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■Titles■
□89年 … DOWN IN IT(HALO1) □89年 … PRETTY HATE MACHINE(HALO2)
□90年 … HEAD LIKE HOLE (HALO3) □90年 … SIN (HALO4)
□92年 … BROKEN (HALO5) □92年 … FIXED (HALO6)
□94年 … MARCH OF THE PIGS (HALO7) □94年 … THE DOWNWARD SPIRAL (HALO8)
□94年 … CLOSER (HALO9) □95年 … FURTHER DOWN THE SPIRAL (HALO10)
□97年 … THE PERFECT DRUG (HALO11) □97年 … CLOSURE(HALO12)
□99年 … THE DAY THE WORLD WENT AWAY (HALO13) □99年 … THE FRAGILE (HALO14)
□99年 … WE'RE IN THIS TOGETHER (HALO15) □00年 … THINGS FALLING APART (HALO16)
□02年 … AND ALL THAT COULD HAVE BEEN (HALO17) □05年 … THE HAND THAT FEEDS (HALO18)
□05年 … WITH TEETH (HALO19) □05年 … ONLY (HALO20)
□06年 … EVERY DAY IS EXACTLY THE SAME (HALO21) □07年 … BESIDE YOU IN TIME (HALO22)
□07年 … SURVIVALISM (HALO23) □07年 … YEAR ZERO (HALO24)
□07年 … Y34RZ3ROR3M1X3D (HALO25) □08年 … GHOSTS I - IV (HALO26)
□08年 … THE SLIP (halo27)
赤字になっているタイトルをclickすると、該当箇所にジャンプします。






□Title … DOWN IN IT
□Number …
1.down in it (skin) / 2.down in it (shred) / 3.down in it (singe)

□Comment …
ナイン・インチ・ネイルズ(NIN)の1stシングルです。89年発表。日本盤は出ていません。NINはバンドというよりも、Trent Reznor(トレント・レズナー)という男をリーダーとしたユニットと捉えた方が良いですね。その証拠にこの作品には「nine inch nails is trent reznor」と明記されています。「全部独りでやってやる」、自意識過剰、他人との不和ゆえの結論か、彼の孤独な戦いはここからスタート。

作品の方は、今や死語かもしれない「ボディビート」が印象的な、ややヒップホップの匂いがするエレクトロなポップです。M-2とM-3は、タイトル曲のリミックスというかヴァージョン違いになっていて、すでにこの頃からトレントが「リミックス」というモノに関心をよせていたことが伺えます。まあ何はともあれ、僕は初期のNINの中ではこの曲が一番好きですね。ライヴでも異様に盛り上がれます。ホントに。是非とも再録音して出して欲しい。絶対そんなことはしないと思いますが。

ちなみに、NINの作品全てに対してつけられている通し番号「HALO」でいくと、この作品は「HALO 1」です。

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□Title … PRETTY HATE MACHINE
□Number …
1.head like a hole / 2.terrible lie / 3.down in it / 4.sanctified / 5.something i can never have
6.kinda i want to / 7.sin / 8.that's what i get / 9.the only time / 10.ringfinger

□Comment …
NINの記念すべき1stアルバム。89年発表。カタログ番号は「HALO 2」。

この作品と似た音を出しているアーティストを挙げると、一頃のKMFDM(現在はMDFMKを経て、再びKMFDM)や初期ミニストリーですね(まあ言うほど似てませんけどね。ミニストリーの方が、音太いと思います)。いわゆるボディミュージック(死語)。これ以降と比べると、音が貧弱な印象はぬぐえません。全編通して「リズム面強調型」の「ピコピコしたシンセ使用」の「エレクトロなポップ」。今のような革新性も感じられません。

だけどPOPです。ライヴで聴くとよく分ります。一緒に大合唱できる曲がズラリと並んでいます。また、名曲の誉れ高い5曲目も聴き逃せません。不穏で切ないピアノにのせて「決して手に入らないものが欲しい」と歌われています。この雰囲気は2ndアルバムの“ハート”にも通じるものがありますかね。ちなみにプロデューサーにはスマッシングパンプキンズ等のプロデュースも手がけたフラッドや、エイドリアン・シャーウッドなど、今や名うての人物が迎えられています。これ以降のごっついNINが好きな人には薦められませんが、聴いてもそんなに損はないと思います。

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□Title … HEAD LIKE A HOLE
□Number …
1.head like a hole (state) / 2.head like a hole(copper) / 3.head like a hole(opal)

□Comment …
90年発表のシングル。「HALO 3」。日本盤は未発売。

タイトル曲は一応1stアルバムからカットされたものになるんですが、曲のフェイドインやフェイドアウトなど、音作りが微妙に違うのが面白いです。これって何ともマニア心をくすぐりますよ(笑)。全体的な印象としてはやはり音が控えめすぎますね。惜しい。サビでかき鳴らされるギターが印象的なんですが、今一歩といった感じ。M-2、M-3は、これまたタイトル曲のリミックスあるいはヴァージョン違いが収録されています。そんなに特筆すべき面白さはないんですが、リズム面へのこだわりとセンスが感じられて興味深いですね。

ちなみにここで取り上げているのはヨーロッパ盤。アメリカ盤には“ヘッド・ライク・ア・ホール”の他に“テリブル・ライ”や“ダウン・イン・イット”のヴァージョン違いが合計10曲も収録されています。あまり流通はしていませんが、興味があるならアメリカ盤を入手した方が断然お得です。

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□Title … SIN
□Number …
1.sin short / 2.sin long / 3.get down make love / 4.sin dub

□Comment …
90年発表の3rdシングル。「HALO 4」。日本盤未発売。

4曲中3曲は、1stアルバム収録の“SIN”のリミックスです。どちらかというと、こちらの方が音が攻撃的なので、聴いていて気持ち良いかもしれません。非常にピコピコな感じがしますが、POPなんで良いですよ。ギターがもう少し分厚かったら、今リリースしてもいけるかも(どうかな:笑)。そして何より注目すべきは3曲目、クイーンのカヴァー。しかもプロデュースはミニストリーのアル・ジュールゲンセン。たたみかけるような攻撃性と艶かしさが印象的な、見事なNINサウンドに仕上がっています。必聴でしょう。来日公演でも演奏してくれたようですが、僕の行った初日にはやってくれませんでした(笑)。んー聴きたかった。

ちなみにジャケットデザインはデザイナーズ・リパブリックが手がけていて、これも一見の価値あり。しかもアメリカ盤とヨーロッパ盤ではジャケットの色が違うという、ファン泣かせなシングルです。

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□Title … BROKEN
□Number …
1.pinion / 2.wish / 3.last / 4.help me i am in hell / 5.happiness in slavery / 6.gave up

□Comment …
トレントの怒りが大爆発のミニアルバム。92年発表。「HALO 5」。

これまでとは別人のように、一気に音圧とテンションが上昇。ぶちきれさ加減が尋常ではありません。ノイジーなギターとマシーナリーな重いリズム。そして凶暴性剥き出しの歌詞と電気処理されたシャウト。まるで精神に溜まった膿を吐き出すかのようなサウンドです。しかもメロディはPOPなので、早い話が「暴れられる」。こりゃあアメリカで受けますよね。納得の作品。

それから、この人は静と動の使い分けと言うか、間の取り方が抜群に上手いです。その証拠に、1曲目と4曲目は次の曲への導火線といった感じの、不穏なインストで、見事にその役目を果たしています。導火線に火がついたら、おとずれるのは爆発。歌モノがそれにあたります。その歌といったら、もうとにかく怒りをぶちまける感じで、音だけ聴いてるとストレス発散ミュージックとしても機能。この頃のNINのサウンドは「電気処理がひどすぎて何を歌っているのか聴き取れない」というようなことも言われますが、それはありません。歌詞もついてますし、きちんと聴き取れます。ちょうどこのあと「インダストリアル・ロック」ないしは「インダストリアル・メタル」というジャンルが世の中に広まり始めますが、ここで聴けるサウンドはミニストリーの『詩篇69』と並んで、そのプロトタイプといっても良いかと思います。また、この頃のビデオクリップは非常にエログロでして、トレントの内面を知る上でも一見の価値ありだと思います。ご覧になりたい方はホームビデオ作品、『クロージャー』を入手しましょう。それから、この作品に限らず、NINの作品は必ずヘッドフォンで聴くこと、これは鉄則です。

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□Title … FIXED
□Number …
1.gave up(remixed by coil with danny hyde) / 2.wish (remixed by j.g.thirlwell
3.happiness in slavery (remixed by t.reznor and chris vrenna with p.k.)
4.throw this away (assembled by t.reznor and c.vrenna with butch vig)
5.fist fuck (remixed by j.g.thirlwell)
6.screaming slave (reznor / vrenna / kennedy / beavan / brumbach / flanagan)

□Comment …
92年発表のミニアルバム。「HALO 6」。「BROKEN」のリミックス盤です。『BROKEN』(壊れる)に対して『FIXED』(修理する)。このセンスもいい感じ。世の中には「リズム変えただけじゃねえのか」とか「チョットした音色が入っただけじゃねえか」というバッタモンなリミックスが多い中、このアルバムはそんな低レベルな作品群とは明らかに一線を画しています。まさに曲の解体と再構築が行われいて、先鋭的なサウンドが追求されてます。しかもオリジナルの楽曲が持つカタルシスが失われていない。これは凄いことです。

