LAST DAYS OF APRIL Home Music Official HP


Title … RAINMAKER
Number
01.the deepest care / 02.somehow / 03.all those kisses / 04.the wedding / 05.this place
06.same old songs / 07.tomorrow / 08.rainmaker / 09.love to trust / 10.last days of april
11.heads or tails / 12.marbles / 13.spoons of gold
※11,12,13曲目は、日本盤ボーナストラック。

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スウェーデン出身、Last Days Of April(LDOA)、彼らの2ndアルバム。当時のメンバーはKarl Larsson(G/Vo)を筆頭に、Andoreas Fornell(Dr)、Daniel Svenfors(B)、Lars Taberman(G)。作詞・作曲はほぼKarlによるもの。LDOAとしては、97年に1stアルバム『LAST DAYS OF APRIL』をリリースしている。本作のオリジナルは1998年リリース。ここで取り上げているのは2004年に出された日本盤(でも何がしかの形で日本盤、たしか以前から出ていたと思うのだけど…)。5thアルバム『イフ・ユー・ルーズ・イット』(04年)発表に伴う初来日でいよいよ日本でも火がつき始め、同年中に待望の再来日、本作はその来日に合わせての記念盤という形だが、やはり人気が出てきたからここらで日本盤を、ということだろうか。なお、日本盤に収録されている最後の3曲は、98年発表のEP「The Wedding」のカップリング曲となっている。

3rdアルバムで初めて彼らの音に触れた僕としては、本作は確かにオドロキをもたらす1枚となっている。なんでかって、まず、カールの歌声がこれ以降とはえらい違う。“甘さ”控え目というか“まろやかさ”が足りないというか、これ以降の彼の歌声をバターを塗ったトーストだとしたら、本作の歌声は、マーガリンを塗ったトーストみたいな感じだ(ウム、書いててよく分らん)。これ以降ではまるで聞かせてくれないような太い声で非常に感情的にシャウトしたりしている。聞けば、当時のカールは19才だというではないか。解説にもあるように、そんな時期特有の焦りや苛立ちが彼の声からはプンプン匂ってくる。そしてそんな彼の声を乗せるリズムは、先走る感情に追いつこうとするかのように落ち着きがなかったりするし、ささくれだったギターの音は、頭の中のとめどない思いをかき消そうとするかのように吹き荒れる。こんなに感情的な音楽をやっていたとはなあ。僕は本作を聴くまで、彼らに対する「エモ」という言葉にどうしても納得できなかったのだが、なるほど本作を聴けば、合点がいく。フラストレーションを代弁するギター主導の音楽に内省的な歌詞、蒼い叫び。

しかしもちろん、これ以降のLDOAと本作を作ったバンドは、まったく別のバンドではないわけで、M-2,3において、ギターサウンドにまぶされているピアノの音色や、M-10の暖かくて甘いメロディは、次作品以降の彼らに繋がるものをしっかり感じさせてくれる。そしてはっきりいえることは、僕が本作で初めてLDOAの音に触れたとしても、今と変わらず彼らを好きになったであろうということ。インディっぽい青臭さは多分に感じられるけれども、その青臭さの中で輝く何かが、心をひきつけて止まない。



Title … ANGEL YOUTH
Number
01.from here to anywhere / 02.aspirins and alcohol / 03.the days i recall being wonderful
04.will the violins be playing? / 05.glowing me choking you / 06.make friends with time
07.two hands and ten fingers / 08.life companion murphy's law / 09.down the aisle(with you)
10.make friend's with time instrumental / 11.chainsaw christmas
※11曲目は、日本盤のみに収録。

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2001年発表の3rdアルバム。作成時のバンドメンバーはKarl、Andreas、Larsの3人(ただしバンド外からは多くのプレイヤーが参加している)。

音の方は、前作とはえらく異なっている。前作が、表面的には「うまくいかない現実に対する焦りや苛立ち」を表現していたなら、今作の音はどこか夢見がちだ。しかし決して現実逃避的ではない。例えるなら、晴れた日の冬の空を吹き抜ける冷たいそよ風、みたいな。気持ちよくて、透明で、爽やかなんだけど、どこか身が引き締まるぞ、みたいな。タイトルの『ANGEL YOUTH』はライナーノーツでは「天使のような思春期」と訳されていますが、う〜ん、まさしくそんな表現が当てはまる音かもしれない。何でもメンバー自身の思春期の思い出が詰まっているそう。

僕がはじめて聴いたのはこの3rdアルバムであり、M-1を聴くといきなりミドルテンポで、もっと活きの良いバンドかと思っていた僕には、チョット意外だった。しかしサビ(?)はグッとくる。声が切ない+甘いせいか――前作からの歌い方の変化も特徴的で、実に丸く、まろやかになった。変に気張ってなくて、でも力強くて、切なくて、少し物憂げで◎です。2曲目から先は、もう珠玉の名曲連打。2曲目の間奏では、かき鳴らされるギターにごく自然な感じでストリングスが絡んできたりして、心はもうわしづかみ。続くM-3はミドルテンポなんですが、もうメロディが絶品。ユラユラした不思議な音のせいか、どこかへ連れ去られてしまいそうです。そう、彼らの歌にはどこか浮世離れした雰囲気があるかもしれません。桃源郷を見せてくれるような。

