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Title … THE GREAT BEAST FEBURARY E.P. & COMASYNTHESIS E.P.
Number
01.naked girl / 02.counting backwards / 03.mother of love / 04.your cell / 05.super me
06. never happy / 07.milo 7 / 08.penning the penultimate / 09.reverie to chanticleer

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アメリカ北海岸(?)出身のバンドさんです。この作品自体は2002年リリースですが、内容は過去に発表されたEP2枚の収録曲を併せたもの。

この時点でのメンバーは3人。Judah Nagler(G/Vo)、Logan Whitehurst(Dr/Vo)、Josh Staples(B/Vo)。あまりに情報が少ないんで、所属レーベルのslowdanceのHP(http://www.slowdance.com)を見たところ、どうやら初めはJudahのソロプロジェクトだったよう。2000年、彼が19歳のときに生ドラムにおいてLoganの手を借りて作成したのが、本作の後半部(M4‐9)にあたる「comasynthesis e.p.」だったようです。その前年、つまり99年からjudahはloganとTHE SECRET BAND(?)という名前で音楽を作っていたようなんですが、judahのソロであった「THE VELVET TEEN」と並行して「THE SECRET BAND」のアルバムを2人で作って発表したりしているうちに、正式に2人で「THE VELVET TEEN」として活動していくことになり、そこに他バンドでも活動中のJosh staplesをベースとして迎え、そして録音されたのが本作の前半部(M1‐3)である「the great beast feburary e.p.」であり、そこから現在のバンド形態になったようです。と、以上が大体の成り立ちの模様。読み間違いありましたら堪忍ですm(__)m。

で、音ですが、このCDに限って言うと、打ち込みサウンドとバンドサウンドが半々な感じですが、もちろんそれは、judahのソロ時代の音源も入っているからだと思います。ですから、バンド形態になってから録音されたM-1〜3の方が、現在の彼らの音に近いのかもしれません。そのM1〜3ですが、ハッキリ言って「良い」です。ちょっとひっかかりのある疾走系ギターサウンドに乗っかって、Judahの高音ヴォーカルが炸裂します。M-1なんかしょっぱながあまりに高音だから、女性ヴォーカルかと思いましたが、見事に男でした。そしてグッとくるのがホロ苦系の美しいメロディ。特に不意に繰り出される「決め」っぽいドラムに乗せるようにエモーショナルに歌われると、高揚感満点でメロメロです。このリズムの独特さ加減は、いわゆるポストロックとか、変拍子が売りなエモコア勢にも通じるものがあるかもしれんなあなんて、思ってしまいました(でも男臭くはないですよ)。そういった疾走系ポップサウンドが主なのかも知れませんが、M-3はアコースティック。でもメロはやっぱいい。いい!3人のハーモニーというかコーラスもナイスです。

僕個人としては後半部で光るのはM‐7だけでした。カーテンのごとくたゆたうシンセサイザーサウンドの中で煌めくノスタルジックなメロディ。何か星空な感じです。スターダスト。涙。グッドです。つーわけで、この作品だけ聴いてると、「ポップなロック」ではなくて「ちょっとロックなポップ」って感じです。

バンドになってからはどうやら音は3人で作り、歌詞はJudahが書いてるみたいです。ジャケットのアートワークなんかも3人でやってるみたいで、この作品のジャケットはちょっと「ええ?」って感じに、メンバー自身なのか3人の人間がアニメチックに描かれてます(しかもなんかヘタウマ系:笑)。



Title … OUT OF THE FIERCE PARADE
Number
01.a special gift to you / 02.radiapathy / 03.the prize fighter / 04.red, like roses / 05.caspian can wait
06.four story tantrum / 07.into the open / 08.penning the penultimate / 09.your last words / 10.death

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THE VELVET TEENの1stアルバムになります。2002年リリース。僕は上のEPを聴いて、気に入って、で、このアルバムを購入したわけですが、この流れで来た人にはここで鳴らされているサウンドは少々意外かと思います。なんでって上記EPのM-1、2で披露されていたような疾走感がほとんどないからです。そして音の鳴りや楽曲自体が非常に乾いた作りになっていまして、そこに漂うムードは驚くほど叙情的になっています。どうやら彼らには、アグレッシヴなギターをぶちかましてカタルシスをもたらそうという意図はないよう。となると、メロディに耳が向かうわけですが、これが僕にとってはいまいち弱い気が…。1回聴いただけではあまり強烈な「掴み」はありませんでした。