リミキサーに迎えられたのは、コイルやフィータス(J.G.Thirlwell)といった、この手の音の先駆者たちで、トレントの彼らへのリスペクトの念が感じられます。特にフィータスのリミックスは暴力的で荒々しく、つぎはぎ部分が明白であるにも関わらず、圧倒的なテンションがあります。さすが。また、6曲目などはほとんどノイズの垂れ流しなんですが、そこから一瞬メロディが浮かび上がりそうになる瞬間が鳥肌モンです。まあ結局ノイズなんですが。

全体的に先の見えない混沌としたサウンドだけれども、決して聴きにくいものではありません。解体された闇をご堪能あれ。

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□Title … MARCH OF THE PIGS
□Number …
[DISC1]
1.march of the pigs(clean version) / 2.all the pigs, all lined up / 3.a violent fluid / 4.big man with a gun

[DISC2]
1.march of the pigs(lp version) / 2.underneath the skin / 3.reptilian

□Comment …
94年発表のシングル。カタログ番号は「HALO 7」。日本盤は未発売で、ここで取り上げているのはヨーロッパ盤。2枚組になっているんですが、1枚ずつで売られていて、2枚買ってワンケースに収めるようになっているという、不可思議な代物。また、アメリカ盤は1枚で売られている模様です。

タイトル曲はNINの曲の中でもかなりストレートな部類に入るもので、人間の持つ暴力性・破壊衝動をアグレッシヴなサウンドに込めて放射しています。 このドラム、どう聴いても生ドラムに聴こえるんですが、トレントいわく「打ち込み」とのこと。以前インタビューで読んだんですが、えらく特殊な録音の仕方をした結果、こんな生っぽい音になったそうです。面白いですねぇ。

1枚目の「クリーン・ヴァージョン」というのは、いわゆる「卑猥な言葉」がカットされているヴァージョンです。それから1枚目の2曲目は、ライヴでは必ず“マーチ・オブ・ザ・ピッグス”に続けて演奏される“裏マーチ・オブ・ザ・ピッグス”とでも言えそうな曲で、パキパキしたドラムとバックに入っている歓声(?)が印象的です。4曲目の“ビッグ・マン・ウィズ・ア・ガン”も、2分足らずの短さながら、そこに込められた負の感情は圧倒的。叩きつけるようなリズムに加わる重厚なギター。そして渾身の叫び。2枚目に収められたタイトル曲以外の2曲も、極めて攻撃的かつネガティヴティ溢れまくり。じっと聴いていると、身体をアッチコッチにぶつけながら、真っ暗な縦穴を落下しているような気持ちになります。

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□Title … THE DOWNWARD SPIRAL
□Number …
1.Mr self destruct / 2.piggy / 3.heresy / 4.march of the pigs / 5.closer / 6.ruiner / 7.the becoming
8.i do not want this / 9.big man with a gun / 10.dead souls / 11.a warm place / 12.eraser / 13.reptile
14.the downward spiral / 15.hurt
*10曲目は、日本盤のみに収録。

□Comment …
NINの2ndアルバムにして、ロック史上に残る傑作アルバム。カタログ番号「HALO 8」。94年発表。このアルバムで特筆すべきなのは「今までにないサウンドフォーマット」であることですね。「ここまでやるか」、あるいは「ここまでできるのか」と言うほどに、感情と音がダイレクトに繋がっています。そしてここで放出される感情は、いずれも負の方向性を持ったものばかり。よくもここまでって感じです。アグレッシヴなんですが、同時にネガティヴ。湿ってます。

前例のないほど重いディストーションギター、妙に胃袋と下半身に効いてくるマシーナリーなドラム。それに自己嫌悪に彩られた歌詞と痛々しい叫び。とにかく混沌とした感情の起伏を見事に音的に表現してみせていて、1つの曲の中で使い分けられる「静」と「動」の対比が見事。これだけ暗黒でノイジーなのにPOPなのがすごい。しかも全編が1本の糸でつながれていて、1曲目が始まったら最後、1人の男が落ちていく物語がノンストップで繰り広げられます。曲のつなぎ方も非常に気が使われていまして、前の曲の終わりと次の曲の頭が絶妙なセンスで列車のごとくつながれています。中には同じ旋律を使っている曲もあったりしまして、そういった部分からもアルバム単位での物語性を強く感じます。その「物語」へのこだわりを証明するエピソードとして、トレントが日本盤のボーナストラックである“デッド・ソウルズ”をアルバムの最後に置くことを断固として拒否したという話があります。つまりこの物語は、“ハート”という、ある種の救いを求めた曲で終わらなければならなかったのでしょう。

何度聴いても色褪せない、聴くたびに新たな発見がある、そんな驚きなアルバム。この手の音にポピュラリティを与えたという意味でも、歴史的傑作。ちなみに、これもヘッドフォン着用は必須条件。

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□Title … CLOSER
□Number …
[DISC1:further away]
1.closer / 2.closer(diviation) / 3.closer(further away) / 4.closer(precursor) / 5.closer(internal)

[DISC2:closer to god]
1.closer to god / 2.heresy(blind) / 3.memorabilia / 4.march of the f**kheads

□Comment …
2ndアルバム、『ザ・ダウンワード・スパイラル』からのシングル。94年発表。「HALO 9」。これもまた「マーチ・オブ・ザ・ピッグス」同様、ここで取り上げているのはヨーロッパ盤で、2枚組なのに1枚ずつで売られていて、2枚買ってワンケースに収めるというパターン。また、アメリカ盤は1枚で売られている模様。

1枚目は、心臓の鼓動を思わせるリズムが印象的なタイトル曲と、そのリミックスが4曲収録されています。タイトル曲で感じるのは無常観。ドラム、ベース、ギター、キーボードによるカオスがピタッと止んだ後で奏でられる、古ぼけたようなピアノの音色が、非常に切ない。「全部終わってしまった」、そんな諦めの気持ちが漂います。僕も大好きですし、ファンの間でも非常に人気の高い曲です。2枚目の1曲目は映画「ザ・ファン」の中でも使用されていたアグレッシヴな曲で、「裏クローサー」といった感じです。曲が進むにつれて重厚になっていくディスト―ションギターが印象的で、NINの暴力的な側面が好きなリスナーは、これは必聴でしょう。2曲目の“ハラシー(ブラインド)”、オリジナルは2ndの“ハラシー”ですが、一聴すると原曲を感じさせないリミックスで面白いです。2枚目は聴き所かと。

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□Title … FURTHER DOWN THE SPIRAL
□Number …
[アメリカ盤]
1.piggy (nothing can stop me now) / 2.the art of selfdestruction, part one
3.self destruction, part two / 4.the downward spiral(the bottom) / 5.hurt (quiet)
6.eraser (denial;realization) / 7.at the heart of it all / 8.eraser (polite)
9.self destruction, final / 10.the beauty of being numb / 11.erased. over. out

[日本盤]
1.piggy (nothing can stop me now) / 2.the art of selfdestruction, part one
3.self destruction, part three / 4.heresy(version) / 5.the downward spiral(the bottom) / 6.hurt(live)
7.at the heart of it all / 8.ruiner(version) / 9.eraser(denial;realization) / 10.self destruction, final
11.reptilian
※ヨーロッパ盤は11曲目が収録されていない以外は、日本盤と同じ内容。

□Comment …
2ndアルバム『ザ・ダウンワード・スパイラル』(TDS)のリミックス盤。95年発表。日本盤とアメリカ盤では収録内容が大きく違うという、これまたファン泣かせな内容。そのためカタログ番号はアメリカ盤が「HALO 10」。日本盤およびヨーロッパ盤が「HALO 10 V2」。

リミキサーは「フィックスト」同様、コイルやフィータスといった面々で、 難解なTDSの世界を相手にしながらも、「フィックスト」以上に混沌とした暗黒なサウンドに仕上げてくれています。何の気なしに聴いていると、原曲が何なのか分らないような、そんな芸術的なリミックスがテンコモリ。そして、ここでは何とエイフェクス・ツインがリミキサーとして参加している(アメリカ盤のM-7とM-10の1部。日本盤・ヨーロッパ盤ではM-7のみ)!これは聴きものでしょう。彼のリッミクスは原曲をまったく無視した形で繰り広げられていて、呆気に取られます。おそらくは「リミックス」というよりも、「原曲にインスパイアされて作った曲」という感じなのでしょう。また、フィータスの手がける“セルフ・デストラクション,ファイナル”は頭の中で電気的ノイズが右へ左へと駆け抜けるさまが気持ちよくてたまりません。ぜひヘッドフォンでお試しを。絶妙なセンスに酔いしれてください。

アルバム全体を通して、オリジナルを知らなくても充分に聴ける内容ですんで、こちらから聴くのもよろしいかと。

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□Title … THE PERFECT DRUG
□Number …
1.the perfect drug(meat beat manifest version) / 2.the perfect drug(plug version)
3.the perfect drug(nine inch nails version) / 4.the perfect drug(spacetime continuum version)
5.the perfect drug(the orb version) / 6.the perfect drug