それから、このアルバムでは先述したように、弦楽器も使われていますし、鍵盤楽器も効果的に使われています。特にM-6。曲が始まった途端、電撃が走った。おそらくはハープシコードと思われる楽器の美しい旋律が単独で響き渡る。びっくりと同時に涙。彼らの曲は、じわりじわりと気持ちを高めていって、サビ(って言うのかな)で爆発!というよりも、いきなりガツーンと極上のメロディをぶつけてくる感じなので、意表を突かれるというか、いい意味で驚かされる。ちなみに、クロスビート2001年5月号でこの作品をレヴューした小林英樹さんは、「無人島レコ一直線」と評しています。要するに、無人島に持っていきたい作品だということです。同感。



Title … ASCEND TO THE STARS
Number
01.angel youth / 02.piano / 03.playerin / 04.too close / 05.when i'm gone, will you?
06.i'm calm now / 07.all will berak / 08.slow down / 09.at your most beautiful

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LDOA、4thアルバム。2002年リリース。現在は日本盤(ボーナストラック収録)も出ていますが、ここで紹介しているのは輸入盤。本国スウェーデンではBAD TASTE RECORDSよりリリースされています。

このアルバム、前作とは一味違った雰囲気が漂っています。前作では緩急おりまぜた巧みなアルバム構成と、グッドメロディの中で哀愁を感じさせつつ桃源郷を見せるというトンでもない楽曲の目白押しでもって疾走している観があったんですが、今回はもっと落ち着いている感じです。曲よりも歌の方を前面に押し出した感じ。

前作では随所で光っていたストリングスも、ここではほとんど耳につきませんし、ギターも控えめな感じがします。といってももちろん効果的に使われてはいますが。特にM-2。この曲はポコポコした音と共に螺旋を思わせる様相で淡々と進んでいくんですが、途中で急にギターと生ドラム(?)が入ってきて、一気に心が螺旋の外へ解き放たれます。また、相変わらずKarlの声がいい。好きですこの声(笑)。M-3なんか、かなりアップテンポなのに、Karlが歌うと不思議に切なさが丸みをもってぶつかってきます。彼の声は「突き刺さらない」というか、逆に心をどこかにすっ飛ばすような力があります。摩訶不思議。今作で言うと、M-5やM-9のようなミドルテンポの簡素な楽曲で、彼の声が真価を発揮しているようにも思います。そのM-9は8分弱という長い曲なんですが、僕的には今作中のフェイバリット・ソングです。ロウソクの灯りを見つめながらぼんやり聴いたりしたら、自然に涙がでるくらいの素晴らしさです。あるいはジャケット(南国らしき砂浜の夕暮れ)を眺めながらでも良いかもしれません。必聴。全9曲で約40分。前作同様、作詞・作曲はすべてKarlが手がけています。



Title … IF YOU LOSE IT
Number
01.it's on everything / 02.been here all time / 03.tears on hold / 04.if you / 05.me the plague
06.your anyone / 07.want to go / 08.do for two / 09.live the end / 10.fast, so fast

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前作から2年と経ずに発表された5thアルバム。2004年リリース。具体的にいつからメンバーが2人になったのかは分りませんが、今作ではLDOAはKarlとAndreasの2人組みになっています。

一聴して思うのは、「前作よりもバンドっぽいなあ」ということ。固定メンバーは2人しかいなくとも、ゲストミュージシャンと言うかサポートと言うか、バンド外から3人招かれていることも関係あるのかもしれませんが、楽曲が生き生きしています。前作はどこかアコースティックなイメージが強くて、内省的・個室的イメージがあったのですが、ここでは少し湿った重いドラムに粒の粗いギターが重なることで、今までにないバンド感が。逞しさすら感じます。こうして聴いてくると、ストリングスや盤楽器などを大胆に取り入れた前々作(3rd)が彼らにとって意欲作・冒険作であっただけで、それらの装飾を取り去った前作、そして今作のような音こそが、彼らの目指すものなのかもしれません(2ndで聴かせたストレートなバンドサウンドを考慮しても、こういった簡素なアレンジが彼らの持ち味なのでは)。もちろん、その時々でやりたいこと、作りたい音は変わると思うし、もしかすると3rdのようなストリングスや鍵盤を使ったアレンジはあまりに常套手段なので、敢えて止めたのかもしれません。

