APHEX TWIN ● Home ■ Music

□Title … SELECTED AMBIENT WORKS 85-92
□Number …
01.xtal / 02.tha / 03.pulsewidth / 04.ageispolis / 05.i / 06.green calx / 07.heliosphan
08.we are the music makers / 9.schottkey 7th pass / 10.ptolemy / 11.hedphelym
12.delphelym / 13.actium

□Comment …
Aphex Twin(エイフェックス・ツイン)=Richard D.James(リチャード・D・ジェイムス)。これは彼の記念すべき1stアルバムで、92年リリ―ス。

彼の変人振りを示す逸話は山ほどあるのでここではいちいち取り上げませんが、僕の彼に対するイメージは「電子音中毒」。自分で機材のつまみをひねって音を作り出すことにどうしようもなく依存してしまっている孤高の存在。音楽をリスペクトしているのかコケにしているのかよく分らない。でもきっと「音」は大好き。彼の作り出す作品は作風が一定していないのが特徴で、次に何をやらかすか全く分らないのが面白いところだし、それが「天才」という評価にも繋がっているのだと思います。しかし極論すれば彼の作風は本作のようなメランコリーな側面と、シングル「ディジェリドゥ」などで見せている暴力的な側面に分かれるのだと思う。

他の作品で見せる暴力的な一面はここでは見られない。皆無と言ってもいいほどに。どこかノスタルジックで神秘的な空気が全体を覆っています。そして全編を通じて、水の中で聴くようなくぐもった音が優しく包み込んでくれる。テクニカルなんだけど妙に温もりを感じさせるのはこの音作りのせいでしょう。M-1などは「未知」の存在を予感させ、神々しい感じさえします。僕が初めてこの作品を聴いたときは「これだ!」って気がしたもんです。押し付けがましい感情の不在(少なくとも僕はそう感じました。もちろん感情性を感じる人もいるはずだけど)。脳を薄〜く輪切りにされているような透明感。そして透明になり、すべてのものが自分を突き抜けていくような開放感。何も感じなくてすむ、そんな安心感。当時の僕にはジャストフィットだった。と同時に「アンビエント」の正体を求めていた僕に、この盤はそのイメージを決定付けた。ブライアン・イーノと同様に。

ちなみにこの作品、14才の頃から作り始めていたというから驚きです。他作品で聴かせる過剰な暴力性とのギャップ、それが彼の存在をさらにミステリアスにしています。



□Title … SELECTED AMBIENT WORKS VOLUME ��
□Number …
[DISC1]
01.LIGHT GREEN - cliffs - radiator - rhubarb / 02.DARK GREEN - grass - mold - curtains - blur
03.LIGHT BROWN - wheathered stone - tree - domino - white blur1

[DISC2]
01.ORANGE - blue calx - parallel stripes - shiny metal rods - grey stripe - z twig
02.RED - window sill - hexagon - liches
03.DARK BROWN - spots - tassels - white blur2 - match sticks

□Comment …
94年の作品。リチャードが夢で見た風景を音像化した作品とも言われています。中味は、リチャードのメランコリックな側面が全開。決して明るくはなく、どちらかというと暗い。いや、暗いのではなくて、曖昧な感じと言う方がいいかも。眠りに入る寸前のような。あるいは悪夢を見て眼をパッチリ開けてしまったときに感じるわけの分らない不安感。決して晴れない霧の中を手探りで歩きつづけるような、つかみどころのなさ。

M-1からひたすらに垂れ流されるディレイ音。しかもDISC1とDISC2の2枚組で23曲150分あり、すべてがそんな調子。それぞれの曲名に意味があるのかどうかもわからない。彼が何をイメージして各曲を作ったのかもよく分らない。しかし聴いていると喚起されるのはどうしても「郷愁」という感情です。ミドルテンポで流される、どこかモノ悲しい旋律のリフレイン。ゆるーく広がる音の波紋が、ゆっくりと、じんわりと、頭の中を支配していきます。じっと耳を傾けていると、忘れかけていた記憶が浮かび上がってくるような、そんな感覚になる。

僕が一番好きなのは、DISC1ではM-3、“ルバーブ”、DISC2ではM-2、“パラレル・ストリップス”。どちらもどうしようもなく神秘的で浮世離れしていて、ヘッドフォンやイヤホンで聴いていると、自分が世の中のしがらみから解放されていくような、不思議な安堵感が得られるのです。遥かなる高みへ―-。



□Title … RICHARD D. JAMES ALBUM
□Number …
01.4 / 02.cornish acid / 03.peek 824545201 / 04.fingerbib / 05.carn marth
6.to cure a weakling child / 7.goongumpas / 8.yellow calx / 9.girl/boy song
10.logan rock witch / 11.milkman / 12.inkey$ / 13.girl/boy song(£18 snare rush mix)
14.beetles / 15.girl/boy song(redruth mix)
※11〜15はUK盤未収録。

□Comment …
96年の作品。自身の名前を冠するという、投げやりなのか本気なのか分らないタイトルですね。しかし中身はといいますと、今までに見せてきた暴力性と牧歌的な側面が見事に合体。結果として、ここでは唯一無二の音楽が奏でられています。チョット他にはありません。

M-1では引っかかりのあるビートに弦楽器の美しい旋律が絡みつき、M-4では遊んでいるとしか思えない電子音が堂々と鳴らされ、M-5では踊りを拒否した無機的なビートの連打があったり。そしてM-9はシングルカットされた大名曲。乱雑を極めたビートに弦楽器が乗るという構造はM-1に通じると思うんだけど、この高速&痙攣ブレイクビーツのスピード感と緩やかに流れるストリングスの対比具合が絶妙。右手で丸を書きながら左手で四角を書いてるみたいな「アレ?」っていう感覚。けれど2つの要素は決して相反しておらず、奇妙に合致している。それが気持ちいい。