□Comment …
97年発表のシングル。「HALO 11」。内容はデヴィッド・リンチ監督の「ロスト・ハイウェイ」に提供された楽曲、“パーフェクト・ドラッグ”のヴァージョン違いを集めたもの。タイトル曲は、ドラムン・ベースの影響が顕著な疾走感溢れるPOPなナンバー。「NIN史上最強にPOPなサビ」が飛び出します。イントロ部分の弦楽器や、間奏部分でのバカスカした生っぽいドラムの挿入(かなりグッとくる)が、強引でなく、妙に耳馴染みが良いのが印象的です。すごいセンス。

リミキサーとして招かれているのは、いずれもテクノ界隈で活躍しているメンツであり、その当時のトレントの関心がそちらに向かっていたことがうかがえます。各リミキサーが手がけるいずれのヴァージョンも一癖あって、オリジナルのパーツを使って上手いこと料理しています。特にNIN自らの手によるリミックスは、主旋律とは別のところで鳴っていた音色が、最後には表に浮かび上がってきているという、面白い構造。途中からいきなり走り出す無機的ビートにもゾクゾクさせられます。かっこいい。

これまでのようなガッチリとビルドアップされたイメージはないから、聴きやすいかも。どっか開放的です。

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□Title … THE DAY THE WORLD WENT AWAY
□Number …
1.the day the world went away / 2.starfuckers, inc / 3.the day the world went away(quiet)

□Comment …
99年の中頃に突如発表されて世間を騒がせたシングル。「HALO 13」。前作の“パーフェクト・ドラッグ”は新曲とは言っても映画への提供曲でしたから、やや変則的なものでした。その次に来る音を世界中のロックファンが待っていたところへ届けられたのが、この作品。正規の作品としては実に5年半近いインターバルが空いたことになります。

タイトル曲を聴いたときは、不穏な空気が漂うスペーシーなイントロからして、「もう違う何かが始まった」と、そんな気がしたもんです。突如として振り下ろされるミドルテンポのディスト―ションギター、その壁を超えて囁かれる、たった8行の詞。「何だこれ?これがNIN?」と誰もが思ったであろう、形容不可能な、摩訶不思議なサウンド。M-2は“パーフェクト・ドラッグ”の延長線上だなんだと言われましたが、これはただのファンサービスじゃないでしょうか。「こいういうアホっぽいのもいいじゃないか」と周りの助言があったのかも(言い過ぎかな)。M-3はタイトル曲のヴァージョン違いで、ギターの代わりにピアノが主体になっています。

何しろニューアルバムの音が全く見えない状態でこんな音が届けられたものだから、誰も次に来るアルバムは予想できませんでした。99年の問題シングルの1つであることは間違いなし。

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□Title … THE FLAGILE
□Number …
[DISC1:LEFT]
01.somewhat damaged / 02.the day the world went away / 03.the frail / 4.the wretched
05.we're in this together / 06.the fragile / 07.just like you imagined / 08.even deeper
09.pilgrimage / 10.no, you don't / 11.la mer / 12.the great below

[DISC2:RIGHT]
01.the way out is through / 02.into the void / 03.where is everybody? / 04.the mark has been made
05.please / 06.starfuckers, inc. / 07.complication / 08.i'm looking forward to joing you, finally
09.the big come down / 10.underneath it all / 11.ripe(with decay)

□Comment …
99年に満を持して発表された、前作から約5年半ぶりの3rdアルバム。「HALO 14」。何と2枚組。先行シングルで披露されたような、妙な不安定さを持った楽曲が散りばめられた、怪作となっています。

NINと言えば何と言っても「過剰にディストーションかかったギター」というイメージがついてまわっていたのですが、今作では全体的にギターの比重が減ると同時に、楽曲がミドルテンポになっているというのが大きな特徴。また随所で聴ける即興じみた弦楽器が曖昧さを漂わせていますが、トレントいわくこの作品では「人間の不完全さ」を描いたそうです。「完璧じゃなくたっていい。僕はこれでいいのかもしれない」と、そういった気持ち。歌唱法に関しても、どこかわざと音を外しているような、そしてコーラスに関してもわざと不協な感じを出そうとしているかのような、不安定さを感じさせる箇所が沢山あります。歌のないインストゥルメンタルが多い(4分の1程度)のも本作の特徴ですが、後年『ウィズ・ティース』発表時にトレントはその理由について「歌詞を書くことに恐怖感があったから」だと述べていますが、僕はトレントの作るインストがけっこう好きなんで、これはこれで嬉しかったりします(笑)。

前作までのPOPさや暴力性は薄まっていて、その反面、音へのこだわりはさらに増し、1音1音、特にドラムが限りなく「太い」です。それからヒップホップを意識したと思しきリズムもあったりして、1st以来のリズムへのこだわりも感じられます。個人的にはDISC1のM-1からM-7までの流れが大好きですね、何回聴いても飽きないんじゃないでしょうか。特にM-7の迫りくるディストーションギターと同時にピークを迎えるトレントの叫び。たまりません。ああカタルシス。M-11は、POPな曲を作ってやろうと思って一念発起してピアノに向かうも、そんなことしてる自分が許せなくて結局止めて…って過程から回収された唯一の曲だそうですが、NINの持つ「静」の部分を代表するであろう美しい曲です。またこの“ラ・メール”のメロディはDISC2のM-2にも使われていて、けれど印象がまったく違う曲に仕上げているところにトレントのセンスを感じます。正直、聴くときはほとんどDISC1を聴くのですが、まあそれはそちらの方がよく出来ていると思うからなわけですが、ということは、抽象的過ぎる楽曲をいくらか削って1枚にしてしまった方が、本作はいいものになったんじゃないかって生意気にも思うわけで。そう、後にマリリン・マンソンも指摘してますが、ちょっと本作抽象性が高いんですよね。雨と言うよりも霧(きり)。確かにアルバム全体ではドドーンとそそり立っているイメージがあるものの、曲によってはインパクトの薄いものがあるのが否めない。そこが少し、ほんのすこしだけ残念かなと思う。

全体に漂うのはいまだ暗黒なオーラであるけども、その闇がどこか温もりを宿し始めている、そんな感じがするアルバムです。ヘッドフォンでドラムを追いかけるだけでも楽しめるし、耳を澄ませば色んな音探しの旅が楽しめます。その楽しみに目覚めると病みつきになるやも。ちなみにこのアルバム発表後、NINは待望の初来日。感動でした。

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□Title … WE'RE IN THIS OGETHER
□Number …
[ No.1 ]
1.we're in this together(radio edit) / 2.the day the world went away(quiet version)
3.the day the world went away(porter ricks mix)

[ No.2 ]
1.we're in this together / 2.10 miles high / 3.the new flesh

[ No.3 ]
1.we're in this together / 2.complications of the flesh / 3.the perfect drug

□Comment …
3rdアルバム『フラジャイル』からのシングル。日本では3枚に分けられていて、それぞれ収録曲が異なっています。「HALO 15」。

1枚目では特に聴き所というほどのものはないですかね。2曲目はすでに「ザ・デイ・ザ・ワールド・ウェント・アウェイ」に収められているし。強いて言えば、3曲目の“ザ・デイ〜”のリミックスくらいですか。でも、それも何だか変化に乏しいビートの上にトレントの囁きが乗っかっただけで、特に面白い部分はないです。2枚目では“10マイルズ・ハイ”と“ザ・ニュー・フレッシュ”という未発表曲が聴けるのが嬉しいところですが、これも何だか“10〜”の方はイマイチなノリだし、“ザ・ニュー〜”の方も実験的なインストという感じで、ファン以外には楽しめません。ということで、一番聴けるのはきっと3枚目でしょう。中でもNINのライヴ・メンバーであったダニー・ローナーによる“コンプリケイション”の再構築は、聴き応えあり。アルバムではこの曲は短すぎたきらいがあったし、もう少し楽しみたかった人は、ここで楽しむのが良いかと思います。まあミドルテンポになっていますけど。そして(3枚目の)3曲目は、“パーフェクト・ドラッグ”の長尺ヴァージョン。この曲はいろんな形で発表されていますが、ここで聴けるものが今までに発表されているどのヴァージョンよりも長いんですね。まあ細かいことですが、熱心なファンには重要な点ですよコレ(笑)。

隅々までNINを知り尽くしたい人は、ためらうことなく3枚すべてをゲットするのでしょう。そしてチョット興味があるという人は、3枚目だけを聴くべきですね。

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□Title … THINGS FALLING APART
□Number …
1.slipping away / 2.the great collapse / 3.the wretched(version)
4.starfuckers inc.(version) / 5.the frail(version) / 6.starfuckers inc.(version)
7.where is everybody?(version) / 8.metal / 9.10miles high(version)
10.starfuckers inc.(version)