本国での所属レーベル「BAD TASTE RECORDS」のHPを見ると、今作で彼らはいつも(というか前2作)と違ったことがやりたかったらしい。そのため、前2作ではFIRESIDE(スウェーデンの人気バンド)のPelle Gunnerfeldtが所有するスタジオで、彼と一緒にレコーディング、ミックス、プロデュースを行っていたのが、今作では別のスタジオで別のプロデューサー(BAD TASTE RECORDSのバンド、LoghのベーシストMathias Olden)をメインに据えて、録音に臨んだよう。とは言ってもPelleは共同プロデューサーとして参加し、ミックスにも関わったようですが。今作に感じる開放感・風通しの良さは、スタジオやスタッフの違いから来るものもあるのかもしれませんね(Pelleが関わらなくなったらもっと変わるのかなあ、なんて風にも思った)。

前半部分を聴いていると正直すこしまったりし過ぎかなあとも思ったのですが、後半にいくにしたがって徐々に盛り上がりを見せてくるので一安心(何が)。しかし個人的には3rdにあった“aspirins and alchohol”や“will the violins be playing?”のような、Karlが声を張り上げるような楽曲が聴けると、もっと嬉しかった。全体的に囁き気味ヴォーカルなので。今作中で1番好きなのはM-4の“if you”。とにかく美しい。そよ風が揺らす水面を眺めているような、ちょっとした忘我の世界に入ってしまいます。全10曲で約35分の好盤。ここで紹介しているのは輸入盤ですが、日本盤にはボーナストラックが2曲収録されています。



Title … MIGHT AS WELL LIVE
Number
[CD]
01.lost and found / 02.great white's jaws / 03.who's on the phone? / 04.hanging high
05.get out while you can 06.i wish that you would mean a lot less to me / 07.two ply glass
08.come on over / 09.melbourne / 10.you don't believe me / 11.lost and found(acoustic version)
12.cool ※11, 12はボーナストラック。

[DVD]
●driving ●interview ●acoustic live〜in ink
-video clip- ●it's on everything ●all will berak

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LDOA、3年ぶりのフルアルバム。2007年リリース(日本盤は期間限定でDVDとの2枚組)。ということだけれど、熱心なファンには、それほど久しぶりな感じもないだろう。なぜならば、この作品と前作との間に、バンドの中心人物カールは、自身のソロアルバム『ペイル・アズ・ミルク』をリリースしているから(結局そのアルバムに伴うツアーでは来日しなかったのだけれど…)。

雑誌で書かれていたように、前作からカールとドラムのアンドレアスの2人になっていたLDOAだけれど、このアルバムでは、固定メンバーはついにカール1人になってしまった模様。昔からメンバーの入れ替えが激しいバンドだったようだが、依然として落ち着く気配がない(雑誌のインタビューを読む限り、アンドレアスも、参加できるときは参加するというスタイルのようで、厳密には“脱退”したというわけではないようだ)。

じゃあ誰がドラムとかベースとかやってんのよって話だが、そこは外部のバンドから招き入れている(その点が、ほぼすべての楽器をカールが手がけたソロ作とは大きく違う)。ドラムにはスウェーデンのバンド・ランディのFredrik Granberg(フレドリク・グランバーグ)、ベースにはLOGHのMathias Olden(マティアス・オルデン:前作のプロデューサ)およびMattias Friberg(マッティアス・フライバーグ)。プロデューサには相変わらずのPelle Gunnerfeldt(ペレ・ガナーフェルト:一部ではベースも担当)がカムバック。ということで、LDOAに関わる顔ぶれ自体には、それほど大きな変化はないことになる。

カールは、作品ごとに、「どう作るか」ということをしっかり考える人のようだが、今回はギター主体のアルバムにしたかったとのこと。なるほど確かにギターの音が前面に押し出されている。そしてもう1つ、カールの声もまた、前に出ている。前作について、「もっと声をだしてくれ」的なコメントをした僕であるから、これはよろしい。だから、全体的な感覚としては、バンドサウンドを、ソロアルバムの太目の音作りで鳴らした感じ、そう言えるだろうか。前々作〜前作の簡素化されたサウンドのイメージは相変わらずあるが、荒さが減少して、落ち着いた、POPミュージックよりの音になっている。確実に、『イフ・ユー・ルーズ・イット』〜『ペイル・アズ・ミルク』でやってきたことが結びついていて、それが透けて見えるサウンド。

カールの書く曲が常に持っているアコースティックなエッセンスもふんだんにあり(M-1やM-6、M-8、M-10:特にM-6の透き通っていながら、混沌としていて、夢見るような感覚が好き)、そしてソロ作では出しえなかった、バンドとしての躍動感(M-9が最高です。冬から春へ切り替わる、ちょっぴり寒いんだけど、どこか暖かい、切ない季節の昼日中にピッタリです)、これらが見事に同居している。僕は3rd『エンジェル・ユース』が大好きで、ああいったデラックスなアレンジもまたやってほしいんだけど、この作品はこの作品で、素直でPOPな歌と、飾らないバンドサウンドのバランスが非常に良くて、たまらなく魅力的。しかし歌詞は相変わらず失恋オンパレード臭いのはなぜだ(笑)。



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