しかし、そんな変化の中にあっても変わらないのがリズム面。何か確信的に個性的なリズムがあったりします。そんなリズムの上に、ざらついたギターと波のように上下するメロディラインが乗っかって、それをJudahの特徴的な高音ボーカルが歌います。とにかく最初はひっかかりがありすぎてすんなり耳に入ってこないんですが、何回も聴くとあら不思議、やみつきになるんですねぇ。Judahの声にしてもEPでは単に「高い」だけだった気がするんですが、今回は楽曲と相まって見事に寂寥感を感じさせる歌声です。

個人的に大好きなのはM-3。アルバム全体通して鍵盤楽器が多用されているんですが、ここでの使い方が僕はすごい好きです。雪がヒラヒラ舞い落ちる情景を想像させるイントロ。いいですねえ。身が引き締まります。メロも好きです。ちなみにM-8は上のEPに収録されている同タイトル曲の再録のようです。個人的には違う曲を再録して欲しかったんだけど(笑)。

というわけで(どういうわけだ)、このアルバムは何かに対して自分を駆り立てるときに聴くのは相応しくありません(笑)。そんな聴き方をすると、間違いなく、ぎこちない尺取虫の歩みのように苛立たしく感じられてしまうはずです。上記EPの音にはジャケットからして「カラフル」なイメージがあるんですが、今作の色はもうガッチリ「灰色」ですね。ジャケットも白黒だし。何か僕的には焦点のはっきりしないサウンドなんですが、叙情系サウンドが好みの人は、恐る恐る手を出してみてください(笑)。ちなみに現在は日本盤が出ておりまして、そちらは全曲リマスター&ボーナス・トラック5曲収録のようです。これから購入される人はそちらをゲットしたいところですね。



Title … ELYSIUM
Number
01.sartre ringo / 02.penicillin(it doesn't mean much) / 03.a captive audience
04.chimera obscurant / 05.poor celine / 06.forlorn / we were bound(to bend the rules)

[DVD]
01.“the prize fighter”video / 02.“the prize fighter making of”video / 03.“radiapthy”video

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2004年リリースの2ndアルバム。当初はEPの予定で制作していたものの、作り終えたらアラビックリ、かなりのボリュームだったので、アルバムとしてリリースされたという代物です。初回限定はお得なDVDとの2枚組。

これまで作品ごとに音が一定していなかった彼らだけれども、この作品もまた前作とはカラーが大きく異なっている。まずギターの音が聴こえてこない。使ってはいるのだろうけれど、もうほとんど耳につかない。それに曲調も大分ゆったりしており、性急さを持ったものは1曲もない。1曲目からラストまで、波のように大きくゆるやかなウネリが、僕らを包み込むことになる。ギターの変わりに全編を支配するのはピアノ。そして霧のように流れる弦楽器の音色。ジュダのヴォーカルは低音から高音までを自由に飛翔する。これらのモノが、自己主張はしないけれどドラマチックなドラムとあいまって、静かなんだけれども非常にエモーショナルな世界を作り上げている。ギターなんぞ前面に出てこなくとも、強く叩かれるピアノの音色とジュダの切ない声、そして弦楽器が同時に舞い上がれば、途端に胸はわしづかみにされる。特にM-5やM-6では、ジュダが声を張り上げるたびに、僕の心はグッときてしまう。全体的に、歌詞を読んでも1発で理解できないのがなんなんだけど、なるほどこれは解説内でM-4(なんと13分弱!)についての言葉にもあるように、「イマジネーションの暴走」の結果なのかもしれない。しかしそんな頭の中で走り回るイメージを、こうして1つの作品としてまとめあげた手腕はお見事。

何も気にせず自由に作ったところ、こういう作品になったとのことだけれど、彼らのスタイルもいずれ固定されるのだろうか。自分たちの音を固定せずに自由にやれるのは素晴らしいことだけれど、本作を聴くと、何かポップミュージックと言うよりも現代音楽のようなものをイメージしてしまい、もう一歩この作風を押し進めると、僕には難しい作品になってしまいそうで、心配になったりもしてしまった。DVDに入っている前作収録曲“radiapthy”のクリップを観ると、彼らの「バンドバンドした」というか、「ロックバンド」って言うか、そういった一面を感じさせる熱い演奏にしびれるので、やっぱそういったアグレッシヴな楽曲も入っていればもっと良かったかなあ…なんて思う(今作には似合わないかもしれないが)。しかし今作を聴き、DVDを観ると、なぜか前作を聴き返し(そして聴きこみ)たくなる。そして改めて前作の良さにも気づく。そういった意味でも良い作品だと思う。ちなみに僕の本作のイメージはずばり「森」。霧と冷気の漂う深い森の中を、木漏れ日を見上げながら歩いているような。あと、ジャケットもかなり特殊で面白い。初めは汚れかと思ったが、よく見たら、実は椅子に座る人々なんかの姿が、まるで幽霊のようにプリントされていた。どんな意図があるんでしょーか。



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