□Comment …
NINではスッカリおなじみのリミックスアルバム。これは3rdアルバム『フラジャイル』に対するもの。「HALO 16」。『シングス・フォーリング・アパート』なんて、悲観的なタイトルは相変わらず。チョット安心しますね(?)。でもどうしても不満が先に出てきてしまうのですが、『フラジャイル』にはあれだけの曲が入っていたのに、出てきたのがこれだけというのが…。ひそかに、2枚組の完全武装なリミックスを期待していたんですがね。残念。

さて、リミキサー陣はというと、これまでと違い内部の人間がほとんど。ライヴ・メンバーやエンジニアなんかが大半です。収録曲の中でも出色なのは、M-5の、BENELLIなるアーティストによる“フレイル”の再構築ですか。原曲はどこか切ないピアノのインストなのですが、この旋律を、厳かな弦楽器に置き換え、そこにさまざまな効果音やノイズを加え、音響派な曲に仕上げています。その他にも、元スキニー・パピーのデイヴ・オギルヴィによるデジタル風味の“スターファッカーズ、inc.”(M-6)や、隙間を上手く利用したビートにたたみかけるような歌がかぶさってくる、ダニー・ローナーによる“ホエア・イズ・エヴリバディ?”(M-7)など、聴き所は多いです。また、M-8はゲイリー・ニューマンのカヴァーで、NINのルーツを知る上でも、聴く価値あり。

しかしながら、以前までのリミックスと比べると、ややパワーダウン気味ですかね。例えて言えば、1作目、2作目と、怒涛のパワーで押しまくっていたB級ホラー映画が、次作から急に当り障りのない「お約束」映画になってしまったような、そんな感じ。同じリミックスアルバムで言うなら、やはり僕としては、『ファーザー・ダウン・ザ・スパイラル』の方が好ましいです

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□Title … AND ALL THAT COULD HAVE BEEN
□Number …
[DISC1]
1.terrible lie / 2.sin / 3.march of the pigs / 4.piggy / 5.the frail / 6.the wretched / 7.gave up
8.the great below / 9.the mark has been made / 10.wish / 11.suck / 12.closer / 13.head like a hole
14.the day the world went away / 15.star****ers,inc. / 16.hurt

[DISC2]
1.something i can never have / 2.adrift and at peace / 3.the fragile / 4.the becoming
5.gone, still / 6.the day the world went away / 7.and all that could have been
8.the presistence of loss / 9.leaving hope

□Comment …
NIN史上初のライヴアルバム。「HALO 17」。初回限定もれなく2枚組。2002年発表。1枚目には、3rdアルバム『ザ・フラジャイル』に伴う「全米ツアー」の様子が収められています。ということは残念ながら、来日時の音源は使用されていない模様。来日時のインタビューでは、えらく日本を気に入ったようだったので、少しぐらい贔屓(ひいき)してくれるかと思ったんですがね。甘かった。

内容の方は、1曲目からいきなり“テリブル・ライ”で、ナタのようなディスト―ションギターが振り下ろされ、ハンマービートが炸裂します。もう圧倒的なテンション。NINはどうしてもスタジオアルバムの方が優先的に語られますが、どうしてどうして彼らは優れたライヴバンドなのです。このアルバムから放射されるフィジカルなエネルギーがそれを証明。バンドとしてのダイナミズムも申し分なし。メンバー全員が一丸となってライヴ用に仕立て上げたトレントの曲と、それを待ち望むファンの期待、喜び。それが見事に合体しています。もちろんCDだからファンの様子は見えないんですが、随所でファンの大合唱や歓声が聴こえ、それが聴き手を興奮させてくれます。

これを聴いてとにかく思うのは、「スンゲエPOPだなあ」ということです。特に1stの曲が恐ろしいまでにPOP。一緒に歌えるし、思わず身体が動き出す。動き出さないヤツは無理をしているに違いありません。そしてそして、ライヴ構成にメリハリをつけているのが、3rd収録曲。アンビエントな雰囲気はクールダウンにもってこい。まあ暴れたいだけの人には不要物なんだけども、NINの世界観をじっくりと堪能したいなら、自ずと受け入れることになるはず。

それから、2枚目(『STILL』と呼ばれます)に収められた楽曲たちも聴き逃せません。既発の4曲のヴァージョン違いに、新曲5曲。トレントの言葉を借りれば「雨の日の日曜日のようにメランコリー」な1枚です。ここではNINにしては珍しい、というか今までなかった、装飾抜きのアコースティックな曲たちが聴けます。ピアノの伴奏で歌われる1曲目なんぞはNINの“核”をそのままぶつけられるような感じで、鳥肌必至。その他にもピアノや弦楽器を使った小品が収められていて、その静けさは1枚目のライヴ盤との対比で、より際立ったものに感じられます。ただ、いずれも音の根底にはしっかりと感情がやどっていて、1曲目同様、静けさの中でそれが浮き彫りになる感じですね。切ない暗黒。ここにNINの真骨頂があると言っても良いと思います。

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□Title … THE HAND THAT FEEDS
□Number …
01.the hand that feeds / 02.the hand that feeds(straight mix) / 03.the hand that feeds(dub mix)

□Comment …
ナイン・インチ・ネイルズ、6年ぶりの新作『WITH TEETH(ウィズ・ティース』からの1stシングル。2005年リリース。いろんな形でリリースされてますが、1部のものが、タイトル曲のヴィデオ・クリップを収録(その場合、盤はデュアル・ディスク仕様)しているだけで、あとは大きな違いはないようなので、細部にこだわらなければ、どれを入手するかで悩む必要はないでしょう。ちなみにこれはヨーロッパ盤。

タイトル曲は、アルバムの中でも一際POPな曲で、もっと言えば、これまでの作品の中でも“パーフェクト・ドラッグ”を抜いてトップに踊り出た感があるくらいにキャッチーな曲。発売前、ラジオでコレを聴いて「ヤバイ」と思ったのはきっと僕だけではないはず。ダンスミュージックなリズムに重なるディストーションギター。随所で聴こえるニュー・ウェイヴな電子音(ちょっぴりラムシュタインを想起させられる)。トレントの歌うストレートなメロディも力強く、気持ちよい。どっかで聴いた感じはまるでしないのに、安心して聴ける心地よさ。初めからシングルカットするつもりで作ったのか、それともあとでそう判断したのかは分りませんが、カットするならコレだろうなとそう思います。本作(というかアルバム)作成にいたる過程や、トレントの内面的変化についてのコメントは、アルバムの方に回しますが、タイトル曲の歌詞、「餌をくれるその手に、食いつく気はあるか / そして血が出るくらい、噛みしめる気はあるか / おまえは立ち上がれるか / 目の当たりにする勇気はあるか / 変えたいと思うのか」、「それともおまえは、跪いたまま大人しくしているのか」という言葉は、トレントの自分自身を鼓舞する言葉であると同時に、虐げられているものたちへのメッセージのようにも受け取れて興味深い。

M-2、およびM-3はPHOTEKによるタイトル曲のリミックスになりますが、正直そんな革新性のあるものではありませんし、凡庸なものだと思いますが……気持ちいい&カッコいい(笑)。 「原曲の美味しいとこ抽出していろいろ味付けしました」的なリミックスなんですが、これはこれで、リミックスとして成立するんでしょうきっと。原曲のPOPさを強調する形で。 M-2はあの力強いビートが延々と続く8分弱のリミックス(ちゃんと歌は乗っかってます)、M-3はあまり「ダブ」って感じじゃないんだけど、もう歌というよりもインストですねこれは。 抜粋して空間的処理を加えられたヴォーカル、繰り返される同一フレーズ、そして反復される電子音&ディストーションギター&ダンスビート!大音量で聴くと……これは……ヤバイ(笑)。こちらも8分弱のリミックス。

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□Title … WITH TEETH
□Number/Contents …
[CD-SIDE]
01.all the love in the world / 02.you know what you are? / 03.the collector / 04.the hand that feeds
05.love is not enough / 06.every day is exactly the same / 07.with teeth / 08.only / 09.getting smaller
10.sunspots / 11.the line begins to blur / 12.beside you in time / 13.right where it belongs

[DVD-SIDE]
01.entire album in 5.1surround sound / 02.entire album in advanced resolution stereo
03.“the hand that feeds”video / 04.interactive discography

□Comment …
6年ぶりに出された4thアルバム。2005年リリース。本作は通常のCDフォーマットと、デュアルディスク仕様の2形態でリリース。これはアメリカでリリースされたデュアルディスク盤ですが、片面がCD、その裏面がDVDとなっていて、DVDサイドにはアルバム収録曲が、通常のステレオと、5.1チャンネルのサラウンドシステムに対応する形で収録されています。またその他に、これまでアメリカ(←多分)でリリースされたNIN作品のアートワークや収録曲を網羅したカタログ的な映像コンテンツと、“ザ・ハンド・ザット・フィーズ”のヴィデオクリップを収録。当初は、アルバム収録曲いくつかのスタジオライヴや歌詞なども収められる予定でしたが、発売前に変更。NINにはこういう話はつきものですが、やっぱりカットは悲しい。ちなみに日本盤では、『ウィズ・ティース ツアーエディション』として、CDとDVDの2枚組としてリリース(中身は本作と同一)。なお、通常の日本盤には、ボーナストラックとして、“home”、“right where it belongs V2”、“the hand that feeds(raugh mix)”が収録されているので、熱心なファンは通常盤も買うしかない(?)。

