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Title … I OFTEN THINK IN MUSIC
Number
01.whole galaxie / 02.texture of dub / 03.9phrases & 3voices(charm quark mix) / 04.summer of du(lo)ve
05.sad song echoes(strange quark mix) / 06.blue(top quark mix) / 07.fearless / 08.far above my head
09.8bits information of you / 10.give this a whirl / 11.sad gray sky(sugar plant mix)

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COLOR FILTER(カラー・フィルター)というのは、この時点ではツネヨシリュウジさんのソロユニットであり、作品における主な作詞作曲はすべて彼が手がけています。本作は2ndアルバムで、1999年発表。サウンドの基本となっているのはサンプラー+アコースティックなピアノやギター。そしてそこにダブ的な処理が行われたり、外部から招いた女性ヴォーカルが乗ったり、きらめくシンセサイザーが入ってきたりと、とにかく色彩感に溢れています。また、随所で挿入されるカモメの鳴き声や波の音、また犬の鳴き声やガラスの割れる音、こういった環境的な要素が、打ち込み色の強いサウンドにぬくもりをあたえています。

こういった打ち込みを主体としたアーティスティックな日本人ソロユニットというと、まず大勢の人の頭に浮かぶのはコーネリアスこと小山田圭吾さんかと思うんですが、このカラーフィルターはコーネリアスにもしっかり認知されています。また、フレーミング・リップスがライヴでこのカラーフィルターの曲を使用したということからも分るように、コーネリアス同様、カラーフィルターもまた日本よりも海外における評価の方が先行しているようです。

ただ、以前雑誌にも書かれていたことですが、カラーフィルターのサウンドにはアート志向のソロユニットにしばしばありがちな「仙人」的なところがまったくありません。テクニックや革新性にこだわった結果としてサウンドが洗練されすぎてしまい、妙に敷居が高いということもまったくありません。とにかく何故かしら「俗っぽい」のです。大きすぎるように思えるシンセサイザーの音や、詰め込みすぎのように思えるさまざまな効果音が、中途半端に栄えた駅前のネオンのように、僕らに親近感を与えてくれます。それに歌モノはしっかりメロディを持っていますし、純粋に歌として聴けます。要するに僕らの側でツネヨシさんのサウンドに「アート」という枠をはめてるだけであって、 ツネヨシさんとしては「開拓者」的な意思はほとんど持っていないんでしょうね。そう思います。

僕がお気に入りなのは、M-10。波の音にカモメの鳴き声、遠くで聞こえる子供の声、そこにゆったりと流れるシンセサイザーの切ない旋律、そして一気に走り出すリズムと清涼感の溢れるメロディ、それを歌うのは外人女性の爽やかなヴォーカル。何度聴いてもたまならくノスタルジック。良いです。先にも言ったように、外部から3人の女性ヴォーカルが招かれているんですが、そのうち1人はアドバンテージ・ルーシーのアイコさん。ルーシーとは少し違う感じの、けれどやっぱりアイコさんだと分る、あの歌声が聞けます。また、M-7はピンクフロイドのカヴァーになってます。



Title … ルミネセンス
Number
01.ルミネセンス / 02.stars shine so bright, the sun rises so high / 03.sitting in the sand
04.a windy day, under the tree / 05.stars don't shine so bright, the sun dosen't rise so high
06.色彩の瞬き

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2001年発表のミニアルバム。上のアルバムにヴォーカリストとして参加していたニシムラユキさんを正式メンバーとして迎え、この時点でカラー・フィルターは2人ユニットとなっています。

2人組みになったこと、あるいはヴォーカリストが入ったことが関係しているのかもしれませんが、前アルバムよりも歌が前面に出されています。そして音自体は簡素な方向に。より静謐でアコースティックなんだけども電子的。そして同時に「うたもの」でもある。軽いアコースティックギターの音色にシンセサイザーが重なり、そこに打ち込みドラムがリズムを加え、その間にニシムラさんの空気のようなヴォーカルが流れます。って、こう書くと上のアルバムとほとんど同じに感じられるかもしれませんが、実際耳にするとかなり違います。『I OFTEN THINK IN MUSIC』が繁華街のネオンだとしたら、こちらは病院内の蛍光灯みたいな、そんな感じです。「色を感じない」と言いますか。人によっては色彩感に溢れた音に感じるのでしょうが、僕にはそうは感じられませんでした。無菌室とか、冬の空とか、なんかそんなイメージがあります。

今回は珍しく日本語詞の歌があったりするんですが、特に伝えたいメッセージがあったわけでもないそうです。ツネヨシさんいわく、自身の音楽については「歌詞によるメッセージの伝達は必要ない」そうな。クールですね。「音で主張する」と、そういうことみたいです。ちなみにM-4は、以前インディーズマガジン(現在休刊)の付録CDに収録されたときはツネヨシさんのヴォーカルだったんですが、今作ではニシムラさんのヴォーカルになってます。僕はツネヨシヴァージョンも結構好きだったのですが。



