□Number …
01.i met a girl / 02.breathe / 03.these are things / 04.life still applies
05.go get the cops / 06.some days / 07.world united already / 08.hey, so long(ohio)
09.the beginner / 10.can't wash it off / 11.closer to mercury / 12.this rough magic
□Comment …
Wheat(ウィート)はRicky Brennan(G)、Brendan Hamey(Dr)、Scott Levesque(Vo/G)の3人が97年に結成したバンド。1998年に1stアルバム『Medeiros』、99年には2nd『Hope & Adams』を発表。今作は2003年リリースの3rdアルバム。初めてメジャーレーベルから出したアルバムでもあるようです。作品ごとにサポートミュージシャンの参加はあるようですが、上記の3人が核であることに変わりはありません。
僕はとある曲を聴いて、「いいなあ、ウィート」と思ったわけですが、不覚にもその曲名を失念。なのでどの作品を買ったらその曲が聴けるのかも分らぬままに、このアルバムを購入。なんでこのアルバムにしたかと言えば、単に現時点での最新アルバムであったというだけ(すげー適当な買い方:笑)。正直、どちらかと言えば湿ったバンドだと思っていたんだけど、冒頭の“i met a girl”からいきなり裏切られた。フォーキーで軽やかなギターの音色に続いて、威勢良く「アァイ・メト・ァガァール〜♪」ってアクセントの強いヴォーカルが炸裂。何か太陽の光が見えてきて、「湿り気」とはほど遠かった(笑)。
ちなみにツイン・ヴォーカルのようだけど、Scottと、もう1人はRickyとBrendanのどっちが歌っているのか分りません。というわけで、僕は意表をつかれたというか、期待を外されたせいで、危うく正面から作品を聴かなくなるところでしたが、楽曲の良さが僕を惹きつけたのです。それに声。「アメリカン」って感じの声なんだけど、優しかったり、強かったり、ときには泣きそうだったり、表情が多才で不思議と耳を奪われる。僕の好きな透明さも多分に含んでいるし。
僕はウィートには「ロック」よりも、「ポップ」という言葉が似合うと思う。ロックっぽくディストーションギターをかましてくる曲もあるけれど、それは耳障りで逆効果のような気もする。僕が好きなのは、M-2やM-5のような、ミドルテンポのジンワリ染みる楽曲なのだ。密やかに流れるストリングスやコーラスワークもじっくり聴けるので。て、まあカントリーチック(?)な陽性の曲がある中だからこそ、そういう曲が光るのかもしれないが。プロデューサーはすっかり名を馳せたデイヴ・フリッドマンで、僕が思うデイヴらしさが随所で光っている。ワウワウとしたエコーとかね、「イェ、イェ」って浮遊する変な声とか…いやそれだけじゃないんだろうけど(汗)、表面的にそういう要素はデイヴらしいと思った。1枚通して聴くと、中盤過ぎまでの流れは緩急織り交ぜつつPOPで素晴らしいと思うんだけど、それ以降にちょっとダレた空気が流れる瞬間があって、残念(あくまで僕の印象)。
ところで、僕の心を奪った楽曲が、果たして本作に入っていたのかということだが…少なくとも12曲中にはなかった。「なんだ…違う作品だったのか」とあきらめかけたのも束の間、12曲目終了後、数秒の無音を経て、M-14で流れた曲こそが、僕の求めたものだった!感動。曲名は“don't i hold you”。「Don't i hold you like you want. Don't i treat you like you want. Don't i love you like you want be loved.」という言葉、切ない…(涙)。ミニマルで、シンシンと降り積もる雪のようなメロディがまた、切なさを誘ってタマラナイ…。
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