まず楽曲については、これまでの重厚さ、過剰にビルドアップされた音世界とは打って変わってラフなものに。その証拠に、今作は別にヘッドフォンで聴いてもこれまでのような圧迫感が生じない。本作発表時のインタビューで散々トレントが語っているように、彼はドラッグやアルコールに頼らずに、いや頼ったところで結局抜けられなかった自信喪失のウズを、(少なくとも本作作成時には)ようやく脱出したようだ(なんでも、自信のなさから何もせずに悩み続けた期間が4年くらいあって、本作制作には実質1年もかかっていないという)。前作『フラジャイル』の時点で、すでに底の底からは浮かび上がり始めていたのだろうが、ようやく水面に顔が出たという感じだろうか。本作の音の変化は、そんな精神的「シラフ」を現しているのだろう。とは言っても全体像に関しては、やはりいきなり180度方向転換してハッピー満載なものになるはずもなく、トレントらしさがそこかしこに。ノイズやピアノに細かい音の使い方、リズムがメロディ化している(特にM-3やM-5,6)部分など、これまでと変わらずで、聴いていて思わずにやけてしまった(笑)。

凶暴性や性急さをもった曲がほとんどないのは前作『フラジャイル』に通じるところから、やはり前作があってこその本作であり、前作ですでに変化は始まっていたということだろう。確かにかつての革新性や、そこからくる緊張感はなくなっているし、「シーンでの生き残りをかけた保守化」という言葉は耳に痛いけれど、トレントは自分に正直な音楽しか作れない人であることを考えれば、きっとこれ以外にはなかったのだと僕は思うので、文句は出てこない。余計な飾りを極力そいだメロディたちはこれまでになく耳なつっこいし、アルバム全体の風通しもすごく良い。トレントはかなり前から、「ひとつひとつの歌が立っているものを作りたい」と言っていたと思うが、まさにそんな作品。僕は誰が何と言おうと2ndが最高傑作だと思ってきたし、正直アレを超えるものは作れないだろうと思っていたのだが、その思いは覆された気がする(違う方向で、だが)。もっといろいろ言いたいが、最後に好きな曲を――音だけならM-1(徐々に曲がタフになっていく過程がめちゃめちゃカッコいい)やM-3(ドラムとトレントの歌の一体感、めちゃカッコいい),M-4(まさにシングルナンバー、ドPOP),M-9(めずらしくロックンロールなテイスト)それから12(ちょっとだけ過去の偏執性がカムバック)などになるのだが、歌詞も含めればM-10だ、今まで自分自身(黒点=sunspot)から目を逸らし続けてきたトレントが、ついにそこに目を向ける過程が歌われているように、僕は思う。今まで幾度となく発されてきた“nothing can stop me now”という言葉が、まったく違う響きに聴こえるのが頼もしい。

DVD収録の映像についてはあまり言うことはないのだが、カタログに関しては単に字面だけでなく、いくつかの楽曲を短いながらもサンプル的に見聴きすることができるのが嬉しい。特にNIN作品の映像を観たことがない方は必見です。しかしなぜか「ブロークン」より前の作品のジャケットが表示されないのが残念。“ザ・ハンド〜”のクリップは、スタジオで演奏&歌唱する風景をそのまま収めたもののようで、全然作りこまれていないのだが、逆にそこが生々しくて好ましい。たくましい身体に黒いTシャツ1枚でマイクをがっつり掴んで歌うトレントが印象的だ。もちろん他ライヴメンバーの演奏姿も見れるので、熱心なファンは目をこらしましょう(笑)。

2nd『ダウンワード・スパイラル』以降、10年続いたというトレントの心の闇が、果たして本当に晴れたのかは知る由もないが、トレント・レズナーがこんなアルバムを作った、いや作れるということを世界に知らしめただけでも、価値のある作品じゃなかろうか。これから入手する方は是非デュアルディスク盤(もしくは『ツアーエディション』)を。今までのファンも、これからのファンも、とにかく必携の1枚。

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□Title … ONLY
□Number …
01.only / 02.the hand that feeds[DFA remix]
03.love is not enough[live at rehearsals] / 04.only[video]

□Comment …
『ウィズ・ティース』からの2ndシングル。2005年リリース。オフィシャルで見る限り、 アナログ盤も含めると5つのフォーマットでリリースされているようです。 んで、これはヨーロッパ盤のマキシシングル。ヨーロッパ盤には、本盤の1曲目および2曲目のみを収めた2トラック仕様もあります。あとはUK盤、UK盤のDVD(“オンリー”のビデオクリップをDVDとして収録)、そしてアナログ盤というフォーマットがありますが、このヨーロッパ盤が1番お得かなあと思います。でも僕のように、PCのシステムの問題で、エンハンスドのビデオクリップを見れない人もいるかと思うので、そういう方は、UK盤のDVDを探しましょう。そしたらプレイヤーさえあれば見れる(と思う)!クリップの監督は、デヴィッド・フィンチャーなので是非とも見たいですね。

曲の方は、アルバム中でも質素ながら注目を浴びていた“オンリー”となるわけですが、これだけ聴くと何か初期のNINを思い出します。音の厚みは格段にこちらが上ですし、若さ故の弾けっぷりもないですが、音の少なさ及びこの踊れる感じは『プリティ・ヘイト・マシーン』に通じる。音が少なくても、ちゃんと曲としての盛り上がりもあるし(特に後半のシャウト)、ゆるめのテンポに反してモッサリ感はないし、なによりPOPで、聴いていると身体でリズムを取りながら、思わず一緒に歌い始めてしまう。あんま派手さがないからアルバムの中でこそ機能する曲だと思っていたが、この曲がしっかりシングルとして通用するところにいささか驚き。振り返ってみると、あのアルバムの曲は、どれをシングルカットしても通用するような気がするな。えらいアルバムだ。

M-2はトレントの言葉どおり、あらゆる場所で評価の高いDFAによる“ザ・ハンド・ザット・フィーズ”のリミックス。リズム面をそっくり取り替えて、でも踊れるところはそのままに、スペーシーな(ピコピコ)電子音や吐息をまぶして、ダンス&エレクトロ、これこそまさに初期のNINを思い出した。いいリミックスだ。シングル「ザ・ハンド・ザット・フィーズ」に収録されていたリミックスより全然いいじゃないか。しかし、この出来がよいだけに、なぜに“オンリー”のリミックスは入れてないのであろうという残念な思いが。これは“オンリー”のシングルなんだから、入れて欲しかったなあ。

M-3はスタジオライヴの模様。演奏しているのは、ライヴのメンバーと同じようで、きちんとクレジットされてます。やっぱり生生しさがありますね。特にこのギターの音がいい。オリジナルでは気づかなかったような旋律が聞こえてくるとゾクゾクする。それが狼煙のようにたなびいた後、分厚いギターが炸裂する、その際のダイナミズムはライヴならではでしょう。コーラスが入る部分にも、なんというか、非常にこう、「生」を感じて、エキサイティングです。ライヴ観て〜(単独公演)って気持ちになること請け合い。

で、“オンリー”のビデオクリップは、僕はPCのシステムが古いせいで、見るまでに時間を要しそうです。もしくは見れません。うーん。無念。

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□Title … EVERY DAY IS EXACTLY THE SAME
□Number …
01.every day is exactly the same / 02.the hand that feeds(dfa mix)
03.the hand that feeds(photek straight mix) / 04.only(el-p mix)
05.only(richard x mix) / 06.every day is exactly the same(SAM FOG vs. CARLS D mix)

□Comment …
ということで、アルバム『ウィズ・ティース』からのシングルカット。2006年。ちなみにこれはUS盤ですが、遅れて日本盤も発売。知らなかったので、うっかりUS盤を購入した俺・・・。日本盤には、“Hand That Feeds (Dub Instrumental Mix)” と“Love Is Not Enough (Live at Rehearsals) ”がボーナストラックとして収録されているので、そっちのが得! まあ後者はシングル「オンリー」や『ウィズ・ティース』のデュアルディスク盤(日本盤で云うなら『ウィズ・ティース ツアーエディション』)に収録されているので、特に目新しくはない。

目新しくないといえば、本作に収録されている曲も、前半はまったくもって目新しくない。既発曲の使いまわしである。M-2はシングル「オンリー」に収録済みだし、M-3もシングル「ハンド・ザット・フィーズ」に入っている。だから特に書くことはない。M-4はEL-P(エルピー)というヒップホップ界(でいいんだよね? ちなみに元カンパニーフロウらしい)のアーティストによるリミックス。確かに使われているリズムがヒップホップ的・・・であるが、正直そんなに面白くはない。ダークなテイストが加味されているが、原曲自体がもうリズム重視というか、“リズムに言葉を乗っけている感”が強いので、あんま変化がないように聴こえる。そう考えるとトレントの曲の作り方はヒップホップ的なニュアンスも多分にあるのかもしれない。ミックスを手がけているJoey Raia & NASAのという名前は、EL-Pともつながりのあるミックス・エンジニアだ(多分ね)。気になる方は自力で調べておくんなまし。すぐに見つかるから!