Title … I'M NOT SAD IN THIS WORLD
Number
01.sad gray sky / 02.star above you / 03.blue / 04.great northern hotel / 05.texture of dub
06.the dolphins / 07.let me sleep / 08.children of summer / 09.give this a whirl / 10.i'm not sad in this world

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カラーフィルターの3rdアルバム。2002年発表。全10曲なんですが、そのうち7曲はこれまでの発表音源をバンド形態で再録音したもの。そして2曲が新曲で、残りの1曲(M-6)はFred Neilのカヴァーになってます(僕はオリジナルはまったく知りません)。

これまでの打ち込み主体の音作りから打って変わって、バンド形態での録音になっているわけですが、音そのものは『ルミネセンス』に近いですね。 小難しいことは抜きにして、音だけ聴いて気持ちよくなれるというか、イージーリスニングとしての役割も十分に果たしてくれる、そんな音楽。全編に渡ってゆる〜いリズムとピアノやギターのアコースティックのぬくもりが支配していまして、必要最小限の音で奏でられる静謐でPOP音楽を聴いていると、 彼らの望む表現が今までとは違う方向に向かっているような、そんな気もします。そんなバックトラックに色を添えるのがやはりニシムラさんの歌声。 ウィスパーヴォイスと地声の間をいくようでいて、細いんだけど伸びやかな声。この耳元をくすぐる感じがたまりません。『ルミネセンス』を聴いた時点では、ニシムラさんの声はカラーフィルターのサウンドにあまり相応しくないんじゃないかと思っていたんですが、ぜんぜん僕の思い過ごしだったみたいです(笑)。

M-9では、僕の大好きな『I OFTEN THINK IN MUSIC』収録の“give this a whirl”が見事なアコースティックサウンドに生まれ変わっています。なんか縁側で日向ぼっこしてるような、柔らかい空気感がたまらなく気持ちよいです。こちらもまたグッド。今でも十分に人気はあるかと思うんですが、もう少し日の目を見ても良いんじゃないんでしょうか。そんな気にすらさせられる、良い作品です。



Title … SILENT WAY
Number
01.silent way / 02.waiting for the fall / 03.stella sea / 04.アオノウエノシロタチ / 05.goin'out of my head
06.rollercoaster / 07.不思議な1日 / 08.psychedelic breakfast/ 09.rainy morning / 10.今 言葉だけ

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カラー・フィルターの4thアルバム(かな?)。2004年リリース。ワールドワイドな活躍も目覚ましく、英国ではPointyよりリリース。 日本盤はPヴァインより発売されています。中心メンバーは変わらずツネヨシさんとニシムラさんなのですが、今作ではベースに岸川勇太郎さん、ドラムに佐治宣英さんを招き、前作のようにバンドスタイルで録音されています。

帯を読むと、今作は急に「ドリーム・ポップ」という呼称が使われていますが、こういう音はドリーム・ポップって言うのかあ、なるほど。と、それは置いといて、本作は確かにバンドサウンドらしく、ドラムが妙に生生(特にM-4)しているのが印象的ですが、ストリングスやキーボード、その他のエフェクトなどの割合が前作、前々作よりも増え、その点電子的な匂いを強く感じます。『I OFTEN THINK IN MUSIC』のデジタルな触感が好きな僕には嬉しいサウンドが、少しばかりカムバックしてきた気もします。そしてM-6やM-9のような、軽やかな楽曲が聴けるのも嬉しい。前作のように「まったり」一辺倒よりも、やはりこういうアクセントがあった方が、全体が引き締まると思う。 基本的な路線はこれまでと変わらず、澄んだ夜空にゆらめく星のような淡い音像にニシムラさんのウィスパー気味ヴォイスが乗っかっているのですが、ミニマル的なサウンドで「あ〜このまま終わっていくのかあ」と思ったところで、もう一超え、さらにもう一段階サウンドが広がる感じが、これまでと違い新鮮でした。

『I OFTEN THINK IN MUSIC』からカラー・フィルターのサウンドに触れた僕は、これまでいまいち彼らの音に対するイメージがはっきりしていなかったのですが、今作でようやく固定された感じがします。とは言っても言葉で説明はできないんですけどね(意味ねー:笑)。まあ自分の中で、ということで。今作は、ニシムラさんが作詞を担当した楽曲あり、さらに作詞/作曲を行ったM-10ありと、いよいよカラー・フィルターが2人組みとして回り始めたことを感じさせる作品でもあります。夜中にこっそり引っ張り出して、波状に広がる空間の中を、ひっそり漂いましょう。しかし、ツネヨシさんの意思がこういうサウンドを好いていることは分るのですが、僕はやはりソロ的作業であった『I OFTEN THINK IN MUSIC』も大好きなので、またあんなサイケでポップな万華鏡サウンドを披露してくれないかなあとも思う。



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