中で明らかになることだが、
彼は耳が聞こえない。
高度な読唇術を使って話しているのだ。
発話のイントネーションも確か苦労の末に、
違和感のないものを習得したはずだ。
警察に入る際にも、あの手この手を使った。
彼は、幼い頃を過ごしたミクモという村で、
ヒセキとキセキという少年とつるんでいた。
ミクモボーイズ。
彼らは、その村に大きな工場を持つ
「ユキムラ」という企業の社長と血筋的に関係のある、
ユキムラ・リルという少女と仲がよかった。
淡い恋心があったに違いない。
そしてミクモ村は公害問題に悩んでいた、
工場の出す有害廃棄物に汚染されていた。
村人は「ユキムラ」を憎悪の対象とし、
悲しいかな、遠縁とはいえ「ユキムラ」の血の流れる
リルもまた、その憎悪の対象となった。
ある日、有害廃棄物の影響で
1種の「錯乱状態」になった村人たちが、
群れをなして、リルの家を襲った。
スミオたち3人はリルをかばったが、
そんな3人もまた、「ユキムラ」側の
人間だとされて、大人たちに捕まった。
そしてそれぞれに、目と耳と口を奪われた。
連れ去られたリルは、
虐待された挙句、帰らぬ人になった・・・。
ミクモボーイズは、すべての元凶である
「ユキムラ」への復讐を決意。
それは前作の「パレード」という話で描かれるが、
最終的に、大人になった彼らは、
巨大企業「ユキムラ」を破滅させる。
ヒセキもキセキも、その道程で死んでしまうが、
スミオは最後、落とし前をつけるためか、
リルを永遠のものとするためか
(初恋よ永遠に、って、青臭いけどロマンやね)、
上司のクサビの見守る中、
ミクモ村を高性能爆弾にて消失させる。
そして、クサビの手によって、逮捕。
泣ける・・・。

というわけで、牢屋に入っているはずの彼だが、
なぜここに出てきているのだろうか・・・?
特別扱いか? ってかクサビはどこいったねん!

スミオは口が悪かった。
上司のクサビにさえ平気で悪態をついていた。
なるほど、クロヤナギと通じるとこがあるな。
そのクロヤナギ、どうやらクルミザワのことを、
スミオに訊きにきたようだ。


 『とぼけないでくださいよ』


というクロさんだが・・・
いきなりスミオは、


 『綺麗になったね・・・』


と来たもんだ。どうも気が多いね、この人は。
前作でもシモヒラ・アヤメに惚れてたし。


 『でもさ・・・臭ーよ その香水!
 気合入れすぎなんだよ 撃ち殺すぞ!』



っていきなり毒を吐くスミオ(笑)。
クロさんの言うとおり、
「相変わらずの口の悪さ」である。
そしてどこかホッとする。
気合入れるクロさんもクロさんだ。
女らしいところもあるじゃないか。
「エスティローダー」という香水名を
「ジェリーローラー」と間違うスミオだが、
読唇術のスキルに翳りが出たか(笑)。

まあ、それは置いておいて、
懐かしさに浸るのもコノくらいにして、
話はクルミザワのことだ。


クロヤナギ:
 『クルミザワの事 聞かせてください』


スミオ:
 『奴は――』


と話し始めたところで、おおっと、
今回の話は、お終いのようです――

GO TO TRANSMITTER・・・

ということで、この話は
コダイ スミオ編の「transmitter」、
その1エピソード“digitalman”へ
持ち越しです。
スミオが何か知っているみたいですね。


#04:???へ続く・・・


2006/07/04
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welcome to my world.