M-5はRichard Xなるアーティストによるダンスダンスダンスなリミックスである。このくらいノリノリに変えられていると面白い。Richard Xは自分でも作品を出しているようであるが、他人の作品に関わることが断然多いようだ。今作の他にもニュー・オーダーの作品やペットショップボーイズ、MIA・・・などなど、多くの作品にリミキサーや何かで参加している。そういやトレントはMIAを評価してたなーなんてことを思うと、その辺のつながりでこのリミックスが作られたのかもしれない。

M-6はニューヨークのクールバンド、Interpolのメンバー二人によるリミックスだ。サム・フォガリノ(Ds)とカルロス・デングラー(B、Key)。彼らはリミックスをよくやるんだろうか? というかなぜNINの作品にInterpolが? つながりが知りたいなー国内盤のライナーにはその辺の経緯が書いてあるんだろうなー・・・。にしてもこのリミックスが良い意味で実に旧NIN的というか、原曲ぶっ壊し気味だった『ファーザー・ダウン・ザ・スパイラル』の頃を彷彿とさせるイカした仕上がり。悩ましげに流れるコーラスラインと絶え間なく聴こえる奇妙なノイズ。ドカドカしたミドルテンポのリズム。音のパーツの取捨と組み合わせ、ボーカルのコラージュ。歌というよりも、まさにひとつのリミックス。こんなセンスを持っているとは意外だった。でも作品総じて見ると、既発曲多いのが災いしたのか、ちょっと何か足りない感じ。

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□Title … BESIDE YOU IN TIME
□Contents …
■North American Winter Tour 2006
01.love is not enough / 02.you know what you are? / 03.terrible lie / 04.the line begins to blur
05.march of the pigs / 06.something i can never have / 07.closer / 08.burn / 09.gave up / 10.eraser
11.right where it belongs / 12.beside you in time / 13.with teeth / 14.wish / 15.only
16.the big come down / 17.hurt / 18.the hand that feeds / 19.head like a hole / 20.credits
※10, 11, 12は、別アングルで視聴可能。

-Additional Content
■North American Summer Tour 2006
01.somewhat damaged / 02.closer / 03.help me i am in hell / 04.non-entity / 05.only
----------------------------------------------------------------------------
+the collector(live at rehearsals 2005) +everyday is exactly the same(live at rehearsals 2005)
+the hand that feeds(music video) +love is not enough(live at rehearsals 2005) +only(music video)
+stills gallery +body of work

□Comment …
2005年にリリースされた、6年ぶりのフルアルバム『WITH TEETH』。そのアルバムに伴うツアーの模様を収めたDVDが本作。2007年リリース。とは言っても、長い長い、まさに“ツアー”であるので、どこを収録してんのよ、という話であるが、本編には2006年冬のツアーで行われたオクラホマと、エル・パソでのライヴを収録。また、付加的なコンテンツとして、2006年夏のツアーで行われたライヴを、数曲収録。その他にも、スタジオライヴの映像や、ヴィデオクリップ(“collector”の映像はメチャメチャいかす)、ツアー中の写真(=stills gallery)、これまでのリリースについてのカタログ的なもの(=body of work:これは、『WITH TEETH』のデュアルディスク版、あるいは日本盤のツアーエディションに収録されていたものと同一)を収録。ちなみに、本国アメリカでは、次世代DVD規格である、HD-DVDおよびブルーレイディスクでも発売がされているが、それらの日本盤はない。もちろん、というのも変だが、通常のDVD版は、ステレオ、5.1チャンネルどちらにも対応している。

『WITH TEETH』以降、発言・行動ともに、“生まれ変わった”イメージがあるNINだが、ツアーメンバーも前作時とは一新。ベースはダニー・ローナーから変わって、元マリリン・マンソンの右腕だったトゥイギー・ラミレズこと、ジョーディ・ホワイトに、ギターはロビン・フィンクから変わって、元イカルス・ラインのアーロン・ノースに、キーボードにはチャーリー・クラウザーから変わって、アレッサンドロ・コルティニが、ドラマーにしても、ツアー中にジェローム・ディロンが離脱、変わってジョッシュ・フリース(ア・パーフェクト・サークル等)が参加。というように、まさに心機一転。そしていちいち曲単位で解説できないが、全体の雰囲気が確かに前ツアーと違う。前回が“月”であったとしたら、今回は“太陽”。あるいは、間違った見方かもしれないが、前回が“文化系”であったとしたら、今回が“体育会系”。そんな違い。トレントの坊主頭、および、暴れ隊長アーロンの、はっちゃけたギタープレイ(これ好き)も、そのイメージを助長。

やってる曲に対して、パフォーマンスが王道的であるというのは、前から言われているが、今回はなんと客にハンドクラップを促しているではないか! トレントが! そしてドでかいホールの客もそれに応える! なんか健康的! 考えてみれば、昔はボンテージ系の衣装着て、顔や体に白い粉まぶして出てましたね、ライヴ。今作とはまったく違う。ライティングの暗さ―自分を隠そうとするような―も、それほど感じさせないし。

と、まあ、変わったかわった、って言うのはこれくらいにして、問題のライヴであるが、これはもうすばらしい。CDではいまいちノリきれない曲も、ライヴで聴くと、違った魅力があって、俄然光が強くなる。“only”や“the big come down”がとにかくビリビリきて、たまらない。この手の曲は、“closer”系とでも言うか、ミドルテンポの太いリズムに、肉感的な歌を乗せた形であるが、近年のトレントはこの手の曲で力を発揮している。というか、考えてみれば、昔からそうか、意外かもしれないが、トレントの曲には、性急なモノはあまりないのだ。曲について言えば、リズム・ビートと、メロディ・ヴォーカルの緩急(それからシンセやノイズの絡め方)が、肝になっている。以前はそこにギターも欠かせなかったが、近作を聴く限りでは、前ほどそれは強さを持っていない。だから、やっぱり、どこかNINはヒップホップ的、であるのかもしれない。観ていて、そんなことを改めて思った。あと客席から上がる拳に握られた携帯電話のなんと多いことよ。みんな撮影しまくりか? それとダウナーな曲でホールが暗くなったときに、大勢がライター?を掲げるんだけど、これがスゲーの。まるで演出みたいに、あちこちで炎が揺らめいて、とても幻想的。夢想的。ミステリアスな瞬間。日本じゃ有り得ないな。

忘れちゃいけない、映像的な演出であるが、これがまた…。書きたいこと書くと長すぎるので絞って書くが、“right where it belongs”〜“beside you in time”が印象的。搾取する者とされる者、その結果搾取したものが作り上げる無味乾燥で画一的な世界、その象徴(たとえばブッシュ大統領)が、ステージを覆う巨大なスクリーンに映し出されるのだ。その後、豪雨とも、拡大したテレビの砂嵐とも取れる映像がスクリーンを覆い、会場にまるで雨が降っているように見えるのだが、そこに、スクリーンの向こうから、トレントがマイクスタンドを振り下ろすと、画面がガラスのように粉々に砕け散る! そして上がる幕。なんという計算。ビリビリしまくり。そしてもうひとつ、僕はこちらの方が好きなのだが、夏のツアー映像にある、シャッター(格子)状の電光掲示板を使った演出。知覚心理学でいうところの仮現運動であるが、上の方から赤いドットが液体のように降り積もったり、炎が揺らめいているような視覚的効果を見せてくれたりする。形態が格子状であるからして、隙間からしっかりステージは見えているわけで、ステージの後ろに別にスクリーンを設けて、そこに映像を流せば、電光掲示板を透かして、そのスクリーンが見せられる。よって、演出の可能性―できること、というのは抜群に広がる。すんげークール。やっぱり俺はNIN好きだ、と改めて確認。そしてまだ彼らのライヴを観たことがない人は、是非本作に触れてみることを激しく薦める。決して損はしない。

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□Title … SURVIVALISM
□Number / Content …
01.survivalism / 02.survivalism_tardusted
03.the greater god(instrumental) / 04.survivalism(video)

□Comment …
『ウィズ・ティース』以降、どうやら本当に生まれ変わったようで、これまで慣例化していた「寡作」の様を見事に打ち破ったトレント・レズナー。なんと前アルバムから2年ほどという驚きのインターバルで、2007年春に、こちらのシングルをドロップ。しかも前アルバム発表後には、ほとんどツアーに出ていたことを考えると、その過程で製作されたことになるわけで、そのペースはまさに異常。彼に必要だったのは「自信」であり、それを手に入れたからには、もはや躊躇していられないのだろう。これが彼の本来のペース、であるのかもしれない。

本作は�.茵璽蹈奪冏廖↓▲ぅ鵐拭璽淵轡腑淵詒廖↓�アナログ盤の3形態でリリース。ここで挙げているのは�△任△襪�、これが収録曲が最も多い。�,亘榿廚�M-1とM-2のみを収録。��にはタイトル曲の他に、CDには未収録のヴァージョンを1曲収録の模様。