今作はライナーの曲解説にも書かれているように、「せわしないブレイクビーツに陳腐というか親しみやすいというか、キャッチーなリフを乗せているパターンが多い」。そのせいか本作は今までと比べて大衆的というか、俗っぽい気がします。ということで本作からは、変人だの奇才だとの言われるリチャードもやはりポップなセンスを持っているのだなと感じさせられる。もちろんその感じさせ方は大分ひねくれているのだけど。

ちなみに日本盤のボーナストラックであるM-11の中では(おそらく)リチャードの歌声が聴けます(!)。意外にナチュラル(笑)。また、M-13、15はM-9のリミックスらしいのだけど「どこがだよ?」って感じです…。そしてジャケットはリチャードの恐ろしい笑顔(加工済み)。まったく人をおちょくっているというか、何を考えてるか分りませんが、その全ての音楽をあざ笑うかのような態度がカッコ良くも恐ろしい。




□Title … COME TO DADDY
□Number …
01.come to daddy, pappy mix / 02.flim / 03.come to daddy,little lord faulteroy mix
04.bucephalus bouncing ball / 05.to cure a weaking child,contour regard / 06.funny little man
07.come to daddy, mummy mix / 08.iz-us

□Comment …
1997年リリースのシングル。しかしシングルとは言いつつも嬉しい8曲入り(内3曲はタイトル曲のミックス違い)。

本作は僕が彼、エイフェックス・ツインに興味を持った直接のきっかけでもあります。正確に言うと僕は今作収録の“フリム”(M-2)に衝撃を受けたのです。それまでエイフェックス・ツインのハードコアな一面しか知らなかった僕は、ラジオから流れたこの曲の美しさに感動。変則的な乾いたビートの上をタンポポの綿毛のように優しく舞う優美な電子音、そこに秋風のようにさり気なく寂寥感を運んでくるストリングス。「何であんなひっちゃかめっちゃかな曲を作る人がこんなに美しい曲を作るんだろう」と、僕はその瞬間に彼の世界に呑まれたわけです。そんなわけで僕は今でもこの“フリム”が、自分が聴いた彼の曲の中では1、2を争うくらい好きなのですね。そんなM-2とは打って変わって、冒頭のM-1はいきなり激しいですね。ハードなノイズとビートの上に重なる叫び声。非常にやかましいです。「カム・トゥ・ダディ…カム・トゥ・ダディ…」という声も聞こえますが、おっかないっつうの(笑)。他に聴き所だと思うのはM-4、タイトルどおり、途中から左右の耳の辺りで硬質の球体が跳ね回っているみたいな不思議な音像を体感できます。ヘッドフォンで聴くと面白いですよ。

あくまで個人的な意見なんですが、この作品、僕にとって非常にバランスがいいんですね。『アンビエント・ワークス』シリーズで見せるノスタルジア、と同時に破壊的なビートや曲構成といった、彼の持ち味を各曲で十二分に堪能できる。各曲がそれぞれに際立っていて、作品全体通して聴いてもだれてこない。もちろん評論家の方みたいに穿った見方をすると、この作風は「大衆性を敢えて打ち出すことによって云々かんぬん」とかいう意見も出てくるんでしょうが、僕としてはそういう考えは関係なく、純粋にこの音を迎え入れたいところです。良い作品。◎。



□Title … DRUKQS
□Number …
[DISC1]
01.jynwetythek / 02.vordhosbn / 03.kladfvbung micshk / 04.omgyjya switch7
05.strotha tynhe / 06.gwely mernans / 07.bbydhonchord / 08.cock/ver10 / 09.avril 14th
10.mt.saint michel + saint.michaels mount / 11.gwarek2 / 12.orban eq trx4 / 13.aussois
14.hy a scullyas lyf a dhagrow / 15.kesson dalef

[DISC2]
01.54cymru beats / 02.btoum-roumada / 03.lornaderek / 04.qkthr / 05.meltphace 06 / 6.bit 4
07.prep gwarlek 3b / 08.father / 09.taking control / 10.petiatil cx htdui / 11.ruglen holon
12.afx237 v7 / 13.zigomatic 17 / 14.beskhu3epnm / 15.nanou2

□Comment …
前作から5年のインターバルを経てのアルバム。2001年リリース。待たせた故か何なのか、全30曲の嬉しい2枚組。

一聴すると今までになくインウツな雰囲気で、前作にあったバカっぽさ、箍(たが)の外れた感覚は得られません。相変わらずヤケクソあるいは痙攣的なビート+どっからサンプリングされたのか良く分らない音色がごっちゃになって発射されているんですが、しかしそれにもどこか諦念を感じる。生真面目な狂気。そんな言葉が似合うかもしれません。極めて内省的でシリアスです。 また、今作では珍しくピアノの(切ない)独奏が入っていたりして、彼の今後の方向性を伺わせるんですが、このあまりに切ない旋律には驚き。特に印象的なのがDISC2のラスト“nanou2”。以前某深夜番組で使われていましたが、これは優しさと切なさと光に満ちた精神漂白剤的な浄化作用を持っています。こんなの聴かされると、1回全曲ピアノのアルバムを作って欲しいとすら思ってしまいます。

全体的にやっていることがそれほど今までと変わっておらず、もしや手詰まりなのか、あるいはスタイルを確立してしまったのかと、少々不安にもなるんですが、まあ彼の出す作品は膨大なストックの中から適当に選ばれているだけだという話もあるくらいなので、これがアルバム発表当時のリチャードの最新型なのかは分らないということですね。。とにかく、前作のようなアッパーでメロディアスなものを期待すると肩透かしを食うかもしれません。



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