タイトル曲は、エレクトロなビートとブリブリしたシンセが印象的な、明らかに『ウィズ・ティース』以降の曲。前半で抑えた歌唱で焦らしながら、サビ(というか盛り上がり)への緊張感を高めておいて、以降ディストーションギターと共に、シャウトで爆発、というNINの王道的な曲作りであるけれど、ホントこの人の作るメロディは、なんというか特徴があるというか、クセがあるというか、不思議だなあと改めて思う。決して美メロとかそんなんではないし、胸を鷲づかみにもされないんだけど。この曲は、「ザ・ハンド・ザット・フィーズ」なんかと比べるとメロディアスさでは劣るんだが、しかしこの引っかかり具合はなんだろう。……。僕は常々NINの曲にヒップホップの匂いを嗅いでいるんだけど(註:ヒップホップと銘打たれたモノは聴かないくせにだ)、やはりトレントの、リズムセンスと、言葉のチョイスに対するセンスが(そして忘れちゃいけない、もちろんメロディセンスも)、良い形で交錯して、この不思議な曲たちを生み出しているんだろう。特に言葉についてはホントそう思う。まー曲にも依るっちゃ依るんだけど、聴いてるだけで、言葉が素直に頭に残るのよね。リズムと共に刻まれる感じ。繰り返しになるけど、本作を聴いてて、改めてそれを思った。

M-2,3は正直特筆すべきことはない。ということはこのシングルの価値とやらは、エンハンスドのヴィデオクリップにあるのかもしれない。明確な意図は調査していないけれど、忍び寄る脅威を画的に表しているとも取れる(そしてそれは、アルバム『イヤー・ゼロ』のコンセプトにも繋がるだろう)。アパートの各部屋にしかけられたと思しき監視カメラの映像。めまぐるしく動く視点に移るアパートの住人は、半裸でメイクしたり、ベッドでアヘアへしたり、あるいはバンドで歌を唄っていたり(これはもちろんトレントたち)する。そんなアパートに潜入してくる、特殊部隊と思われる、武装した隊員たち。住人たちは、物音にほんの少し訝るだけで、潜入には気づかない。ぶち破られる一枚の扉。かくて任務は遂行され、「日常」の隠れたところで、静かに血が流れるのだった…。もしかしたら、それと同じように、僕らの気づかぬところで、脅威はすでに始まっているのかもしれない―。

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□Title … YEAR ZERO
□Number …
01.hyperpower! / 02.the beginning of the end / 03.survivalism / 04.the good soldier
05.vessel / 06.me, i'm not / 07.capital G / 08.my violent heart / 09.the warning
10.god given / 11.meet your master / 12.the greater good / 13.the great destroyer
14.another version of the truth / 15.in this twilight / 16.zero-sum

□Comment …
上記のシングル「SURVIVALISM」に続いて、間髪いれずに届けられた、NIN史上最速の速さで完成された5thアルバム。2007年リリース。雑誌のインタビューでトレントが語り倒しているように、本作はコンセプトアルバムであるが、その全貌はアルバム単体で表されているわけではない。元来トレントが持っているビデオゲーム好きな気質、面白いことへの興味・関心、そういったものが関係しているのだろう、彼はあらゆるところに、アルバムの世界観を補完する要素をちりばめた―意図的だと言われている音源のリーク、アルバム盤面(サーモインク使用で、プレイヤーで再生後には、その熱で盤面の色が黒から白に変化する)に隠された暗号を解いた結果、たどりつくウェウサイト、それとは別に、乱立するウェブサイト、それらが表すもの―そしてこれがトレントの最大の狙いだったと思うのだが、それらの要素について、ネット上でNINファンが、さまざまな予想・議論を交わしたのである。アルバムのコンセプト自体は、近未来の世界が直面する終末を描くことで、現代に警鐘を鳴らせれば、というようなもので、別段新しくはないが、やり方がまさに現代的。それをトレントがやったというのが、何かうれしい。しかしながら、ファンの予想・議論は、大半が英語圏で行われたので、英語が達者でないと仲間入りはできなかったところが、ちょっぴり悲しい。

音に関しては、作詞・作曲はもちろんトレント・レズナー。1人でPCをいじっている内に出来た音がきっかけになっているようで、そのせいなんだろう、作りにツギハギ感、コラージュ感が強く漂い、全体的にエレクトロである。トレント自身が語っているように、実験的・挑戦的な音作りでもある―ノイズ音の切断とその隙間の使い方が驚きを呼ぶM-6や、エレクトロなビートの上で、同じリフの鳴らし方を変えながら、歌を乗せていくM-9なんて最たるもので、おそろしくヘンテコなバックトラックなのであるが、それも歌モノとして聞かせてしまうセンスが恐ろしい。しかしそのせいか、メロよりも音作りで聴かせている感が強いからだろう、おそらく前作『ウィズ・ティース』よりとっつきにくく、1曲1曲が印象に残りにくい。落ち着いて聴くと、ものすごくクールでホント強烈な音なのだが、そうでないと、まるで耳をスルーしてしまう点が残念。

もっともPOPなものが、M-1(『フラジャイル』収録の“pilgrimage”に通じるが、どこか開放された雄々しいインスト)、2(メロの立ったストレートナンバー)、13(ノイジーかつ暴力的な音作りでもPOPに聴かせるというNIN節炸裂ナンバー。途中で音がデカくなる)、15あたりになるのだろうが、前作の“right where it belongs”に通じるM-15はいつになくメロウで、アルバム中でも白眉。世界の終末に眺める黄昏。バックトラックはノイジーな音が浮遊しているのだが、とっても情景的で…シンミリしてしまう。ということで、そう、情景的という言葉から分かるように、トレントの表現は、自己の内的世界から、外側へと、世界へと、シフトした(解説にもあるように)。そこに焦点を当てたインタビューもあるみたいだけど、正直僕はどっちでもいいんでね(笑)。トレントの作る音が好きだから、これから彼がまた内側に潜ろうが、もっと説教くさいこと言い出そうが(それは困るか:笑)、構いませんよ。とにかく本当に自信を持って創作意欲を取り戻したトレントに、おめでとうと、ありがとうと言いたい。って、身もフタもない。

そしてこのあと、7年越しの単独来日公演がついに実現。サービス精神溢れる怒涛の肉弾戦ライヴを展開し、ライトなファンからヘビーなファンまで巻き込んで、旋風を巻き起こした。

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□Title … Y34RZ3ROR3M1X3D
□Number / Contents …
- Audio Disc -
01.hyperpower!“gunshots by computer”- Saul Williams / 02.the great destroyer - modwheelmood
03.my violent heart - pirate robot midget / 04.the beginning of the end - ladytron
05.survivalism - Saul Williams / 06.capital G - paul epworth phones 666 revolution mix
07.vessel - Bill Laswell / 08.the warning - stefan goodchild feat. doudou n' diaye rose
09.meet your master - the faint / 10.god given - Stephen Morris & Gillian Gilbert
11.me, i'm not - olof dreijer
12.another version of the truth - kronos quartet and enrique gonzalez muller
13.in this twilight - fennesz / 14.zero sum - Stephen Morris & Gillian Gilbert

- DVD-ROM -
1.Macintosh用 GarageBandプロジェクトデータファイル(GarageBand 3以上に対応)
2a.Macintosh用 Ableton Live Demo版 * 2b.Windows用 Ableton Live Demo版
2c.Macintosh, Windows共用 Ableton Liveプロジェクトデータファイル
3.Macintosh, Windows共用 Protools, Logic, Cubase, DigitalPerformer, Audaciy等 -
DTM用WAVEサウンドファイル
※以上の形式で、以下の楽曲を収録。
01.hyperpower! / 02.the beginning of the end / 03.survivalism / 04.the good soldier
05.vessel / 06.me, i'm not / 07.capital G / 08.my violent heart / 09.the warning
10.god given / 11.meet your master / 12.the greater good / 13.the great destroyer
14.another version of the truth / 15.in this twilight / 16.zero-sum

□Comment …
『YEAR ZERO』に対するリミックス盤。オーディオCDとDVD-ROMとの2枚組み。前作の『WITH TEETH』には、珍しくリミックス盤が存在しなかったので(それを言うなら1stにも、だが)、もはやこれまでのお約束もなくしてしまったのかと思ったのだけど、こうしてめでたく登場。2007年リリース。

曲目を見て分かるように、これまでのリミックス盤には、オリジナル曲が被るリミックスが多々あったのに、今作では1曲も重なっていない。よもや全曲リミックスか?と思いきや、“the good soldier”と“the greater good”は収録されていなかった。全曲触れてると長すぎるので、かいつまんで―確かに唄が残されているものが多く見受けられるけれど、全体的にはアブストラクトな印象が強いのも事実。以前はテクノ界隈のリミキサーが多かったのだが、今回はそこに限らず多種多様。ヒップホップや現代音楽、民族音楽など、トレントの幅広い音楽性への興味が見受けられる。どちらかと言うと、有機的、だろうか。

いきなり一発目のソウル・ウィリアムス(トレントが近作をプロデュース)がカッコよすぎる。バックトラックはそのままに、そこにかなりアッパーなラップをかましてきている。このノリはこれまでのリミックスにはなかった。短いのだけれど、新鮮かつカッコイイ。◎。他に僕が気に入ったのは、アブストラクトなものよりも、骨太のビートが堪能できるM-3(これはアマチュア・ミュージシャンによるリミックス!)や、M-4(最終部には“closer”のあの旋律を使用!ファンはニヤリ)、M-6、そしてM-9(今作中1番好きかも。エレクトロクラッシュと言うか、電子的でありながら、パンクなテイストがすごく好き)。やっぱりNINの楽曲は、リズムを抜くよりも、そこに何かしら手を加えた方が映える、と思うのは単なる僕の趣味だろうか。他にも電子音楽界からFenneszが参加していたり、注目の楽曲はいくつもある。以前みたいに“ぶっ壊れている”印象はなくなってしまったリミックス盤だけれど、不思議と楽曲に漂う空気が統一されており、オリジナル盤の世界観が確かに残っているところが面白い。そちらと聞き比べても楽しめると思う。ちょっと長いけど。

最後に注目すべきはオリジナル盤『YEAR ZERO』の全楽曲を、DVD-ROMにPCデータとして収録していること。ファイル形式に対応するアプリケーションがあれば、NINの楽曲を自身の手でリミックスできてしまう! そしてそれはトレントの立ち上げたリミックスサイトで自由に公開(ダウンロードも)可能。面白すぎるぜ、トレント・レズナー。

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□Title … GHOSTS �機櫚�

□Comment …
前作『YEAR ZERO』からわずか1年程のインターバルで届けられたアルバム。早い。2008年リリース。ファンの方なら、いやそうでもなくともご存知のように、このアルバムはネットで先行リリースされた。そう、レディオヘッドのように・・・。『YEAR ZERO』のリミックス盤を出して、長きに渡るインタースコープとの契約を満了。ソウル・ウィリアムスのプロデュースをしたり、そのアルバムをネットで配信してみるなど、しばらく課外活動に専念するかと思いきや、突如のアルバム発表。前触れはあったものの、まさかまさかの緊急リリースだったので、一時はアクセス集中でサーバーダウンという事態に。本作は5つのフォーマットでリリースされていて、それぞれ―�.侫蝓璽瀬Ε鵐蹇璽鼻覆海譴�4部構成の内の第1部、9曲のみ)、��5ドルでダウンロード、��10ドルで通常盤2CD、��75ドルでデラックス盤、��300ドルでウルトラ・デラックス盤、となっている。ちなみに限定2500セット、シリアル番号入りのデラックス盤は、この値段にも関わらず、あっというまに完売・・・。スゲーな。

僕としては特別な位置づけにあって、このアルバムは、ちょっとこれまでのNINと同じようには受け取れない。というのも、まさかの36曲が全編インストゥルメンタル。それも“トレント・レズナーが作るインストゥルメンタル”という言葉からイメージするような、バキバキに気張った、作りこんだ形には“なっていない”のである。きわめてアブストラクト。即興的な匂いも強く感じる。“白昼夢のサウンドトラック”とはトレントの言葉だけど、ビートの走る曲や、電子的な要素が強い曲もあるけれど、全体は本当にボンヤリしている。かつて出した『STILL』ともまたニュアンスが違う。そう、各曲にはなんとタイトルもついていないのだった。時間も2〜3分の短いものが多いし、ミニマルな要素も強い。重いギターが炸裂する曲はほとんどなくて、逆に物憂げなピアノが印象的。

各曲にタイトルすらない、その理由はおいおい明らかになるが、この作品を通じて、トレントはまた新しいことをやってくれた。ネット配信という形で、ファンとアーティストをダイレクトにつなげただけでなく、自身の作品でファンのクリエイティヴィティを刺激したのである―それはひいては、世の中に面白い創作物をもっと増やそうじゃないかという、彼の止まない探究心を感じさせる。彼はこの作品を聴いてファン自身がイメージした映像を、とにかくどこでもいいから撮影して、それを曲と併せて、最大手動画共有サイトYoutubeに投稿するように、呼びかけたのだった。名づけて『Ghosts film festival』! 彼はイメージを限定するのを避けるために、歌詞や曲タイトルを排除したのだろう。パッケージにしても鮮烈なイメージを持つ映像は使われていない。あくまで純粋に“音”でもって、ファンとつながり、ファンを刺激したかったのだと思う。そして集まった映像たちはもちろんYoutubeで観る事ができる。そしてこれがまた、面白い。技術(テクニックという意味でも)、手段、イメージ、センス、これらの異なる動画が多数投稿されているのだから(僕もド素人的ながら投稿しました)。そして前作に引き続き、今作もマルチトラック形式で音源を入手することが可能(になる)、なので、リミックスも可能! これだけデカいアーティストがこういうことやるのって、やっぱりスゲえなああ。次に何をやってくれるのか、まだNINについての興味・関心は尽きない。明らかにこの作品の在り方はかつてのNINの主要なアルバムたちとは違いますが、これはこれで非常に面白い・・・でもやっぱり、バリバリに作りこんだ作品も聴きたい!というのがファンの心情ではなかろうか。

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□Title … THE SLIP
□Number …
[DISC1:Audio]
01.999,999 / 02.1,000,000 / 03.letting you / 04.discipline / 05.echoplex / 06.head down
07.lighting in this sky / 08.corona radiata / 09.the four of us are dying / 10.demon seed

[DISC2:Video]
01.1,000,000 / 02.letting you / 03.discipline / 04.echoplex / 05.head down

□Comment …
前作『GHOSTS �機櫚検戮稜杰�リリースからわずか2ケ月。2008年5月5日に、これまた突如の配信リリース! 4月23日にはシングル「Discipline」がこれも配信リリース(無料)されていて、これが今作の先行シングルとなっていた。このリリーススピードにも驚かされるけど、フリーでアルバム丸ごとダウンロードできるというのも驚き。さらにファイル形式は4つ用意されていて、�.魯ぅ�オリティMP3、��FLAC、��M4A lossless、��24bit/96kHtzのWAVファイル。�い砲い燭辰討蓮�CDよりもハイクオリティで、スタジオマスターレベルの高音質(もちろん容量はデカイし、再生にはそれ相応の装置が必要。この点に関しては、『ミュージック・マガジン』2008年7月号にある小野島大氏の“CDからインターネットや携帯電話へ―ナイン・インチ・ネイルズの試みから考える音楽配信の可能性と限界”が詳しい)。その配信リリースから数ヶ月後、フィジカルなリリース、つまりCD(+ライヴリハーサルの映像を収めたDVD)でのリリースが行われた。

前アルバムが全編インストゥルメンタルであったことを考えても、今回は歌ものであるだろうなと思っていたのだが、先行シングル、このアルバム共に、見事にその予想を裏切らなかった。実に真っ当な(という表現は適当ではないかな)、アルバム。M-1は、タイトルどおりM-2への導入となっていて、その“1,000,000”ではガレージライクなノリで一気に爆発。アルバム前半は、この勢いで突っ走っている。もたついた曲はない。M-4などは、“the hand that feeds”を思わせるドPOPでディスコチックなノリで、やはりこういう曲を作ろうと思えば作れてしまうという点が、トレントの憎いところ。

ツアータイトルにもなった、ピアノを中心に据えたM-7以降は、ゆるやかにアルバムの締めへと向かっていく。スペースアンビエント、シネマ的なM-8(持続するノイズ音の中でひっそりと明滅するメロディが実に物憂げ)から、『GHOSTS �機櫚検戮領�れも感じさせるオブスキュアなM-9と、2曲のインストを経て、再び歌ものであるM-10という流れ。今までアルバムでは最後に「締め」を思わせる曲を配してきたNINであるが(“hurt”しかり、“the great below”、“ripe(with decay)”、“right where it belongs”や“zero sum”もしかり)、この最終曲には、その感覚がない。どこか尻切れトンボな印象も。風通しがいいという表現も出来るけれど、作り込みが物足りない、という言い方も出来る。曲が出来たら即録音⇒ミックス⇒配信(そしてライヴ)という形態をとっているわけだし、それが既存の商業的な音楽の在り方を考えさせる問題提起的な試みでもあるわけで、そこも興味深いのだけれど、時間かけてもいいから強迫観念的な作り込みアルバムもやっぱり聴きたいという超ワガママな気持ちが芽生えたのが、私の正直な感想。

かつてはNINの音はライヴ感がなかったと思う。どちらかといえば、無機的な要素が強かった。もちろん機械的でありながら、同時に肉体性がある、というのが大きな魅力でもあったわけですが。でもライヴを見て、初めて、このバンドはこんな肉体性を持っているんだなあ!と、実感できたと思う。このアルバムでは、その肉体性(別の言葉を使えばバンド性とでもいうか)が、今までより前面に出てきている、という気がする。DVDに収められているリハーサル映像を観ても、それを強く感じる。ちなみに今作、このCD+DVD版は、25万セット限定リリース(日本盤はそのうちの1万5000枚らしい)。各セットにはシリアル番号入り。さらにアルバムアートワークをプリントしたステッカーが、ランダムに3枚封入されている。

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